いせ九条の会

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愛国心とアジアへの反省は両立できる/山崎孝

2007-01-25 | ご投稿
国民の8割が自分に愛国心が「ある」と思い、そのうち9割は先の戦争で日本がアジア諸国におこなった侵略や植民地支配を「反省する必要がある」と考えていることが、朝日新聞社の世論調査(面接)で分かった。歴史問題をめぐり、中国、韓国と日本の摩擦が取りざたされるが、日本人の多くは、愛国心をもちつつ、日本の過去の歴史も冷静に見つめているといえそうだ。

調査は昨年12月2、3日、全国の有権者3千人を対象に面漢方式で実施した。

 日本に生まれて「よかった」という人は94%にのぼった。愛国心が「ある」は「大いにある」20%、「ある程度ある」58%を合わせて78%に達した。愛国心が「ある」は若いほど少ない傾向があるが、最も少ない20代でも63%と、「ない」の37%を大きく上回る。ただ、「大いにある」に限ると20~40代は1割前後とあまり多くはない。

日本に生まれて「よかった」という人では愛国心が「大いにある」が21%、「ある程度ある」が60%と、いずれも全体を上回った。自分が生まれた日本が好きという気持ちが愛国心に結びついている様子がうかがえる。

日本の侵略や植民地支配については「反省する必要がある」が「大いに」32%、「ある程度」53%を合わせて85%にのぼった。年代による差はほとんどない。愛国心が「ある」人でみると、「反省する必要がある」は88%とさらに多い。また「愛国心が大いにある」人で「大いに反省する必要がある」が39%と全体を超えているのも目を引く。愛国心とアジアへのへの反省を両立させている国民の姿が浮かぶ。

 日本人は愛国心を「もっと強く持つべきだ」との見方は63%で、「そうは思わない」の27%を大きく引き離した。

 だが、愛国心を学校で教えるべきかどうかでは、「教えるべきもの」

50%と「そうは思わない」41%が撲近する。50代以上では「教えるべき

もの」が、40代以下では「そうは思わない」が多数と、見方が割れるの特徴的だ。昨年の教育基本法の改正では「愛国心」条項が新設されたが、若年層を中心に愛国心教育への抵抗感は根強いようだ。(以上)

2005年7月、栃木県大田原市の教育委員会は、来年度から市立中学校で使う歴史、公民教科書に扶桑社の教科書を採択した。採択の理由を同市の小沼隆教育長は「自国の伝統、歴史を正しく学習して日本という国に愛着を持った子どもが育つと思う」と述べています。

この発言の背景には、従来の教科書が戦前の歴史の負の部分を強調している「自虐史観」と捉えて、それに対抗するために自民党の政治家と学者の一部が結託して扶桑社の教科書をつくり、当時の安倍幹事長が激を飛ばして採択運動を起こしていました。採択目標の10%をはるかに及ばない0.4%でした。

朝日新聞社の調査では「愛国心とアジアへの反省を両立」させています。そして、取り立てて愛国心教育を行わなくても愛国心は持ちます。さらに歴史を正しく認識することこそ、国際的な感覚を持ち、国際社会に受けいれられる真の愛国心を持つことができます。

扶桑社の教科書は大東亜戦争を「自存自衛の戦争と宣言した」と書き、そして「新しい歴史教科書をつくる会」の会報「史」は、改訂版のポイントを「日本を糾弾するために捏造された『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている」と述べています。このような観点の教科書では「歴史を正しく学習」することなどは出来ません。

憲法を守り生かすことにおいても、事実を正確に捉えて宣伝していけば、現行憲法が世界の動向に正確に対応できること、その理念に未来性があることを理解してくれる基盤が日本人にあることを、朝日新聞の世論調査は示しています。