いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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四川大地震救援のための自衛隊機派遣の見送りに思う/山崎孝

2008-05-31 | ご投稿
【四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った?日本】(2008年5月30日付毎日新聞)

 政府が中国・四川大地震の被災地への自衛隊機派遣を見送った背景には、中国側の「要請」をめぐるボタンの掛け違いがあった。その中で、政府内には歴史的な外交成果を狙う焦りも存在し、それが「自衛隊派遣」の独り歩きを招いた側面もありそうだ。

 「昨日、北京の日本大使館に中国政府から要請がありました」

 中国からテントや毛布などの物資の輸送のための自衛隊派遣を要請されたと発表したのは28日午後の町村信孝官房長官の会見。町村氏は「輸送手段について自衛隊によるものを含めて要請があった」と説明した。

 ところが、ある政府関係者は「要請したのは中国軍の少佐」と明かす。少佐は防衛省だと3佐に相当し、陸海空幕僚監部の課長にも満たないレベル。初の自衛隊派遣という歴史的な局面で、課長にも満たない軍人が要請してきたことになる。

 「少佐と聞いた時、この話は大丈夫なのかと感じた」と政府関係者。首相周辺も「中国政府が意思決定したものでも、権威あるものでもなかった。その意味では最初から自衛隊派遣の要請はなかったとも言える」と語る。

 つまり、単なる打診だった可能性があるのだが、中国軍の一部による一つのアイデアは日本政府に伝わる過程で要請に姿を変えていったようだ。

 そのころ、米軍はC17輸送機でハワイから支援物資を四川省・成都まで空輸し、中国軍関係者の出迎えを受けていた。「米軍も受け入れているわけで、過去の経緯からあまり自衛隊を特別扱いしすぎる必要はない」(外務省幹部)との楽観論が広がり、大々的に報道されたこともあって政府はどんどん前のめりになっていった。

 政府関係者は「中国から求められた」と口をそろえたが、実際には日本側が持ち出していた。12日の地震発生の直後、政府は(1)資金援助(2)物資援助(3)緊急援助隊の派遣(4)医療チームの派遣--の4提案とともに「自衛隊の派遣を要請してはどうか」と提案した。

 検討されたC130輸送機での支援内容は、数千万人規模という被害に比べ、テントや毛布の量がかなり限定的。外務、防衛両省には「実現すれば日中関係にとって画期的で、関係改善の象徴的出来事になる」と色めく幹部がいた。自衛隊派遣案がもともと人道支援ではなく、政治的意味合いから出発していたわけで、政府関係者からは「最終的に見送られたのは必然」との声も聞かれる。【古本陽荘】

【コメント】四川大地震に対する緊急支援は国際緊急援助法に基づいて支援隊が組織され派遣されています。私は国際緊急援助法に対応した大量物資の輸送のための飛行機を政府が保有して、平常時にはその飛行機を民間に使用と運用を委託しておけば、緊急輸送の対応を容易に取れると思います。自衛隊の飛行機を出す必要はなくなります。今回は民間機を使用するようです。

政権党である自民党の中には、旧日本軍が中国で行った南京虐殺事件を否定するような勢力が存在しています。これらの勢力の動きを政府が封じ込めない限り、中国国民から日本は信用されないと思います。現在はこれら新自由主義史観の勢力が教科書検定に影響を及ぼしています。

対日「慰安婦」決議の一つで、2007年12月13日、欧州議会が採択した決議の中にある《日本の人々と政府に対して、あらゆる国家の道徳的義務として、自国の歴史全体を認識すること。そして、慰安婦に関連することを含め1930年代から1940年代にかけての日本の行為を認識するために、さらなる手段をとることを奨励し、日本政府にこれらの事例を現在及び未来の世代に教育することを要請》されるような状況を日本が克服をすれば、自衛隊の派遣を中国国民は受容れると思います。

そして、根本的にはアジア侵略の歴史の教訓から生まれた日本国憲法を守り活かす外交政策を取らなければ、アジアの国の人たちからの真の信用は受けないと思います。

自民党政府の二つの熱心さを見る/山崎孝

2008-05-30 | ご投稿
2008年5月29日付「しんぶん赤旗」の報道を紹介します。

 全日本民主医療機関連合会(鈴木篤会長)と岡山県民主医療機関連合会(滝野教明事務局長)、医療法人同仁会耳原総合病院(松本久院長)はこのほど、日本の社会保障制度のほころびを検証したNHK番組を国会で攻撃した自民党の礒崎陽輔参院議員に対し、発言の撤回および謝罪を要求する抗議文を送りました。

 全日本民医連は、礒崎氏の発言からは国民健康保険料があまりにも高額で滞納率が高くなっている問題や、行政による保険証の取り上げなど医療現場で起きている実態を「認識されていないと感じた」と指摘。「国民が苦しんでいる高い国民健康保険料滞納や受診困難の事例をジャーナリズムに知らせることが政治的と批判されるならば、そのことがすでに政治的弾圧と言わざるを得」ないとし、発言の撤回と全日本民医連と当該の二つの病院に対して謝罪することを求めました。

 岡山民医連は、医療従事者が「減免制度」や生活保護の取得努力をせず患者を死亡させることにつながったかのような礒崎氏の発言に対し、「全国の医療従事者の誠実な努力に対する冒涜(ぼうとく)です。断じて許すことはできない」としています。

 耳原総合病院も、「特定医療法人による運営が行われており、どの政党とも組織的なつながりは一切ない」「要求の一致に基づいて、どの政党や団体とも共同をすすめていくことを方針としている」としたうえで、「無責任な『推測』と『偏見』による発言」として、事実誤認に基づく発言の撤回と、同病院に対する謝罪を求めています。

【「偏り」と決めつけ】 礒崎氏が二十日の参院総務委員会で、やり玉に挙げた番組は、十一日放送のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス 日本の社会保障が危ない」です。

 仕事を失い、国民健康保険料が払えず保険証を取り上げられた結果、医療が受けられずになくなった男性や介護保険制度の改悪で必要な介護が受けられなくなった女性の姿を映し、社会保障制度について迫った番組でした。

 ところが、礒崎氏は「保険料の減免制度もあれば、医療扶助もある。制度上では医療を受けられないことはない。保険証の取り上げと死亡の因果関係を検証したのか。きわめていいかげん」と攻撃しました。

 また、番組の冒頭にでてきた大阪府堺市の耳原総合病院、岡山県倉敷市の水島協同病院の二つの病院について、「民医連に加盟し、日本共産党と深い関係にあると認識されている」とのべ、「政治的公平性に疑念を抱かざるをえない」「偏った取材、偏った内容を放送している」と決めつけました。(以上)

【コメント】NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス 日本の社会保障が危ない」は、私も録画して見ました。生活保護家庭、医療や介護現場などを詳しく取材して、セーフティーネットである生活保護制度、医療制度、介護制度が、セーフティーネットとしての役割を十分に果たせずにいる状況を伝えていました。

国会審議で礒崎氏は「保険料の減免制度もあれば、医療扶助もある。制度上では医療を受けられないことはない」と述べていますが、制度という形があっても運用面や実情に即していないなど、“必要とするセーフティーネットとしての役割”を果たしていないことに目を向けた意見を述べるべきです。番組は視聴者にこの問題を考えさせる力を持っていました。

番組は今日の社会は貧しい家庭に生まれた子どもたちが、教育上のハンディーを負わされて、子どもたちの将来も貧困を引き継いでしまいかねない状況があることも伝えていました。

番組は人間らしく生きることが困難な状況に陥るのは、果たして「自己責任」だけなのかを問いかけ、考えさせる内容を提起していました。

自民党政府は、米国の世界戦略と結びついた米軍再編のために、3兆円もの日本のお金を投入する。福祉保障費と同じくらいの2兆円に上る軍需がある中で、商社が大きな賄賂を使っても利益を生み出す構造を持っています。軍事費全体は世界でも指折りの位置を占めます。最近では宇宙基本法制定を主導した勢力は、自民党の国防族議員・防衛省幹部・航空宇宙工業会加盟企業でした。

これらから言えることは、巨大な利権と結びつく可能性がある軍事的な安全保障政策推進にはとても熱心です。そして、国民の最低限の生活を守るためにあるセーフティーネットに対して国家の負担を減らす取り組みにとても熱心です。

社会保障費のためとか公平な負担とか称して、貧しい人ほど負担が大きくなる逆進性が顕著な消費税率のアップを柱にした財政再建論議を行なうのが自民党、公明党そして民主党です。同じ千円の金でも裕福な家庭と貧しい家庭とは、その金額の重みには大きな差があることを政治家は深く認識すべきです。

憲法9条の理念を政府に守らせることと、憲法13条と25条を政府に守らせることが、顕著に結びついた社会状況・政治情勢にあります。

6カ国協議の進展が拉致問題解決の方向へと結びついて欲しい/山崎孝

2008-05-29 | ご投稿
【6カ国協議:拉致巡り意見交換、「進展」方法を模索―米朝協議】(2008年5月28日付毎日新聞)

 【北京・小松健一、西岡省二】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米朝首席代表は27日に引き続き28日午前も会談を開き、米国のテロ支援国家指定解除への最後の関門といわれる日本人拉致問題について突っ込んだ意見交換をする。米朝双方とも日本を対北朝鮮支援の枠組みに引き込みたいという思惑では一致しており、米朝間が拉致問題の「進展」方法を模索する新たな展開になっている。

 米首席代表のヒル国務次官補は27日に約1時間、北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官と会談。記者団に「良好な日朝関係が6カ国協議プロセスでも重要であることを強調した」と話した。

 拉致問題では、米国はこれまで「サポートするが、どう解決するかは日朝間で取り組んでほしい」(国務省当局者)として、テロ指定解除は拉致問題に拘束されない、との立場を貫いてきた。

 だが、北朝鮮の核計画申告書提出と米国のテロ支援国指定解除が既定路線となり、6カ国協議のプロセスは「第3段階措置」の核放棄に向けて動き出している。このまま北朝鮮が核放棄の手順を進めれば、軽水炉原発の建設要求など大規模な見返り支援を求められるのは必至だ。米国には「拉致問題を理由に支援を拒む日本を、どう積極的に支援に関与させるかが焦点になってきた」(関係筋)という事情がある。

 一方、北朝鮮も拉致問題「進展」のムードを高めて協議プロセスを進め、早期に経済エネルギー支援を受け、日本の独自制裁解除にこぎつけたいとの思惑がある。北朝鮮が米国に、拉致被害者とみられる日本人数人が北朝鮮国内に存在し、帰国させる用意があることを伝えていたとされるのも、その意向に沿った措置といえる。

 6カ国協議の首席代表は28日までにロシアを除く5カ国がそろう。同日午前から2国間での会談が予定され、協議再開に向けて意見調整が図られる。(以上)

【コメント】 拉致問題は本来的には人道上の問題です。これを北朝鮮が日本の支援を当てにした取引材料にするようなことは絶対許されません。日本の一部勢力の北朝鮮の脅威と絡めた政治的宣伝材料にすることも許されません。日本国民を感情的にさせて問題をこじらせるだけです。北朝鮮政権を打倒しない限り、拉致問題は解決出来ないとする考えは、もう破綻しています。北朝鮮に対する圧力一本槍の考えも、北朝鮮が日本人拉致を認めてからのほぼ6年間の経緯を拉致問題を前進させなかったことは、明らかです。

日本と北朝鮮の双方が、真摯な態度で望み人道問題は解決をするという鉄則を踏まえて、拉致被害者の状況や事実の上に立って、冷静に合理的に話し合うこと以外に解決する道はないと思います。6カ国協議の進展が拉致問題の解決の方向へと結びついて欲しいと思います。

【参考情報】対北朝鮮外交「北風と太陽」両議達が発足(2008年3月23日付朝日新聞)

 対北朝鮮外交で立場の異なる議員連盟が22日、相次いで発足した。超党派訪朝団をめざす「日朝国交正常化推進議員連盟」に対し、強硬論を唱える自民党の「北朝鮮外交を慎重に進める会」も発足。「北風と太陽」ともいえる対照的なグループがにらみ合うことになりそうだ。

 超党派議連は自民、公明、民主、共産、社民、国民新の各党議員ら約40人が出席。会長には自民党の山崎拓元幹事長が就任し、顧問には民主党の菅直人代表代行、公明党の東順治副代表、社民党の福島党首らが名を連ねた。山崎氏は「日朝平壌宣言から6年近く、拉致被害者5人と家族が帰国したが、その後は懸案が進展していない。議員外交の立場で政府を後押ししたい」と語った。

一方、下村博文衆院議員や山本一太参院議員ら6人が立ち上げた自民党議連は同日、中山恭子首相補佐官を招き、拉致問題の解決に向けて「圧力」を前面に掲げた。会合後、山本氏は「国交正常化の急速な動きには、くさびを打ち込んでいきたい」と超党派議連を牽制した。

「このチャンスをつかみ、歴史を正視し、未来を展望しよう」/山崎孝

2008-05-28 | ご投稿
日本の近隣諸国の動静を伝えた新聞報道を紹介します。

【台湾与党主席が訪中 分裂後初 あすトップ会談】(2008年5月27日付東京新聞)

【北京=鈴木孝昌】台湾の与党、国民党の呉伯雄主席が二十六日、南京に到着し、与党トップとして初の中国訪問を開始した。二十八日に北京で胡錦濤共産党総書記(国家主席)とトップ会談を行い、今後の関係改善について協議する。

共産党と国民党の党首が、与党同士として会談するのは一九四九年の中台分裂以来初めて。南京空港に着いた呉主席一行は出迎えた中国側とともに四川大地震の被害者らに対して黙とうをささげた。呉氏は「震災復興の多忙な時期にわれわれを招待したのは(中台)両岸関係を非常に重視しているからだ」とし、「このチャンスをつかみ、歴史を正視し、未来を展望しよう」と、新たな関係発展を呼びかけた。

共産党台湾工作弁公室の陳雲林主任は「呉主席の大陸訪問は両党の交流と協力、平和的発展に重要な貢献をするだろう」と歓迎した。

【朝鮮半島非核化へ中韓協力 両首脳、協力の方針一致】(2008年5月28日付中日新聞)

【北京=築山英司】国賓として中国を初訪問した韓国の李明博(イミョンバク)大統領は27日、北京市内の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談した。両首脳は、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議と朝鮮半島の非核化の進展には、両国の協力が重要、との認識で一致した。

会談では、李大統領が四川大地震の被害に対し深い哀悼の意を表明。8月の北京五輪の開会式に出席することを正式に伝えた。

両首脳は朝鮮半島情勢について議論した。李大統領は、中国が6カ国協議で議長国として建設的な役割を果たしていることを評価。南北対話を通じて共生の道を開く対北朝鮮政策を説明し理解を求めた。これに対し、胡主席は南北間の対話による関係改善を希望し、平和的な統一実現を支持する考えを述べた。

中韓の自由貿易協定(FTA)は、産官学の共同研究が行われており、結果を踏まえた上で、両国の利益になる方向で積極検討していくことになった。

両首脳は、会談後の共同記者会見で中韓関係に重点を置いて説明した。盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の2003年訪中から始まった「全面的協力のパートナーシップ」から、両国が外交や安全保障など幅広い分野で協力する「戦略的協力のパートナーシップ」に格上げすることで合意した。

李大統領は胡主席の訪韓を要請し、胡主席は快く承諾した。

【6カ国協議:米朝代表、28日に再会談 核申告で最終調整】(2008年5月27日付毎日新聞)

【北京・小松健一】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補と北朝鮮首席代表の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官との会談が27日夕、北京の米大使館で行われた。

両氏は北朝鮮の核計画申告と核施設無能力化に伴う「第2段階措置」の早期履行への協力を確認。28日朝に再会談し、申告の最終調整、テロ支援国家指定解除の進め方、拉致問題を含めた日朝関係の改善策など具体的な協議を行う。(以上)

★コメント 5月26日、台湾の国民党の呉伯雄主席は、台湾与党トップとして初めて中国を訪問し「このチャンスをつかみ、歴史を正視し、未来を展望しよう」と述べました。

5月27日、韓国の李明博大統領は、中国を訪問して胡錦濤国家主席と会談、「南北対話を通じて共生の道を開く対北朝鮮政策を説明」しました。盧武鉉前大統領の2003年訪中から始まった「全面的協力のパートナーシップ」から、両国が外交や安全保障など幅広い分野で協力する「戦略的協力のパートナーシップ」に格上げすることで合意しました。

5月27日、ヒル国務次官補と北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官と会談し、《北朝鮮の核計画申告と核施設無能力化に伴う「第2段階措置」の早期履行への協力を確認。28日朝に再会談し、申告の最終調整、テロ支援国家指定解除の進め方、拉致問題を含めた日朝関係の改善策など具体的な協議を行う》と報道されています。

中国の国家主席が5月6日に来日して、日中共同声明で、お互いが脅威とならないことを確認しています。

このような日本の周辺地域である北東アジア情勢が改善されていく方向なのに、自民党は日米軍事同盟を更に強化するために、集団的自衛権の行使が出来るようにする。宇宙は平和利用に限るとした原則を変えて、ミサイル防衛網の構築のために宇宙基本法を制定して、早期警戒衛星、宇宙追尾監視衛星を打ち上げることが出来るようにします。

宇宙基本法制定を主導した勢力は、自民党の国防族議員・防衛省幹部・航空宇宙工業会加盟企業でした。巨大な利権とも結びついています。

軍事的抑止で日本の安全を勝ち取ろうとすることは、到達点のない終わりなき道を歩むことです。台湾の与党、国民党の呉伯雄主席が述べた「このチャンスをつかみ、歴史を正視し、未来を展望しよう」は、対話と交流で生まれたとても良い状況をチャンスとして捉え、確固とした平和的共存する道を歩むことだと思います。

言ってることと行なうことが合わない/山崎孝

2008-05-25 | ご投稿
【派兵恒久法/臨時国会に提出狙う/与党チーム初会合 今国会中に要綱】(2008年5月24日「しんぶん赤旗」)

 自民党と公明党は二十三日、自衛隊の海外派兵を随時可能にする恒久法にかんする「与党プロジェクト・チーム」の初会合を国会内で開き、今国会中に法案要綱をまとめる方針を確認しました。

 同日、自民・民主・公明・国民新の国防関係議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」も会合を開き、恒久法の法案化を目指し協議を続けることを確認しました。六月十五日の通常国会会期末を控え派兵恒久法策定の動きが加速しています。

 与党チームの会合では、通常国会の期間中は週二回のペースで会合を開くことを確認。座長に就任した自民党の山崎拓前副総裁は「精力的に論議を進め、今国会中に政府の法案要綱を持つことができるように与党として議論を整理したい。次の臨時国会に政府が法案提出できるように環境整備をしたい」とのべ、必要な段階で政府・与党協議会を開くとしました。公明党の山口那津男参院議員も「(法案の)姿が見えてくるのは臨時国会の前ぐらい」としました。

 また、「憲法の範囲内とする。集団的自衛権の行使に関する解釈を変更しない」などとする検討の原則を確認。一方で、これまでの派兵法の「メニュー(類型)」に「警護」「治安維持」「船舶検査」を加え、それにあわせて「必要な武器使用権限(いわゆる『駆けつけ警護』や任務遂行のための武器使用など)についても検討」としており、海外での武力行使に道を開く危険な内容であることがあらためて浮かびあがりました。(以上)

与党プロジェクト・チームは、「憲法の範囲内とする。集団的自衛権の行使に関する解釈を変更しない」などとする検討の原則を確認しました。しかし、恒久法の検討課題として、武力を使わなければならない事態のある治安維持を想定した、アフガニスタンへの自衛隊派遣が入っているといわれます。

内閣法制局の憲法解釈は、日本が攻められた時のみ自衛権は行使できるです。与党がテロ特措法延長の際に、民主党の対案の中で示した国連決議があるからアフガニスタンへ自衛隊派遣をしようとする考えに対して、与党は「後方支援は合憲。国連決議があっても海外での武力行使は違憲」の考えを示しました。自民党と公明党のこの考えはどうなったのでしょうか。公明党は、憲法9条は守ると最近も言明しています。この立場を堅持するのであれば恒久法を制定する政治の場には参加は出来ないのです。公明党がプロジェクト・チームに参加するのは、昨年の福田・小沢の大連立構想を見て「自民党と民主党に置いていかれたら困る」という政権党でありたい動機が強く働いていると報道(朝日新聞5月24日)がされています。

日本にはPKO協力法があります。この法律は災害救援や国連平和維持活動に参加するためのものです。国連平和維持活動は、停戦が成立して紛争当事者が国連が組織する部隊を受容れたときに、国連は部隊を派遣します。

現在、民主党も加わり検討しているのは、米国が主導し停戦が成立しておらず敵対勢力と戦闘行動をしている地域に自衛隊を派遣するものです。この違い=武力行使を前提とした活動で、後方支援でも他国軍の武力行使と一体となった活動であることを国民に宣伝する必要があります。

いかに言葉を飾ろうとも、本質的には人が殺しあっていることの一方の側に手を貸そうとするものです。憲法の規定は言うまでもなく、国際紛争を武力でもって解決はしてはならないです。

福田政権 不人気の本質/山崎孝

2008-05-22 | ご投稿
5月18日に開催した「いせ九条の会」の総会の運動方針に、憲法9条の守る問題と国民生活を守る問題と結びつけて活動していくことが打ち出されました。

憲法9条や憲法13条、憲法25条を活かす問題は、政府の政治姿勢と対峙して考える問題です。

憲法9条の改変の問題は、冷戦時代の遺物である、日本の歴代政府が米国に重きをおいて日本の安全保障を考える姿勢から来るもので、米国の要求と日本の政治家の軍事指向とが結びついて起こっていると思います。

憲法13条や憲法25条の理念を政府が守ろうとしないのは、自民党が大企業から政治献金を受けていることから、大企業に有利な政策を実行する政治姿勢にあります。国家財政が逼迫している理由に庶民には負担を増大させるが、大企業はバブル期以上の利益を上げているのに大企業には増税はしません。

私は以上のような認識に立って、福田政権の不人気の本質を考えた事柄を新聞に投書しました。

2008年5月22日付朝日新聞「声」欄掲載文【顔を替えても政権浮揚せぬ】

 朝日新聞社が、道路特定財源をめぐる再可決に合わせて、自民・民主両党の47都道府県連に取材した結果は、自民党で次期衆院選を福田首相で戦うべきだと答えたのは12道県で、22府県が新しい党首でと考えていることが分かったと報道された。

今日の福田政権の不人気は、福田首相の指導力だけが原因ではない。小泉政権下で決定された規制緩和や後期高齢者医療制度が響いている。選挙の顔を替えて政権党を続けられる問題ではない。

労働者の格差問題の要因は、労働市場の規制緩和政策にあり、この政策は大企業には景気の変動に応じて、安価な労働力を確保できる大きなメリットを生んだ。高齢者の怒りをかう後期高齢者医療制度は、医療制度に国費の投入を抑えることを主眼にしたものであった。

与党議員がこれら政策の内容を庶民の立場に立って判断しなかったことが、力の弱い国民を困らすことになった。与党議員はこのことを深く認識し、自らの政治姿勢を正さねばならない問題を有権者から突きつけられていることを自覚すべきだ。

【関連文章】2007年7月22日付朝日新聞「声」欄掲載文【憲法を生かし いのちを守ろう】

 本紙「ポリティカ日本」(16日)は、がんで余命半年と宣告された現職参院議員が「私は国会議員の仕事は人々のいのちを守ることと思った」と語る演説を紹介し、「命は大切にされているか」という観点で、政治や社会を論じていた。その結果、参院選の争点の奥底にあるほんとの争点は、「『いのちを大切にすること』から出発しているかどうかということなんだなと私も思った」と書いていた。同感だ。

 命を大切にすることを出発点にしている、と言えるのが日本国憲法だ。日中戦争、太平洋戦争を起こした日本は、憲法前文で政府の行為により再び戦争の惨禍を起こさないと決意し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持すると述べる。第9条では国家の手で人命を奪わない考えの戦争放棄の規定をした。

命を大切にすることと密接に結びついている個人の尊重を第13条でうたい、第25条では健康で文化的な最低限度の生活の保障を政府に課している。

政府が危険なイラクに自衛隊を派遣している現実やとてもひどい格差社会を見れば、憲法の精神を生かす政治こそが、国民の命と、生活を守ることになる。

大江健三郎氏の決意/山崎孝

2008-05-21 | ご投稿
大江健三郎氏は、朝日新聞5月20日付記事「定義集」の中で、「九条の会」の呼びかけ人のひとり加藤周一氏が「鉄門倶楽部創立百周年」に書かれた文章を紹介しています。加藤周一氏は帝国大学で医学を修めましたが文筆業に転じています。

《臨床医学と文学とは私の中でどう関わっていたか。直接に関わることはなかった。私はいかなる種類の折衷主義も好まない。しかし研究室での経験が私の文筆業に影響しなかったわけではない。事実の尊重と合理的な推論の習慣は私の作品のすべてに及んでいると思う。》

この「事実の尊重と合理的な推論」と言えるべきものに、3月28日の大阪地裁の判決があります。深見敏正裁判長は、多くの沖縄戦における集団自決死を経験・目撃した生証人の言葉に耳を傾け、「元裁判長の命令があったとは断定できないが、関与は十分推認できる」。集団自殺には「旧日本軍が深く関わった」と認定、「沖縄ノート」が元隊長らを匿名で「事件の責任者」などとした記述は「合理的資料や根拠があった」として、名誉毀損に当たらないと判断し、訴訟のすべてを棄却しました。

5月18日の「いせ九条の会」の講演会で、小森陽一氏は、改憲派の企図するものを具体的な事実をあげて説得力をもって国民に訴える必要性を述べました。

大江健三郎氏は「世界」6月号 《沖縄「集団自決」訴訟地裁判決を聞いて》の最後の部分で次のように述べています。

いま私は上級審で続いていく裁判への心構えをしていますが、この二年半の裁判で私自身がもっとも教えられたことは、裁判の法廷で自分が証言した言葉は、判決書に採用される時、これまでの自分の50年にわたる文章の仕事でかつて実感したことのないほど、現実的な力をかちとっている、ということです。私は自分がさらに生きて行く作家の生活について、その自覚に立つ考えを抱き直しています。

もうひとつ、この裁判をつうじて私の新しくしたことは、老年の作家として残り時間は限られていますが、この国に、再び、美しい殉国死という言葉が、その作り手・使い手のいかがわしい意図が見え見えであるにもかかわらず復興されようとしている以上、それに抵抗することを、自分の仕事の核に置くという決意です。(以上)

改憲を主導する勢力は歴史を改ざんして旧日本軍を免罪にし、更に戦前の国民を潔く国のために死んだとして賛美し、歴史を香り高いものにし、戦争に向けての国民の感情教育を行う。憲法の条項を変えて戦争できる規定に変えるという両輪で進めています。

馬英九政権は「台湾をピースメーカーにする」/山崎孝

2008-05-19 | ご投稿
産経新聞は《防衛省の高見沢将林防衛政策局長は本年3月13日の自民党安全保障調査会で、台湾海峡有事について「中国から『周辺事態(認定)はどうするのか』と聞かれれば、『日本は当然する』(と答える)。日米安保ではなく、これは日本自身の安全保障の問題だ」と述べ、周辺事態法適用の可能性に言及した。これまで政府は台湾有事が同法の適用対象となるか明確にしてこなかった。発言は台湾の武力統一も視野に急激な軍備増強を進める中国への防衛当局の強い警戒感を示したものといえる》と伝えています。

高見沢将林防衛政策局長の観点は、自らの組織の有用性を強調する職業柄から軍事的な見方からしていません。

5月20日に台湾の政権は、台湾独立志向でトラベルメーカーと言われた民進党の陳水扁政権から変わり、国民党の馬英九政権が発足します。馬英九政権は台湾海峡情勢を安定させ「台湾をピースメーカーにする」ことを目標にして友好関係・安定した関係を図ろうとしています。(朝日新聞5月15日の記事の情報)

この友好関係をよく表す出来事が起きています。5月16日に中国の四川大地震に対して台湾からの救援チームが現地入りしました。台湾の台北市の救援チームで1999年の台湾大地震の救援活動をしたチームだと言うことです。

中国と台湾の経済関係は多くの台湾企業が中国本土に進出しています。これを踏まえて中台の飛行機の直行便は今まで旧正月だけだったのを、台北と上海間の直行便を週末運行させ、年内に平日も運行し、来年は定期便化を計る。

台湾への中国からの観光客は2007年の8万人から年間で110万人にする。

人民元と台湾ドルの両替が駄目だったのを可能にする。投資の制限をなくして台湾から中国本土へは40%の枠を大幅に緩和し、中国から台湾へは外資並みに解放することにしています。(朝日新聞5月15日の記事の情報)

台湾有事に関係して日米同盟における集団的自衛権行使の可能が考えられています。軍事的な衝突が起これば双方が無傷でおられる筈はありません。日本の安全保障は軍事的に対処することより、中台宥和に日本が手助けすることの方がはるかに効果的です。

東北アジアの平和と安定を図ろうとする6者協議も大きく進展しています。米国は人道支援も行ない始めました。日本は制裁一本槍ではなく人道支援はすべきです。そして6者協議に積極的にかかわり成功に寄与すべきです。平和憲法の下で粘り強く平和外交をすることが日本の生きる道だと思います。

四川大地震の救援に台湾の他に日本、韓国、ロシア、シンガポールが救援隊を派遣します。これは世界が東西陣営に分かれて対立する冷戦時代を克服したからこそ生まれた状況だと思います。四川大地震はとても悲しい出来事を人々に齎していますが、同時に中国国内はもとより世界中で救援資金を集まり、同じ人間である「義」に基づく助け合いの状況が数多く生まれています。このことは被災地の人々だけでなく、世界の人々に励ましを与えていると思います。

日本国憲法前文は「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」ことが述べられています。私は「人間相互の関係を支配する崇高な理想」の一つは、困った時に助け合う精神だと思うのです。

軍事力に依拠して自らの安全保障を図ろうとすることは、人間を信じなくていつまでも疑心暗鬼の世界に生きることになるのだと思います。

外交は国の専管事項だとすれば、姉妹都市締結は越権行為となるのでは/山崎孝

2008-05-18 | ご投稿
【原子力空母問う住民投票条例/自公・民主系が否決/横須賀】(2008年5月17日付け「しんぶん赤旗」)

 神奈川県横須賀市議会は十六日、原子力空母の横須賀配備と安全性を問う住民投票条例案の採決を行い、日本共産党などの賛成八、自民、公明、民主系など反対三十三、退場一で否決しました。

原子力空母配備予定が八月十九日と決まるなか住民投票条例を求める市民は条例案が否決された昨年に続き、条例制定へ立ち上がりました。前回より一万人余を超す五万二千四百十七人(有効署名数四万八千六百六十一人)を集めました。有権者の七人に一人にあたります。

採決に先立ち反対討論をした自民党の竹折輝隆市議は「日米安保体制と、(通常空母がなくなったなかでの)原子力空母の必要性」を強調し、住民投票の実施は「地方公共団体の範疇(はんちゅう)を超え」「将来に大きな混乱」を起こすとのべ、公明党の板橋衛市議は「賛否を問えば地方自治体が外交処理に関与し、制限する可能性がある」とのべました。

日本共産党の大村洋子市議は賛成討論で、蒲谷亮一市長が「国の専管事項であり住民投票はなじまない」としたことを批判し、「市民が『賛成』『反対』の意見を表明したいのは当然。それを受け止めることが市長の役割だ」と主張しました。また、地方自治、地方分権に照らして同条例制定の意義を強調し、住民投票条例の制定を強く求めました。

条例案の否決後、国に原子力空母の安全性の確保と防災体制の強化などを求める意見書を全会一致で可決しました。(以上)

★コメント 自民党の竹折輝隆市議は「日米安保体制と、(通常空母がなくなったなかでの)原子力空母の必要性」を強調しました。竹折輝隆市議の空母の必要性を具体的な事実で表現すると、イラク戦争を比喩すると、神奈川県横須賀を母港にしている空母キティーホークの艦載機が、5375回出撃し、イラクに約390トンもの爆弾を投下していますから、如何なる国の領土も侵犯してはならないとする国連憲章を破り他国を攻撃し、罪のない民衆を巻き添えにして戦争する(殺す)ことに、郷土が横須賀市民が協力しても良いと言っていることになります。

原子力空母は巨大な原子力兵器です。核兵器を日本に持ち込ませないとする原子力の平和利用の原則に反します。

4月17日の名古屋高裁は、平和的生存権について

《憲法9条が国の行為の側から戦争放棄や戦力不保持を規定していることから、平和的生存権は憲法上の法的な権利として認められるべきだ。憲法9条に違反する国の行為、すなわち戦争の遂行などによって個人の生命、自由が侵害されたり、戦争の遂行への加担・協力を強制されるようなときには、裁判所に違憲行為の差し止めや損害賠償請求により救済を求めることができる場合があると解することができ、平和的生存権には具体的権利性がある。「平和」が抽象的概念であることなどを根拠に平和的生存権の権利性や具体的権利性の可能性を否定する見解があるが、憲法上の概念はおよそ抽象的なもので、否定されなければならない理由はない》と判断しています。

これを見れば、原子力空母の横須賀配備と安全性を問う住民投票条例案を求める行為は「戦争の遂行への加担・協力を強制されるようなときには、裁判所に違憲行為の差し止めや損害賠償請求により救済を求める」ことと同じ範疇に入る事柄だと思います。蒲谷亮一市長の「国の専管事項」という主張は正確ではありません。

憲法第12条の自由や権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならないと規定してあります。憲法が保障する平和的生存権は政府が憲法の理念を活かした政治を行わない以上、国民は不断の努力によって、憲法の理念を保持しなければならないことになり、住民投票条例案を求める行為は憲法を守り活かす精神に適うことです。

外交が、国・政府の専管事項というのであれば、当時の政府の外交方針 台湾政府が中国の国連代表権を持つとしたのとは違う立場で、日本卓球協会の後藤押二会長は中国選手の招聘を行ない、名古屋で世界卓球選手権大会を行なう。地方都市がいろいろな縁で自主的に結ぶ外国の都市との友好を図る姉妹都市関係があります。これらは論理的に言えばこれはしてはいけないことになります。自分たちと考えが違うことを理由に専管事項と主張するのは説得力がありません。地方議員は憲法の規定に従う義務が一般市民より重いのです。政府の外交も憲法の理念に従うべき事項です。

参考 1970年12月31日の毎日新聞の報道

【「台湾除き中国招く・名古屋で開く世界卓球後藤協会長が決意」】

 1971年3月18日、名古屋で開く世界卓球選手権に中国を招く問題について、アジア卓連加盟の台湾への配慮からこれまでに明確な態度表明を避けてきた日本卓球協会の後藤押二会長は30日「国際卓連の規則に従ってアジア卓連から台湾を除き、中国の世界選手権参加を推進する」ことを決意、同協会・四十栄伊久治事務局長にその準備を進めるよう指示した。この結果、同協会は新春早々にも日中文化交流協会・中島健蔵理事長らに会って中国参加への協力を求めることになり、実力ナンバーワンの中国が4年ぶり(第29、30回欠場)に世界選手権に登場する道が開かれる。(以上)

「世界選手権を名実ともに世界選手権とするために中国に出場してもらわなくてはならない。国際卓連の規則に従い台湾を除外するよう主張する」という後藤会長の談話も報ぜられています。

第31回世界選手権大会は、ピンポン外交と言われる外交の場を与えました。周恩来首相は米国との関係を改善する一つとして、世界選手権大会で中国選手は米国選手と接触して友好的な交流をするよう指示していました。これがひとつの役割を果たして1972年2月のニクソン大統領の衝撃的な訪中、これにより中国と米国は国交回復に向かいます。当時のニクソン米大統領も米中の関係改善を模索していました。その後、日本も田中角栄首相の訪中で国交回復を果たします。

沖縄の若者は旗やプラカードを掲げながら平和を訴える/山崎孝

2008-05-17 | ご投稿
【激戦地反戦誓う/平和行進】(2008年5月17日付沖縄タイムス)

「5・15平和行進」(主催・同実行委員会)の第一日は十六日、県内外から約千二百人が参加し、三コースで行われた。名護市辺野古から金武町までの東コース、名護市役所前から恩納村万座ビーチまでの西コース、那覇市役所から糸満市ひめゆりの塔までの南コースで、平和や基地撤去を訴えた。行進は十七日も続き、午後三時から北谷町砂辺馬場公園で東コースと西コースが合流し「嘉手納基地の機能強化、爆音被害に抗議する決起集会」を開く。

沖縄戦の激戦地となった南部路を歩く南コースには、県外からの三百人を含む約五百人が参加した。那覇市役所を出発、糸満市の白梅之塔を経てひめゆりの塔までの二〇・七キロを七時間かけて歩いた。

コース途中の小中学校の壁面には、子どもたちの寄せ書きが掲げられ、参加者を激励した。

國吉司団長(47)は「戦跡の多い本島南部を歩くことで、悲惨な沖縄戦の実相を学んでほしい」と強調。鈴木勝幸さん(29)=東京=は「子どもの未来のためにも大人が頑張らなきゃと思った」と汗をぬぐった。

ひめゆりの塔で一行を出迎えた元ひめゆり学徒隊の島袋淑子さんは「戦争を知らない若い方々が旗やプラカードを掲げながら平和を訴える姿に、私たちも励まされた」とあいさつ。

県外からの参加者は資料館を見学したり慰霊塔に手を合わせて反戦平和を誓った。

    ◇     ◇     ◇     

真剣な思い 平和に向き合う意味を問う

午前十一時ごろまでは曇り。このままの天気を願いつつも、その後は太陽が照りつける真夏日。直射日光が肌を刺し、ヒリヒリした。見渡すと真っ赤に日焼けしたたくさんの顔。名護市辺野古から金武町営グラウンドまでの十八キロを歩き、平和を真剣に考えている人々がいることを実感した。(西里大輝)

横浜市に住む大橋紀子さん(68)。「五歳の時に終戦を迎え、道路に焼け焦げた人の死体が並ぶ光景を見た。厚木基地から飛んでくるヘリコプターの音に戦争を思い出す。静かで平和な日本にしたい」と願った。

初めて来県し、交通整理に飛び回った木崎宏哉さん(25)は「沿道の人が手を振ったり声援を送ったりしている。この行進が支持されていると感じた」。北海道から参加、地元の思いに触れたという。

辺野古で座り込みを続けている嘉陽宗義さん(86)は「毎年ありがとう。涙が出る思い」と早くから出発地を訪れ、思いを託すように参加者を見送った。

行進初日、県民の姿は少なかった。平日で仕事がある、仕方がないのか。関心が薄れているのか。歴史を知らない結果なのか。

深く考えず参加したが、多くの人と話し、沿道の人々を見ながら、平和に向き合う意味を突きつけられた。(以上)

★コメント この平和行進には、いせ九条の会の会員が参加しています。私が18日の講演会と総会の参加呼びかけをしていてわかりました。

沖縄の人たちは歴史を歪曲して、教科書の記述を変えようとした勢力に一定の打撃を与えました。検定意見の撤回を求めて戦い続けています。

歴史の歪曲は国内だけでなく海外からも批判を受けています。

対日「慰安婦」決議のひとつで2007年12月13日採択された欧州議会決議では、慰安婦問題にとどまらず歴史全体に対して「日本政府はどこの国の道徳的義務でもあるように政府と国民が自国の歴史の全体を認める手段を講じ、かつての自国の行動についての認識を涵養するように勧め、現在と将来の世代に歴史的事実を教育するよう要請する」となっています。

他に、対日「慰安婦」決議は、韓国国会、台湾立法院、フィリピン下院外交委員会、オランダ下院、カナダ下院で採択されています。