いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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公明党太田代表の言葉を考える/山崎孝

2007-07-31 | ご投稿
安倍自民党総裁の率いる自民党は歴史的な大敗を喫しましたが、自民党は安倍首相の続投を決めました。有権者の多数は安倍政権に不信任を突きつけましたが、不信任の声は自民党には届かないようです。

安倍首相続投について、公明党太田代表は30日未明、次のように述べています。「安倍首相は政策、目指す方向について、強い意志を示している。続投については、私どもも了とする」。

安倍首相の目指す方向とは盛んに主張してきた「戦後レジーム」からの脱却しての「美しい国」創り(国民が整然と隊列を組むことを美と感じる感覚のようです)です。その中身は戦前の教育のあり方を反省した教育基本法を変えて、子どもたちに愛国心教育を行い、政府に従順な国民を育てること、教育に国家の介入が出来るようにして国の教育方針に逆らう教師を不適格と評価して再任を拒否出来るようにしたこと。解釈改憲や明文改憲で平和主義の憲法を変えて、先制攻撃も辞さない米国との同盟において、集団的自衛権行使を可能にすること。公の秩序と称して個人の尊重より国家を重要とした国にすることです。これらは公明党の結党の看板「平和の党」とは異なり、公明党が主張する憲法9条を守ることとは確実に対立する方向です。公明党が安倍首相の「目指す方向について、強い意志を示している。続投については、私どもも了とする」という態度は「戦後レジーム」からの脱却を了解すると受け取れます。

★「九条の会」の呼びかけ人の一人、がんで末期であることを明らかにして、最後まで民主主義と平和のために戦った小田実氏が亡くなられました。とても残念です、哀悼の意を表します。

私は小田実著「何でも見てやろう」を読んでいます。題名からはかつて日本は戦争の拡大と共に政府の言うことに従順な国民を育てる教育方針が特に強化され「神国日本」という日本民族優秀と傲慢になり、日本人が「井の中の蛙」であったことから、それの脱却を図ろうという精神を感じました。

雑誌「世界」8月号は、小田実氏へのインタビュー記事を掲載しています。その一部分です。

(前略)現在の日本の状況を「戦前への回帰」と見ることはできないのではないかと思う。戦前は天皇制近代国家であって、現在の民主主義体制は存在しなかった。だから、私たちの目の前で進んでいる事態、すなわち安倍の「美しい国づくり」と比すべきは、戦前の日本ではなく、ナチが台頭し、少数者に権力が奪取されたワイマール共和国の末期なのではないか。(後略)

小田実氏にインタビューした「世界」岡本厚編集長は次のように述べています。

小田実氏を病室に訪ねたのは6月13日である。6月2日付けで知人・友人に送られた「市民の皆さんへ」には、「体調不良は末期――またはそれに近いガン」と判明した、と記されていた。頑健そのもののようだった大きな身体は、痩せてしぼんで見えたが、語り始めたのは、いつもの通り、戦争のことであり、安倍政権のことであり、人間の未来のことであった。

 ナチは、あたかも暴力的に政権を奪取したかのように誤解されているが、実は議会制民主主義のルールに基づいた選挙で政権の座についた。しばらくの間、ドイツの市民は歓迎し、あるいは何事も起らないかのように暮らしていたのだ。そのことを、いまの日本人はもっと考えるべきだ――と小田氏は力説した。

 先述の「市民の皆さんへ」に収録されているのは、小田氏が3月に参加した「恒久民族民衆法廷」の、フィリピンの夥しい民衆の暗殺事件に対する「判決文」である。米軍とフィリピン軍による民衆の暗殺事件の国際的告発だ。氏は「せめて事実調査の一団を組織して現地におもむきたい」が、「それはかなわぬことになった」と結んでいる。60年代ベ平連、70年代金芝河救援運動から今日にいたるまで、民の側、殺される側から正義を求め続けた氏の変らぬ姿勢である。(以上)

私たちは改憲派の、改憲しても日本は民主主義の国だから、戦前のようにはならない、という言葉に乗せられてはいけないと思います。既にイラク戦争へ加担したころから、ビラ配布活動へ警察や検察の干渉がはじまり、国歌・国旗法を悪用して教師への弾圧が行なわれています。防衛庁を省に昇格し、自衛隊の海外活動が本務に昇格し、自衛隊の市民運動監視が行われています。更に旧日本軍を免罪する動きも起きています。戦前も日中戦争の拡大に伴って、治安維持法の適用範囲が少しでも自由主義的と見なされた人にまで拡大され、そして良心的な教師たちが教室から追放され始めています。愛国心の強調、言論抑圧の後に戦争一色の時代が訪れています。油断は大敵です。小田実氏の市民の多数は「何事も起らないかのように暮らしていたのだ。そのことを、いまの日本人はもっと考えるべきだ」は教訓的な言葉です。

歴史的敗北を喫した首相は…/山崎孝

2007-07-30 | ご投稿
今回の参院選は、無党派層が増えてその票の流れが当落の鍵を握ると言われるようになった現在の国政選挙で、民主党が無党派層の票を独り占めにしたような選挙結果でした。5月に国民投票法が成立し、今回の参院選は憲政史上初めて憲法改正の発議にかかわる可能性のある国会議員を選ぶ選挙でもありました。

既に紹介していますが、2007年7月13日付朝日新聞掲載の「朝日・東大共同調査」の結果の記事によりますと、大きく議員を増やした民主党の候補者は、憲法改定に賛成35%、反対41%でした。9条についても、民主党の候補者は63%が「変えない方がいい」と回答しています。安倍内閣が検討を進める集団的自衛権の行使については、「朝日・東大共同調査」結果は、民主党の立候補者は、行使に反対が59%、「憲法改正で」が12%でした。議席を減らした公明党は9条の1項2項は守ると、再三、再四言明し、「朝日・東大共同調査」結果では、参院立候補者は「加憲」を掲げる公明は「環境権」を理由にしての憲法改定が87%を占めています。

これらを見れば、民主党の当選者が「朝日・東大共同調査」で表明したこの態度を変えない限り、そして公明党も態度を変えない限り、参議院においては、9条を変えて、集団的自衛権行使を行なうとする内容の改憲の国会発議は出来ないと考えることが出来ます。

沖縄選挙区において、野党の統一候補の糸数慶子さんが大差で当選をしています。今回の選挙は、憲法改定問題は後方に退いていましたが、憲法改定が一番の争点になる選挙では、沖縄選挙区みたいに大同団結し憲法を守る統一候補を立てて選挙戦に臨む必要があると思います。論理的な条件はあります。一番大切な国民の命と暮らしを守る政策は、現行憲法の理念に立脚してこそ出来るのです。

安倍首相は今回の選挙で、自民党は歴史的な敗北(朝日新聞で)と言われる結果を招いてしまいました。従って歴代政府が守ってきた憲法解釈を、安倍首相の私的諮問機関、集団的自衛権を研究する有識者懇談会が、今秋に憲法解釈変更は可能とする意見書を出しても、憲法解釈を変える資格と出来る道理は、もはや客観的には一つもありません。

9条を変える意見は、20人中2人/山崎孝

2007-07-28 | ご投稿
神戸大学教授(憲法学)和田進さんの言葉【「自民か民主か」ではない】 今度の参院選は、1950年代を除いて、初めて「改憲」を直接的な争点としていることで、決定的に重要です。

 鳩山一郎内閣を除けば戦後初めて、安倍内閣が公然と政権課題として改憲をかかげて登場し、改憲手続き法を成立させ、3年後以降、改憲の発議が可能になっているからです。今回選出の参院議員は、この改憲発議の議決権を持つのです。

 にもかかわらず、自民党も民主党も、マニフェストに「改憲」あるいは「改憲の方向性」を書いてはいますが、その中身をはっきりさせていないテレビでも積極的に触れようとしません。

 実は自民党は2005年に「新憲法草案」を、民主党も同年に「憲法提言」をとりまとめています。自民党案は「自衛軍規定」と「集団的自衛権の行使」で海外で戦争ができる国をめざしています。民主党案も、海外での武力行使を可能にする、「集団的自衛権の行使」を容認する方向をうち出しています。改憲案を2年も前にまとめているのですから、「政権」をうんぬんする政党としては、これで国民の信を問うのが当然です。ごまかしは許されません。

 今回の参院選の最大争点は、「自民か民主か」ではありません。こうした改憲方向で日本の50年、100年先をまかせていいのか、それとも憲法9条の立場を守りぬくのかだと考えます。(以上)

朝日新聞社は7月25日と26日に名古屋・栄の街頭で有権者20人に憲法について聞きました。「古い時代とともに変えるのが普通」として改憲に賛成する人もありましたが、戦争放棄を掲げた9条については、改憲に賛成した人も含め、「堅持すべきだ」との意見が圧倒的に多かった。9条改正に、はっきり賛成したのは20人中2人でした。これは新聞社の電話などによる世論調査の結果と同じ傾向です。

憲法は国のあるべき姿を決める最高法規です。日本国憲法は自由と民主と平和主義です。平和主義の根幹を成しているのが9条です。憲法9条を守り、生かす立場で政党を選んでほしいと思います。

公明党 沖縄を平和の拠点島という不思議/山崎孝

2007-07-27 | ご投稿
公明党の参院選マニフェストの中に《平和の拠点島「沖縄」を世界に宣揚するため、国際機関を誘致》(朝日新聞7月27日の記事より)と書かれています。

沖縄の普天間基地は米海兵隊ヘリ部隊の拠点で、兵員約3千人、ヘリなどは52機常駐しています。そのヘリコプター部隊が2007年2月に入って一時、完全に姿を消しました。イラクやアフガニスタンの「対テロ戦争」へ派兵されたと言われます。沖縄の海兵隊は最近、イラク派兵が常態化しており、ヘリ部隊が姿を消したのも2004年8月から2005年の3月にかけて2回ありました。

このように他国を攻撃する米軍基地がある沖縄が平和の拠点島と、どうして言えるのでしょうか。沖縄に国際機関を誘致しただけでは、沖縄が平和の島にはなれません。

公明党は、最低でも今やれることとして、イラク戦争を熱狂的に支持していた米国民さえ、現実を見て不支持に変わっている状況を直視してイラク戦争に反対する必要があります。

公明党は国連決議もない米軍の他国を攻撃することを認めておいて、国際紛争の解決に武力を行使してはならないとする憲法9条1項、そして2項を変えないという考えはあまりにも矛盾します。平和の党と自称した原点に立ち戻るべきだと思います。

自民党の参院選マニフェストの中に《自衛隊の海外派遣が迅速に可能となる一般法の制定を目指す》(朝日新聞7月27日の記事より)があります。この一般法は集団的自衛権行使を視野に入れている法律です。自衛隊の海外派遣を迅速にするというマニフェストは、2007年2月にまとめられた「第2のアーミテージ報告」に歩調を合わすものです。同報告は、日本の憲法の集団的自衛権不行使の規定が日米同盟の制約になっていることを指摘し、情勢が必要とする時に直ちに自衛隊を派遣出来るようような柔軟性をもった「成熟したパートナー」になることを日本に求めています。

自民党の参院選マニフェストの中に《個別具体的な類型に即し、集団的自衛権の問題を含め憲法との関係を整理し、安全保障の法的基盤を再構築》(朝日新聞7月27日の記事より)があります。

安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の柳井俊二座長は、7月10日、朝日新聞社のインタビューで、集団的自衛権の行使容認を安倍首相に求める報告書を今秋まとめる意向を表明しています。

この自民党のマニフェストは解釈改憲をして(1)公海上で自衛艦と並走中の米艦船が攻撃された際の反撃(2)第三国が発射し、米国を狙った弾道ミサイルに対するミサイル防衛(MD)システムでの迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)などで、他国軍が攻撃を受けた場合、自衛隊が応援に駆けつけ支援するなどを可能すると言うことです。これらはすべて現行憲法では内閣法制局が個別的自衛権の範囲を超えた活動とするものです。日本が攻撃されていないのに、日本がわざわざ戦争に参加していくことになります。

このようなことを行なおうとする自民党であることを、有権者はよく認識して参院選の投票をしてほしいと思います。


教科書執筆者証言 いきなり軍命否定説に立って書けと/山崎孝

2007-07-26 | ご投稿
【「集団自決」検定/執筆者「恣意的」と非難】(2007年7月25日付沖縄タイムスより)

高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された文部科学省の教科書検定に反対する緊急集会(歴史教育者協議会など主催)が二十四日夜、都内で開かれた。検定の対象となった教科書の執筆者らが今回の検定を「根拠が乏しく恣意的」などと非難し、出版社なども巻き込んだ検定意見撤回、記述回復の運動を首都圏でも積極的に展開する必要性を確認した。

集会には首都圏の歴史教育関係者ら百二十人が詰め掛けた。

東京書籍「日本史A」を執筆した都立高校教師の坂本昇さん(51)は、昨年末にあった検定意見の通達を振り返り、「二時間以内で、この日示されたばかりの十八カ所に上る検定意見についての対応策を迫られ、やむなく修正に応じてしまった。じくじたる思いが残った」と悔やんだ。

その上で生徒たちの手に渡る「供給本」の印刷が始まる十一月を前に、執筆者有志らで対応策を検討する考えを強調。具体例として、(1)二〇〇七年の出来事を追加記述する教科書のスペースに、今回の検定問題と沖縄、全国の動向を書き足す(2)「正誤訂正」を申請する―などを挙げた。

一方、実教出版「高校日本史B」を執筆した石山久男さん(歴史教育者協議会委員長)も「両論併記を求めるのでもなく、いきなり軍命否定説に立って書けという検定。これほど恣意的な検定はない」と非難し、首都圏でも同問題への取り組みを広げていく必要性を強調した。(以上)

歴史修正主義者が糾合する安倍政権下で文部科学省が、国家主義の国を再び作るために、子どもたちに軍隊の本質を隠し、偽りの歴史を伝えようとしても、【子や孫のために真実を語り残そう】として沖縄の人たちは様々な形で戦争の本当の姿を伝えていこうとしています。

【実相一途/北島さん「集団自決」芝居100回超】(2007年7月22日付沖縄タイムスより)

「庶民は、体で感じた痛みを絶対に忘れない。うそをついているのは偉い人だよ」。女優の北島角子さんが二十一日、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」を題材にした一人芝居「赤いぶくぶくー」を演じた。体験者から直接聞いた話を基に書き上げ、重ねた上演は百回以上を数える。(阿部岳)

軍による強制の事実をゆがめる動きが強まる中、戦争を体験した同世代へ「子や孫のために真実を語り残そう」とのメッセージを込めた。

舞台は座間味島。「赤いぶくぶくー」は、主人公の父が母の首をかみそりでかき切った時の血の泡を指す。米兵の上陸でパニックになった家族が殺すよう懇願し、父が次々に手を掛けた。生き残った主人公が、娘に初めて体験を語り聞かせる。

「一生誰にも話したくないと思っていたけど、あの時亡くなった人たちの生きた証しがないのは、あんまりかわいそう。話すのは生き残った者の責務かもねえ」

北島さんは復帰前後、本土の記者が「集団自決」を取材しようとしたが応じてくれないと嘆く記事を読んだ。「語りたくても語れないつらさが分からないのか」。この時の怒りをきっかけに書いた作品を通じて、悲惨な実相を伝え続ける。

浦添市で開かれた「憲法を考えるつどい」(主催・コープおきなわ有志九条の会)での上演。北島さんがウチナーグチで語り、体全体を使って再現する惨劇に、約二百人の会場から悲鳴が上がった。ハンカチで顔を覆ったまま泣き続ける女性、「聞いちゃおれない」とつぶやき、席を立つお年寄りもいた。

上演後の楽屋。北島さんは教科書検定による軍関与の記述削除などの動きに、「なかったことを、あったという住民がいるか。名誉を守りたい偉い人が本当のことを隠している」と、率直な怒りを語った。「私は車いすになってもしゃべり続ける。それぞれの家の中から平和を考えてほしい」と願いを込めた。

改憲争点は後景に退けても参院選での憲法問題の重要性は変わらない/山崎孝

2007-07-25 | ご投稿
安倍首相は戦後レジームからの脱却を唱え、そのレジームの一つの柱である教育については、国家の不当な支配を排除した教育基本法を変え、また、教育関連の3法を国会で成立させ、教育に対する国家の介入ができるようにしてしまった。しかし、国民投票法を成立させ、戦後レジームからの脱却の最大の柱とした改憲、参院選の争点したかった改憲問題は身近と感じられる年金などの問題で後景に退いた形となっています。

政府の政策作りの根本的な考え方は、憲法の基本理念を認識度により左右されます。現行憲法の基本理念の一つは「個人の尊重」です。それに踏まえて政府の政策が、国民が健康で文化的な生活を維持できることに適っているかどうかだと思います。

この考えがよく検証できる法律は「障害者自立支援法」でした。「個人の尊重」という理念ではなく、国家の財政負担を軽くすることを考えたことで、障害者と障害者の生活を支える施設に大きなダメージを受けるに至っています。「障害者自立支援法」は、自民党新憲法草案の前文「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感をもって、自ら支え守る責務を共有」に類似した考え方の法律です。

朝日新聞の7月25日の社説は参院選との関わりで改憲問題を論じています。社説を紹介します。

【憲法問題 白紙委任しないために】

今年初め、憲法改正を参院選の争点に掲げたのは安倍首相だった。ところが、選挙戦に入ってからの首相の街頭演説を聞くと「国民投票法が成立した。新しい憲法を書こうじゃありませんか」などと、極めておざなりだ。

 自民党のマニフエストは、3年後に改憲案を国会で発議することを目指すとし、そのための国民運動を展開するとあるだけだ。憲法9条を改正し、自衛軍を持つのが自民党の改憲草案の根幹だが、そんな中身は一切触れられていない。

 首相の意気込みはいったいどこへ消えたのだろうか。憲法改正は、首相が掲げてきた「戦後レジームからの脱却」の中核の主張だったはずだ。代わりに、社会保険庁の改組や国家公務員の天下り規制が「戦後レジームからの脱却」と位置づけられているのは驚くばかりだ。年金問題などで応戦に追われる事情はあるにせよ、当惑する有権者は多いだろう。

 民主党はこの選挙で憲法にはあまり触れない戦術だが、共産、社民などは護憲を前面に立てて、支持を訴えている。奇妙なことに、仕掛けた側の自民党が論争を避け、後ずさりしている印象なのだ。

だが、論争が低調だからと言って、今度の選挙の結果が憲法問題の行方に大きく影響することは変わりない。

 参院議員の任期は6年だ。自民党の言う通り3年後の改憲発議があるとすれば、今度選ばれる議員はその賛否にかかわることになる。自民党の候補者は、改憲の中身や態度を語る責任がある。白紙委任するわけにはいかない。

 もう一つ、憲法9条の根幹にかかわる集団的自衛権の解釈の問題が、首相の私的な有識者懇談会で議論されているのを忘れてはならない。

同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして阻止する集団的自衛権は、憲法9条で認める必要最小限の自衛の範囲を超える。だから行使できない。それがこれまでの政府の態法解釈だ。

 そこを米軍と自衝隊がより緊密に協力できるように、解釈を改めたいというのが、首相の意を受けた懇談会の方向だ。政府がその線で踏み出せば、憲法9条の歯止めが失われることに等しい。

 それほど重要な争点なのに、自民党マニフェストは「集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係を整理し、安全保障の法的基盤の再構築を行う」とするだけで、結論をぼやかしている。

首相も「懇談会で議論を深めている最中だから」と最終的な方向づけは避けているが、それでも解釈変更の必要性は唱えている。

 自民党が勝てば、首相は懇談会の報告に沿って、集団的自衛権の行使容認に踏み込むに違いない。改意への動きにも拍車がかかるだろう。逆に自民敗北ならば、ブレーキをかけざるを得まい。

現在の論戦では目立たないが、こうした論点を見落としてはならない。

日本には政治的な平衡感覚が特に必要/山崎孝

2007-07-24 | ご投稿
「エルダーズ」については既に紹介していますが、再度、このグループのことと関連して述べます。

7月18日、国際的な人道グループ「エルダーズ」の設立発表の場で、マンデラ南アフリカ前大統領は「不安があるところは勇気を支援し、紛争があるところは合意を育み、絶望があるところには希望を与えるだろう」と述べました。「エルダーズ」とは年配者たちを意味し、豊かな知恵と経験を結集し、貧困や紛争などに取り組むグループです。

年配者たちという言葉から思うことは、日本の政治は戦争体験がなく、日本の戦争の歴史を肯定的に捉える政治家の主導で動いています。その代表格の安倍首相はPKOで他国部隊が攻撃されたら応援に駆けつけることを考えます。紛争を調停して合意を育もうとする考えではありません。紛争当事者を軍事的に押さえ込む、偶発的に起こる衝突でも自衛の範囲を超えて反撃し制圧するという考え方です。PKOの性格、「紛争地に非暴力の原理を持ち込む」を全く理解していません。

東アジアの情勢は2月に6者協議の合意が成立し緊張緩和の方向に向かいますが、5月18日、安倍首相は、集団的自衛権行使を研究する有識者懇談会で、北朝鮮の核開発などを挙げ、わが国を取り巻く環境は格段に厳しさを増しているとして、隣国が警戒する海外での武力行使の解禁を考えます。

野中広務氏は「自民党は戦争の好きな政党になっちゃった」と言い、山崎拓氏は、党内は軍事力を背景としない外交は迫力に欠けるという考え方の人が多くなったと言っています。このような考え方が露出したのが、従軍慰安婦問題で軍隊の関与を否定する、沖縄戦における住民の集団自決死に対する軍隊の関与の否定です。

このような政権党の日本では豊かな知恵と経験に学んだ人たちの平衡感覚が特に必要です。

註 野中広務氏の言葉は「論座」5月号の記事、山崎拓氏の言葉は朝日新聞3月9日付からです。国連平和維持活動の創設に取り組んだブライアン・アークハート氏は、国連平和維持活動の性格について、「武器は持っていくが使わず、非暴力の原理を紛争地に持ち込む」と朝日新聞紙上で述べています。

どちらが現実を直視していないか/山崎孝

2007-07-23 | ご投稿
朝日新聞7月22日付記事は次のように伝えています。

小泉前首相は7月21日、大阪府高槻市での演鋭会で、自衛隊が戦力にあたらないとする考え方について「めくらになっちゃってる」と発言した。その直後に「差別用語だから、撤回しないといけない」と述べ、「現実を直視していない」と言い換えた。

 小泉氏は「総理は何でも批判される。(自分が首相だった時に) 『自衛隊は外国から見たら軍隊じゃないか。戦力あるんじゃないか』と言って批判された」と語った。そのうえで、憲法9条2項について「常識に合わない。だからそこを変え、自衛軍を保持するとする方が自然だ」と自民党の憲法改正草案をアピール。「戦力ない自衝隊なんて意味がない。これを戦力ないんだって(言うのは)、もう(現実を)見ない、めくらになっちゃってる」と述べた。(以上)

小泉前首相は在任中に近代憲法の常識である立憲主義に反する、憲法を現実に合わすと述べていましたから、この考えに基づく演説と思います。

自衛隊には戦力があります。しかし、日本が攻撃された場合のみに用いられる戦力です。自民党の改憲は、米軍と肩を並べて共に戦う時に(安倍首相の表現)戦力を使うようにすることです。従って自衛隊に戦力があるか、ないかが改憲の論争点ではありません。

小泉前首相は《憲法9条2項について「常識に合わない」》と言っていますが、小泉前首相の在任中に始めた在日米軍の再編で、自衛隊の司令部が米軍の司令部と同居(一体化)することこそ世界の常識に合いません。自衛隊のある幹部は、自衛隊と在日米軍の一体化が進めば、進むほど日本独自の政策が困難になると述べています。

米軍のグアムへの移転費は日本の負担は3兆円と言われています。外国の軍隊の移転費を負担することも他国には例を見ないことだと言われています。これも世界の常識と合いません。

イラクに派遣した陸上自衛隊員の命を守った現実があります。海外で武力行使をしてはならない憲法規定により、イラクで自衛隊は宿泊地を何回も攻撃を受けましたが、戦闘行動を任務としなかったため、強固なシェルターに避難することが出来ました。武力組織が海外で戦わなくても、日本国民には通用します。自衛隊などのあり方を常識論で論ずるならば、小泉政権の政策の方が世界の常識に合わないこと方が多いのです。

憲法9条2項は日本の戦争の歴史の所産です。憲法9条2項は、憲法前文と9条1項とワンセットになった条文で、日本が軍隊を持とうとしなかったのは、戦前の日本が中国に派遣した軍隊は暴走する、軍部が政治に介入をして気に入らない内閣を倒したり、政治家を殺して戦争への道に引っ張っていった教訓を踏まえたものです。憲法の規定はこのことを理解しないといけないのです。だから当時の日本国民の多数は軍隊を持たないとする現在の憲法を歓迎しました。自衛隊が発足したときには、「海外に派遣しない」とした国会決議をしています。

小泉前首相が、現実・事実を直視しなかったことを挙げれば、国際世論がイラク戦争に反対し、当時の国連事務総長から国際法違反といわれたイラク戦争を支持し、イラク特措法の規定が自衛隊の活動するのは非戦闘地域だとすることに関連した質問に、自衛隊の派遣するサマワが戦闘地域か非戦闘地域かわからない(小泉前首相の国会答弁)所に自衛隊を派遣したことです。国連決議1441ではイラク攻撃は出来ないとする国連安全保障理事会の多数意見や国際法学者の見解を無視して、小泉前首相はこの決議を根拠にして何回もイラク戦争支持を正当化しています。

小泉政権より始めて安倍政権が引き継いだ航空自衛隊のイラクでの空輸の実態について中日新聞の情報を参考にして述べると、現場が常識としていることを、空自関係者は「(輸送する)米兵がイラクで何をしているかは正直、分からない。(任務は)聞かないのが現場の常識であり、暗黙のルールだ」と言い切ります。

そして活動現場の現実は、2007年7月に入り、開戦以来の米兵の死者数は3600人を突破。死が日常化している戦場で「戦闘地域か非戦闘地域か」運ぶ人員が「戦闘員か非戦闘員か」の問いかけ自体が、現実を無視した「ナンセンスな議論だ」という。政府見解で「非戦闘地域」となっているバグダッド空港も、実態は戦場に近い。

隊員の耳にも日々、確認情報が届く。「離陸前の待機中、機体のすぐ上を複数の迫撃砲弾が飛んだ」「飛行してきたばかりのルートを着陸直後、ミサイルが通過した」。いずれも数分の差で被弾していた可能性が高い。中堅の隊員は「飛ぶ日には必ず自室に遺書を置いていく隊員もいる」と明かします。この現実は自らが制定した法にも違反しています。このイラク派遣空自の活動の現実を直視して、日本国民(自衛隊員)の命を守るために政策を改めなければならないのは、小泉前首相や安倍首相なのです。このことを含めて有権者は参院選で意思を表明しなければならないと思います。

小泉前首相は「総理は何でも批判される。(自分が首相だった時に)とのべていますが、そうではありません。小泉前首相が北朝鮮に行き、「日朝平壌宣言」をしたときは、小泉政権の政策を批判していた人たちは賛成をしています。政権党の政策が国民にとって良いか悪いかで判断します。

命を大切にすることを出発点にしている日本国憲法/山崎孝

2007-07-22 | ご投稿
新聞に投稿した文章が、運良く採用されましたので、ブログに投稿します。

2007年7月22日付朝日新聞「声」欄掲載文【憲法を生かし いのちを守ろう】

 本紙「ポリティカ日本」(16日)は、がんで余命半年と宣告された現職参院議員が「私は国会議員の仕事は人々のいのちを守ることと思った」と語る演説を紹介し、「命は大切にされているか」という観点で、政治や社会を論じていた。その結果、参院選の争点の奥底にあるほんとの争点は、「『いのちを大切にすること』から出発しているかどうかということなんだなと私も思った」と書いていた。同感だ。

 命を大切にすることを出発点にしている、と言えるのが日本国憲法だ。日中戦争、太平洋戦争を起こした日本は、憲法前文で政府の行為により再び戦争の惨禍を起こさないと決意し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持すると述べる。第9条では国家の手で人命を奪わない考えの戦争放棄の規定をした。

命を大切にすることと密接に結びついている個人の尊重を第13条でうたい、第25条では健康で文化的な最低限度の生活の保障を政府に課している。

政府が危険なイラクに自衛隊を派遣している現実やとてもひどい格差社会を見れば、憲法の精神を生かす政治こそが、国民の命と、生活を守ることになる。(以上)

次に紹介します文章は、同日の「声」欄に掲載されていて、読むと涙がにじんでくる内容です。国家の政策で命と人生を奪われた人の悲しみと、軍国主義が奪えない人間の本来の心が伝わります。日本とアジアの国、そして米英豪の人たちに大きな悲しみを齎した歴史の教訓の上に、日本国憲法の決意と理念があることを改めて感じます。

【伯父が残した歌を小冊子に】画家 金井順子(愛知県春日井市57歳)

 伯父、吉本正三は昭和15年、代用教員をしていた岐阜県土岐市から旧満州(中国東北部)にあった火薬製造会社に就職し、そのまま現地召集されました。戦死は免れたのですが、昭和20年11月10日、ニューギニアで引き揚げ船を待つ間に病死しました。30歳でした。

短歌誌の同人で、戦地からも投稿したそうです。手元に残る120余りの歌を弟である父たちが、手作りの小冊子にまとめました。

ふるさとの方と思える秋空をユンカース一風切りてゆく

 淋しとも生きねばならぬ大陸の無辺の空に浮けるしら雲

 即時出頭の命令電話電撃の五体貫く思いしにけり

 み召し受けて出で征くわれに今の今会いたしと思う父ひとりあり

以下は、戦友が生家に届けてくださった遺品の手帳にあった歌です。

 待てばとて今日も甲斐なく暮るる日の船来ぬ海の波風の音

ゴムの木の枝を削れる一片の墓標の下に眠るわが戦友

仏桑華赤き花咲く戦線に吾生きてあり夢ならぬなり

吹く風にただよう雲にふるさとの秋ふかからむ山川をおもう

遺影だけの伯父ですが、残した歌を少しでも多くの人たちに知っていただきたくて、ペンをとりました。

6カ国協議首席代表会合で抵抗したのは…/山崎孝

2007-07-21 | ご投稿
【6カ国協議:作業部会の8月開催合意 第2措置盛り込まず】(2007年7月20日付毎日新聞より)

【北京・中澤雄大】北朝鮮の核問題を解決するための6カ国協議首席代表会合は20日、議長国・中国の武大偉外務次官が3日間の議論を総括した報道コミュニケを読み上げて閉幕した。コミュニケには「既存核施設の無能力化」「核計画の完全な申告」など第2段階措置の手順、履行期限は盛り込まれなかった。

北朝鮮が寧辺核施設の稼働を停止した直後に開かれた今会合は、北朝鮮がすべての核廃棄に向け「約束を真剣に履行する」ことを確認。だが日米などと北朝鮮の間に主張の相違があり、具体的論議は今後の作業部会に先送りされた。米国などは第2段階の年内完了を目指すが、困難になった。

6カ国は朝鮮半島非核化、日朝国交正常化など既存の五つの作業部会を8月末までに開催することで合意。また、9月上旬に北京で全体会合を開き、作業部会の議論を踏まえ、核の廃棄に向けたロードマップ(行程表)を作成する。6カ国外相会合を全体会合後、可能な限り早く北京で開く。

外相会合の具体的日程が決まらなかったことについて、日本外務省幹部は「日本が抵抗した」と語った。拉致問題の進展がないまま協議が進み、エネルギー支援参加を約束させられる事態を懸念したためとみられる。

◇報道コミュニケの要旨 20日に終了した6カ国協議首席代表会合の報道コミュニケの要旨は、次の通り。

一、6カ国は05年9月の共同声明と今年2月の合意文書にある約束を真剣に実施すると確認した。

一、北朝鮮は核廃棄のための「第2段階」措置である「すべての核計画の完全な申告」と「既存の核施設の無能力化」に対する約束を真剣に履行すると確認した。

一、他の5カ国は北朝鮮に95万トンの重油相当を限度とする経済、エネルギーや人道支援を提供する。

一、6カ国は共同声明と合意文書にある義務を「行動対行動」原則に従い、実施すると約束した。

一、6カ国は8月末までに(1)朝鮮半島非核化(2)米朝国交正常化(3)日朝国交正常化(4)経済・エネルギー協力(5)北東アジアの平和・安全保障メカニズム--に関する五つの作業部会を開く。

一、6カ国は9月初めに第6回6カ国協議第2回本会合を北京で開き、全般的なコンセンサスを実施するロードマップ(行程表)を作成する。

一、6カ国は第2回本会合後、できるだけ早く外相会合を北京で開き、共同声明履行を確認、合意文書と全般的な合意の実施を促し、北東アジア地域の安全保障協力を強化する方策を探求する。(以上)

私はヒル国務次官補が意欲を示していた、第2段階措置の手順、履行期限が盛り込まれなかったのは、北朝鮮がなんかの理由で抵抗したのかと思いましたが、《外相会合の具体的日程が決まらなかったことについて、日本外務省幹部は「日本が抵抗した」と語った》と報道していますからそうではなかったようです。

朝日新聞の20日付は、《韓国の千英宇朝鮮半島平和交渉本部長は議長声明に履行期限が盛り込まれなかったことについて「北に時間を引き延ばすという考えはなく、義務を履行したいという意欲を明確にした」と北朝鮮を擁護した》と報道しています。

中日新聞20日付は、ヒル代表の見解として、《六カ国協議米首席代表のヒル国務次官補は19日夜、「次の段階の措置」の履行期限設定を断念した理由について「決めないといけないとは思うが、『初期段階の措置』の履行もすでに遅れている。作業部会で見返り支援や技術的な問題を詰めてから、次の段階の期限を設定することになった」と説明。北朝鮮が期限設定を拒んだわけではないと述べた。米国は、核施設の無能力化など「次の段階」の年内履行を目指していた。ヒル次官補は、個人の見解として「まだ年内履行は可能だと思う」と意欲をにじませた》と報道しています。

6者協議の経過を振り返ると、北朝鮮の核問題をボルトン氏の「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」という考えが2005年初めくらいの頃のブッシュ政権の考え方で、北朝鮮が要求する米朝二国間会談もかたくなに拒否をしてきました。しかし、中国が主導して2005年9月に、北朝鮮は6者協議で、北朝鮮の安全を保障すれば軍事用の核兵器を廃棄すると約束し、米国は北朝鮮の核兵器の廃棄を実現すれば安全を保障すると約束します。後はどのような行程で実現させるかで、意見の対立が残りました。

2006年に米国の金融制裁が始り、それに北朝鮮が反発して冒険主義に走り核実験まで行う。国連はこれに対して北朝鮮に経済制裁は加えたが、軍事的制裁は排除して6者協議への復帰を北朝鮮に呼びかけた。その後6者協議は12月に再開し、2006年9月の基本合意は確認されたが、それ以上の進展はなく休会となっていました。

6者協議が進展したのは、2007年1月に米朝二国間会談がベルリンで行われ、ヒル国務次官補は「有用な話し合い」と評価します。この米朝の話し合いの報告に基づいて中国が2月に6者協議合意のたたき台を作り、6者協議が開かれて合意が成立しました。

元を正せば、北朝鮮と5カ国の関係は、北朝鮮は韓国、中国、ロシアとは基本的には対立関係ではなく、経済的な支援を韓国と中国に受けていて、軍事的な圧力をかける米国に対しては、北朝鮮は自らの安全の保障を求めていた問題でした。

北朝鮮は支援を受けていた旧ソ連の崩壊で打撃を受けたり、国民の自由な意思を抑圧してきたために、個人レベルの能動的な力を結集することが出来ず、自立した国づくりに失敗しています。そのため東アジア地域の安定のためには、北朝鮮を経済的に支援しないといけない状況があります。国連も人道的支援を行なっています。

6者協議に参加する日本は、2月の合意で、第2段階では経済支援をしなければならない立場に立たされています。北朝鮮に軍事的な核を放棄させることは日本の安全保障にとって不可欠な要素です。

この認識が大切なのに全く逆の政策を追求する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の5月18日の初会合で、安倍首相は「北朝鮮の核開発や弾道ミサイル問題など、わが国を取り巻く環境は格段に厳しさを増していると述べています。この言葉は6者協議の2月合意を無視した安倍首相の偏屈な情勢認識です。

この情勢認識から導き出される政策は、解釈改憲してまで、米国に向かうかも知れないミサイルを撃ち落すというような、撃ち落せる確立が定かでない政策を追求します。これでは国民は不安定な環境の中でいつまでも不安な心を抱いて生きつづけなければならない生き方を強いられます。

その生き方を続けるのと、報道コミュニケにある、北東アジア地域の安全保障協力を強化する方策を探求するのと、どちらを選ぶべきは明らかです。

米国と韓国が強く望んだ第2段階の年内完了は困難になりましたが、2005年までの6者協議の停滞や昨年の北朝鮮の核実験当時から見れば、大きな前進を遂げています。北朝鮮の脅威なるものが改憲の有力な宣伝材料となっていましたから、この情勢を素直に見れば、北朝鮮の脅威なるものは宣伝材料として賞味期限が切れていることは確かです。