いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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下関市の嶋倉剛教育長の妄言/山崎孝

2008-06-29 | ご投稿
【朝鮮半島植民地支配「歴史的事実に反する」下関市教育長が発言】(2008年6月28日付朝日新聞)

山口県下関市の嶋倉剛教育長(44歳)が26日、学校への教育補助金増額を求めて訪ねてきた山口朝鮮学園の金鍾九理事長と保護者らに、日本の朝鮮半島に対する植民地支配について「植民地支配は歴史的事実に反する」と述べた。

 同学園は山口朝鮮初中級学校を運営。この日、保護者側は「植民地支配によって日本に渡航せざるを得なかった朝鮮人子弟が通っている。ほかの外国人学校とは経緯が違うことをふまえて対処してほしい」と要望した。これに対し、嶋倉教育長は「植民地支配という部分については歴史的事実に反するので受け入れられない」と述べた。

保護者らは激しく抗議し、金理事長も「歴史的事実は歴史的事実と受け止めて」と主張した。嶋倉教育長は「日朝併合の部分をいかに言うかは自由」と言いつつ、植民地支配であったことは改めて否定。「そこは日朝交渉でやって頂ければいい話」と述べた。(島津洋一郎)(以上)

嶋倉教育長は「日朝併合の部分をいかに言うかは自由」と述べて、植民地支配であったことは改めて否定し「そこは日朝交渉でやって頂ければいい話」と述べました。教育長という公の立場は、日本政府の態度を認識していなければなりません。

2002年9月17日、当時の小泉首相は平壌を訪問し、金正日国防委員会委員長と日朝首脳会談を行い、日朝国交正常化に向けた「日朝平壌宣言」を発表しています。その宣言は「日本は過去の植民地支配よって多大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する」となっています。

嶋倉教育長の言う「そこは日朝交渉でやって頂ければいい話」という話は、既に日朝交渉で決着済みです。公人である嶋倉教育長は「日朝併合の部分をいかに言うかは自由」ではありません。政府の見解を守る立場にあります。

このような人物を教育委員長に任命している下関市の市長の見識も疑わざるを得ません。

日本が日韓併合条約を強要したのは1910年8月で、1930年代より遡りますが同じ意味合いを持つ、対日「慰安婦」決議の一つで、2007年12月13日、欧州議会が採択した決議の中にある《日本の人々と政府に対して、あらゆる国家の道徳的義務として、自国の歴史全体を認識すること。そして、慰安婦に関連することを含め1930年代から1940年代にかけての日本の行為を認識するために、さらなる手段をとることを奨励し、日本政府にこれらの事例を現在及び未来の世代に教育することを要請》されたことを公職にある人たちは認識して欲しいと思います。

国連の潘基文事務総長に関する報道と関連して/山崎孝

2008-06-28 | ご投稿
【北朝鮮核申告:国連総長「重要な進歩」 拉致問題に懸念】(6月28日の毎日新聞の情報)

 【ニューヨーク草野和彦】国連の潘基文(バンギムン)事務総長は28日の就任後初訪日を前に、日本メディアと国連本部で会見した。北朝鮮が26日行った核計画の申告を「重要な進歩だ」と評価する一方、日本人拉致問題について「日朝2国間対話を通じ、問題が解決されることを期待する」と述べるにとどまった。

 潘事務総長が日本人拉致問題に言及するのはまれだが、「懸念している」と語った。

 一方、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の主要議題の一つ、気候変動については「(問題解決に向けた)十分な合意がされていない」と不満を表明。「参加首脳らが温室効果ガスの削減に向けた政治的決意を示すべきだ」と述べ、「議長国・日本の指導力発揮」を強く促した。

 また、日本政府が検討しているスーダンでの国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣について「歓迎する」と評価。具体的には後方支援や技術面での貢献を求めた。

 潘事務総長は日中韓歴訪後、サミット出席のため7月7日に再来日する。(以上)

【コメント】日本のメディアの報道は、米国政府の北朝鮮のテロ支援国家指定解除との関連で、拉致問題を解決するための圧力が失われる懸念を指摘する傾向が強く、今回の進展は東アジア地域が大きな緊張緩和の方向に向かっていること、東北アジアの平和と安定という観点で捉える視点が弱いと思います。

潘事務総長は、6月27日、ジャパン・ソサエティの講演で「6者協議を通じて北朝鮮問題に正しく対処できるなら、このプロセスをより広い安全保障協力の枠組みに格上げすることは検討に値する」(6月28日の朝日新聞の情報)と述べています。

私は拉致問題を話し合う場が、6者協議の進展によって設けられた作業部会によってしかないことを認識する必要があると思います。2007年2月13日の6カ国共同文書の採択によって、寧辺の核施設閉鎖が合意され、朝鮮半島非核化やエネルギー・経済協力、米朝・日朝の関係正常化など課題別の5つの作業部会が設置されています。この作業部会が出来るまで北朝鮮と交渉する場がありませんでした。このことを忘れて拉致被害者家族会の事務局長は拉致問題の交渉を「政府は6者協議の枠組みから脱退する覚悟で臨んでほしい」との意見を出しています。この意見は拉致問題の交渉の場を失う危険性があり、交渉の場を失い経済制裁を続けて相手がそれに屈服することを待つしか方法がなくなります。この方策は安倍前首相が試した方策で拉致問題を膠着させてしまいました。北朝鮮の核廃棄の問題、日朝正常化の問題、拉致問題とこの作業部会を活用して6者協議と歩調を合わせながら交渉することが一番の良い方法だと思います。

テロ指定国家を解除されれば、北朝鮮は国際社会の一員としての待遇を受け、国際金融機関による支援対象になります。具体的には(1)世界銀行などから融資などを受けられる(2)先端技術の対北朝鮮輸出の制限が緩和される(3)米朝間で商業金融取引が活発化する--などに道が開けます。これを考えない感情的で論理性を欠いた意見で残念です。

潘事務総長は、日本政府が検討している(政府は決定)スーダンでの国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣について「歓迎する」と述べています。私は紛争当事者が停戦に合意して国際部隊を受容れているPKOであれば、後方支援や技術面の協力は行うべきだと考えます。

ライス氏、放棄するかどうかを試すには、この路線を続けていくしかない/山崎孝

2008-06-27 | ご投稿
米国:「北朝鮮テロ指定」解除…6カ国協議再開へ(2008年6月27日の毎日新聞)

テロ支援国家指定解除を巡る今後の流れ ブッシュ米大統領は26日、ホワイトハウスで記者会見し、北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除を決定したと表明し、議会に通告した。対敵国通商法の適用除外手続きも行った。北朝鮮が26日、6カ国協議の合意に基づき、核計画の申告書を議長国・中国へ提出したことを受け、見返り措置として決めた。北朝鮮が「敵視政策の象徴」と見なしたテロ支援国家指定の解除に米国が動いたことで、北朝鮮の核問題と米朝関係は新たな局面に入った。指定解除に慎重に対処するよう主張してきた日本は拉致問題解決に向け、厳しい対応を迫られそうだ。

 中国は6カ国協議の首席代表会合を7月1日ごろから5日間程度、北京で開く方向で調整に入った。申告内容の検討とともに、非核化への第3段階措置として検証方法も話し合う。日朝協議は別途再開を模索しそうだ。

 指定解除は通告翌日から「45日後」に発効する。実現すれば、20年ぶりの解除となる。

 大統領は会見で、北朝鮮の核申告は「正しい方向への第一歩」と述べる一方、「北朝鮮が国際社会の懸念に適切に対処しなければ、相応の結末が待っている」と北朝鮮をけん制した。さらに日本人拉致事件について「絶対に忘れない。日本と協力し、北朝鮮に圧力をかける」と語り、日本への配慮を示した。

 申告書の提出は北朝鮮の崔鎮洙(チェジンス)駐中国大使が中国外務省を訪れ、行った。外交関係者によると申告書は約60ページ。過去に抽出したプルトニウムは37キロ前後とされる。(1)プルトニウムの使用目的(2)核関連施設のリスト(3)天然ウランの在庫量--も記載されている。核兵器数は含まれていない。

 北朝鮮が否定する高濃縮ウランによる核開発、シリアの核開発への協力などは非公開の別の文書に盛り込まれる。

 昨年2月の6カ国協議で第2段階措置に位置付けた「完全かつ正確な核申告」は同年末までに完了する約束からすでに半年遅れたうえ、合意からほど遠い内容となった。

 一方、今後も米国の対北朝鮮制裁措置の多くが残る。ミサイルや核技術の拡散、人権侵害、06年の核実験などに伴うもので、武器の禁輸、米金融機関の信用供与禁止、資産凍結など数十項目に上る。

 核の申告と並び第2段階措置の柱である「核施設の無能力化」は全11工程のうち、8工程が終了。大統領は解除発効までの45日間で、6カ国協議の枠組みで申告内容を「厳格に検証できる」システムを構築する姿勢も示した。(以上)

2008年6月27日の中日新聞【ワシントン26日共同】ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は26日、ホワイトハウスで記者会見し、北朝鮮が6カ国協議の議長国、中国に提出した核計画の申告で、米国が追及してきたウラン濃縮による核兵器開発や核拡散活動に関し「現在は一切手を染めておらず、今後もそうした活動に従事することはない」と約束したことを明らかにした。

過去における濃縮やシリアへの核協力については、北朝鮮が米側の「懸念」を「認識(acknowledge)」した上で、公の場でこうした懸念を否定したり、無視したりしないことを明文化していることを確認した。米政府高官によると、これらは申告本文とは別の付属文書「秘密覚書」に盛られた。北朝鮮は27日午後、寧辺の核施設の冷却塔を爆破する予定。

米国務省のケーシー副報道官は26日、申告書が約60ページだったことを確認。国務省高官によると、申告書は英文で書かれていたという。(以上)

【北朝鮮核申告 核廃棄への課題が多々残る】(6月27日付・読売社説抜粋)

(前略)第一に、申告には肝心の核兵器に関する情報が含まれていないという。核兵器の個数や所在、開発の実態は解明されないままだ。

北朝鮮はこれまで、「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」を約束し、「核計画の完全で正確な申告」をするとしてきた。だが、廃棄の対象となるべき核兵器の記載がない申告では、「完全で正確」とはとても言えまい。

ライス米国務長官は、核兵器の扱いは今後の交渉に委ねた、としている。

しかし、それは将来に重い荷物を残すことになる。北朝鮮はこれまで、情報を小出しにし、その度に大きな見返りを得てきた。

同様の戦術を繰り返せば、核廃棄交渉は長期化する恐れがある。その間、日本への核の脅威はまったく変わらない。(中略)

来週にも開かれる6か国協議では、検証の進め方について、厳しく詰めなければならない。

北朝鮮が欺瞞(ぎまん)戦術や合意破りに出るのなら、米国は制裁解除の方針を直ちに撤回すべきだ。

拉致問題を抱える日本も、北朝鮮が「再調査」などの合意事項を守らない場合には、日本独自の経済制裁措置の一部緩和方針を見送るのが当然である。(以上)

【コメント】読売新聞の社説は、北朝鮮に対する不信感を基調にした社説です。現在の状況はかつて長い間米朝が相互に不信感を露にして、睨み合ってきました。米国は2006年12月に入るまでは、6者協議の枠組みでは話し合うが、北朝鮮との米朝二国間交渉を拒否していた状況から比べて大きな変化です。米国が態度を変えて米朝協議を精力的に行なうようになってから6者協議は前進し始めます。

6者協議は2007年2月に初期段階の措置を合意して、2007年10月には第2段階の措置が合意されました。そして現在、北朝鮮の主要な核施設の無能力化は核の申告と並び第2段階措置の柱である「核施設の無能力化」は全11工程のうち、8工程が終了。この状況は核の申告が完全でないにしても大きな前進だと思います。

米国の国務省は交渉を前進させるために極めて現実的な考え方をしています。ライス米国務長官は6月18日の講演で「望むすべてを手に入れられる政策はない」として、「不完全な内容でも受け入れざるを得ない」と示唆しています。そして米紙に「放棄するかどうかを試すには、この路線を続けていくしかない」(6月24日の朝日新聞の情報)と語っています。2007年に入ってから北朝鮮と粘り強くに話し合ってきた米当局者の悟りのような気持ちを感じさせます。

また、ライス米国務長官は18日の講演で、北朝鮮は非核化の達成によって「人道的・開発支援、非核エネルギー支援、主権の尊重、国連憲章の諸原則の約束、朝鮮半島の永続的平和など」を確保できると指摘。「外交とは一連のインセンティブ(行動の促進要因)とディスインセンティブ(行動の阻止要因)を構築することだ」と述べ、「約束対約束、行動対行動」の原則を強調しています。(しんぶん「赤旗」の情報)

ゲリラ戦争で占領軍は勝利できないと歴史は教えている/山崎孝

2008-06-25 | ご投稿
2008年6月17日、アフガン南部のヘルマンド洲カシュガルガ近郊で、パトロール中の英軍車両が爆破されて、英軍兵士4人が死亡した。英軍の死者は2001年駐留開始以来、106人になったことをお伝えしたブログの中で、英国と他のNATO加盟国がアフガニスタンの激戦地南部の展開をめぐって軋轢が生まれていることを書きましだが、これに関して英国の国内の模様を伝える報道があります。その報道を紹介します。

【英兵 アフガン死者100人超“朝鮮戦争以来の激戦”衝撃と批判広がる】

 【ロンドン=岡崎衆史】英国では、イラク派兵と異なりアフガニスタン派兵については、「復興のため」として容認する声が少なくありませんでした。しかし、英兵死者が百人を超え、初めて女性の死者も出たことから、“朝鮮戦争以来の激戦”といった衝撃と批判の声が広がっています。

女性兵士死亡 今月八日、二〇〇一年十月の米英軍のアフガン侵攻以来の英兵死者が百人を突破しました。兵士死者は、米軍に次いで多い百六人(二十二日現在)。十七日には英軍が管轄するヘルマンド州の州都ラシュカルガーで車が爆破され、女性を含む兵士四人が死亡。アフガンでの英軍の女性兵士の死亡は初めてでした。メディアは相次いで、死亡した女性兵士のサラ・ブライアントさんの追悼を特集しました。

 兵士の死者が百人を突破した後、BBCはインターネット上に討論用のページを立ち上げ、アフガン派兵の是非を問いました。

 討論呼びかけ理由はこうです。「二年前アフガンに軍を送るとき、閣僚らは復興作業が主な目的だといった。しかし、兵士が巻き込まれているのは、朝鮮戦争以来の激しい戦闘だ」

書き込み殺到 ホームページにはわずか二日間で二千百十五の書き込みが殺到。ケンブリッジ在住のアン・キースさんの「ゲリラ戦争で占領軍は勝利できないと歴史は教えている。軍を撤兵させるべきだ」とのコメントに百七十八人が賛同するなど、最も賛同を集めているコメントの多くが派兵反対です。

 保守系紙サンデー・タイムズ二十二日付では、著名なジャーナリストのサイモン・ジェンキンス氏が「アフガン遠征は敗北よりも悪い。どんな政府も抜け出すことができない長期の低強度戦争だ」と批判しました。

募るいら立ち 一方、英政府はアフガン派兵を「国益」(ブラウン首相)とし、十六日には、現在七千八百人の駐留英軍を来年春までに八千三十人に増やすと発表しました。

 しかし、閣僚の発言からは、増え続ける英兵死者数へのいら立ちがうかがえます。

 デズ・ブラウン国防相は二十日、“激戦地の英米など一部の国の兵士だけが犠牲になっているのではないか”とのいら立ちを、アフガン国際治安支援部隊(ISAF)を率いる北大西洋条約機構(NATO)と同盟国に向けました。

 ブラウン国防相は「NATOの利用しやすさを高める考えは、一部の同盟国で歓迎されていないと感じる時がある」と発言。ドイツなどの欧州同盟国がアフガンの激戦地への展開を拒否していることや、アフガン派兵など域外紛争関与に反対する声がNATO加盟国内に根強いことを批判し、NATOの「長期的な存在可能性」に疑問を呈しました。(以上)

【コメント】英国人の「二年前アフガンに軍を送るとき、閣僚らは復興作業が主な目的だといった。しかし、兵士が巻き込まれているのは、朝鮮戦争以来の激しい戦闘だ」という声は、日本も教訓にしなければならないし、自衛隊海外派遣恒久法の検討の動向を注視しなければならないと思います。

現在、自民公明が検討している自衛隊海外派遣恒久法の中間報告(6月19日にまとめた)には、紛争当事者が停戦合意していない地域=戦争している地域に自衛隊を派遣して、後方支援任務の実施、人道復興支援の内容拡充を決めて、国連決議のない活動と警護任務は引き続き検討となっているからです。そして山崎拓プロジェクトチームの座長は「必ず臨時国会での法案提出を目指して取り組みたい」と述べています。

中間報告にある「人道復興支援の内容拡充」は、アフガニスタンの「地域復興支援チーム(PRT)」では、人道復興支援を行なう組織を警護する活動が行なわれています。これへの参加を自民党は念頭にしている可能性があります。

真実を伝え、戦争に協力せぬことこそが、沖縄戦の真の反省です/山崎孝

2008-06-23 | ご投稿
【歴史の真実 後世に/慰霊の日 礎の銘に祈る遺族】(2008年6月23日付け夕刊 沖縄タイムス)

「慰霊の日」の二十三日、沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれた。県内外から五千六百七十人の遺族らが参列し、沖縄戦の犠牲者らに祈りをささげた。参列者からは、歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」問題のように、戦前回帰の動きが高まっていることに危機感を募らせる声が上がった。式典で仲井真弘多県知事は「沖縄、日本、世界の人々が安心して暮らせる平和な社会の実現を目指す」と平和宣言。河野洋平衆議院議長は「私たちは軍が沖縄の住民の方々の安全を第一に考えていたわけではない、という疑念からも目をそらせてはならない」とし、米軍基地問題などに日本の政治の一層の努力を促した。

河野議長は「在沖縄米軍基地の移転・縮小問題は、十分な成果を挙げるには程遠い状況にある。国家の指導部が戦争の早期終結を図ることができなかったことが、沖縄の大きな犠牲を生んだいきさつを考えると、日本の政治がこの解決に全力を傾けるべきことは自明のこと」と述べた。

県議会の仲里利信議長は「多くの犠牲をはらって学んだ教訓を風化させることなく、平和と命の尊さを子々孫々に語り継ぐ」と式辞を述べた。

県遺族連合会の仲宗根義尚会長は「『集団自決』は紛れもない真実であり、歴史的事実を正しく伝えることこそが平和建設にまい進する原動力」とあいさつした。

嘉納英佑君=読谷小四年=は「世界を見つめる目」と題して、平和の詩を朗読し、「みんなが幸せになれるようにぼくは、世の中をしっかりと見つめ、世の中の声に耳を傾けたい」と決意を込めた。

会場となった平和祈念公園では、戦没者約二十四万人を刻銘した「平和の礎」前で早朝から手を合わせて祈りをささげる遺族らの姿があった。

豊見城市から参列した大城千代さん(68)は、糸満市真栄平の壕の前で砲撃に遭って亡くなった両親や兄弟の名前をなぞりながら、「家族に続いて日本兵が壕に入った直後、砲弾がさく裂した。母や兄弟はその場で犠牲になったが、私は日本兵の下敷きになって助かった」と振り返った。「『集団自決』をはじめ、戦争での死を美化する考えは怖い。戦争はむごく、二度と起こしてはならないものだ」と強く語った。

「沖縄の苦難 忘れぬ」福田首相 戦没者へ献花

福田康夫首相は二十三日午後、米軍普天間飛行場の移設問題で県と名護市が代替施設の沖合移動を求めていることへの対応について「地元の意向は大変に大事だ」と述べ、沖縄側の意向を尊重する姿勢を強調した。沖縄全戦没者追悼式に出席後、記者団の質問に答えた。

福田首相は普天間移設で「いま環境アセスメントをやっているし、協議会という場もある。仲井真弘多知事や島袋吉和名護市長と話し合いをし、納得できる線を出していかなければ」とし、県や名護市と協議を継続する考えをあらためて示した。

追悼式への参列について「沖縄の方々が苦難の時を過ごされたことは、私たち日本人は決して忘れてはいけない。しっかり歴史の事実を伝えていく責任がある」と述べた。

[解説] 沖縄戦 太平洋戦争末期に沖縄本島や周辺の島々で展開された。住民も戦場に駆り出され、日米の軍人を含め20万人以上が犠牲になった。各地で日本軍による住民殺害や「集団自決(強制集団死)」も発生。日本軍は首里の司令部を放棄し、本島南部へ撤退した。6月23日に日本軍を指揮した第三二軍の牛島満司令官が自決し、組織的な戦闘は終わったとされる。

鳩山法相の発言を考える/山崎孝

2008-06-22 | ご投稿
既にブログでも述べましたが、鳩山法相は6月17日に就任以来4度目の死刑執行を発表しました。その会見の席で鳩山法相述べた発言を聞いて、私が持った感想を新聞社の読書投書欄に投稿しました。以下、その文章です。

2008年6月21日付朝日新聞「声」欄掲載文(法相の発言は編集スペースの都合で割愛変更された部分がありそれを補充しました)

「正義の実現」法相に違和感

鳩山法相は幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚ら3人の死刑囚に対して死刑を執行したと発表した。鳩山法相の下での死刑執行は、4度目で13人となった。

鳩山法相は、記者会見で「正義を実現し、法が支配する国を実現していくために、粛々と死刑を執行している」と述べた。

私は死刑を執行することが正義の実現という肯定的な意味を持つとは思わない。凶悪犯罪を犯せば、死刑で罰せられる法律を定めていても、凶悪犯罪を防止できない社会は、社会秩序の敗北と社会の有り様にも欠陥があることを意味する。

幼い時から人を殺してはいけないと教えてきても、人を殺してしまう人間が出るのは、教育の有り様の敗北を意味する。

「法が支配する国を実現」するには、政府が憲法違反と言われるような行為をしない。政治家、官僚や公務員、企業経営者など社会的責任が重い人が法律を守るだけでなく、人に恥じる行為をしないことが重要である。

(以上)

今日の社会の大きな欠陥は、市場原理主義のもとで余りにも強い競争原理が支配する社会になっていることだと思います。この社会は一人一人の人間を大切にするということより、人間を競わせ勝者が弱者を蹴落として自らの豊かさを獲得していくような仕組みを持っている社会であり、この社会は人間らしい心を強く失わせる社会であると思っています。

自分の人生が追い詰められたと思った人は、自棄自暴になり他人に危害を加えることで幾分でも心の鬱屈を晴らそうするケースが生まれ、極端な場合は自分が死刑になりたくて人を殺したと述べる事件さえ起きています。自己責任だけを追及するだけでなく、社会の大きな矛盾に目を向けないと極悪な犯罪は防げないと思います。

そしてこのような社会は、多国の脅威が宣伝されると対話より軍事的解決に傾く危険性を内包する社会になってしまうと思っています。

読売新聞の社説を考える/山崎孝

2008-06-21 | ご投稿
自衛隊海外派遣 恒久法論議を継続すべきだ(2008年6月20日付・読売社説)

自衛隊の海外派遣に関する恒久法の検討は、簡単な作業ではない。しかし、問題を棚上げせず、粘り強く論議を継続することが必要だ。

自民、公明の与党恒久法検討チームがまとめた中間報告は、「検討」「引き続き議論」といった、先送りの表現が目立つ。合意した項目は、「部隊派遣には原則、国会の事前承認を要する」など、数少ない。

検討チームは当初、今国会中に恒久法案の骨子をまとめる予定だったが、実現しなかった。与党内では、秋の臨時国会への法案提出も困難との見方が強い。

意見が最も食い違ったのは、自衛隊に警護活動を付与することの是非だ。自民党は、後方支援や人道復興支援に加え、警護活動の追加を主張したが、公明党は慎重姿勢を崩さなかった。

警護活動は、要人や物資の輸送車両に随伴したり、建物を守ったりする形態が想定される。本格的な戦闘に発展する恐れのある治安維持活動と違い、警護活動ならば実施していいのではないか。

その場合、重要なのが、憲法9条との関係を整理し、武器使用基準を見直すことだ。

武器の使用は現在、正当防衛などに限られている。自衛隊は国際機関などに警護を依頼されても、恥を忍んで断るか、別の名目で出動し、自らの身を危険にさらすことで武器を使うしかない。

自衛隊が車両で物資を輸送中、道路上で妨害されても、警告射撃さえできず、妨害者を避けて通行するしかない。これでは、効果的な活動はできない。

相手の抵抗の程度に応じた武器使用の手続きを明確に定め、事前に自衛官を十分訓練しておく。その方が、必要以上に武器を使用することの歯止めとなる。

来年1月にインド洋での給油活動、7月にイラクでの空輸活動の特別措置法の期限が切れる。イラク多国籍軍に関する国連安全保障理事会決議も今年末に切れ、多くの国が撤収する可能性がある。

日本も、アフガニスタンとイラクでの活動をどうするかを総合的に判断し、今秋の臨時国会で必要な法整備を図らねばならない。

政府が今月、アフガンに調査団を送り、周辺国からアフガンへの空輸やアフガンでのヘリ輸送などの実現可能性を探ったのも、その準備の一環である。

恒久法でなく、新たな特措法で対応するにしても、自衛隊の活動や武器使用について議論を深めることの必要性は変わらない。(以上)

【コメント】読売新聞の社説は《日本も、アフガニスタンとイラクでの活動をどうするかを総合的に判断し、今秋の臨時国会で必要な法整備を図らねばならない》と主張していますから、アフガニスタンとイラクの状況との関連において次の主張を考えなければなりません。

《警護活動は、要人や物資の輸送車両に随伴したり、建物を守ったりする形態が想定される。本格的な戦闘に発展する恐れのある治安維持活動と違い、警護活動ならば実施していいのではないか》。この主張はアフガニスタンの国際治安支援部隊がおかれている状況を無視した机上の空論です。

アフガンの戦況は、【アフガンで英軍兵士3人死亡、展開開始以来の死者100人に】(2008年6月9日付読売新聞)英国防省は8日夜、アフガニスタン南部ヘルマンド州をパトロールしていた英軍兵士3人が同日、自爆テロを受けて死亡したと発表した。

【2008年6月17日付朝日新聞の報道】アフガン南部のヘルマンド洲カシュガルガ近郊で、パトロール中の英軍車両が爆破されて、英軍兵士4人が死亡した。英軍の死者は2001年駐留開始以来、106人になった。

【2008年6月17日の毎日新聞報道】【アフガン2001年以降の米軍とNATO軍兵士死者数は800人超える アフガン:テロ急増】2007年のアフガンでの自爆攻撃は過去最悪の138件だったが、うち8割近くは8月までに集中し、9月以降は急減した。この傾向は2008年も4月まで続いたが、5月には12件と07年前半のペースに戻り、6月は16日までの半月で9件と異常な事態となっている。

【6月15日6時台のNHKテレビの国際ニュース】アフガニスタンのタリバン勢力に対するインタビューの模様を伝えていました。タリバンの小グループが米軍やNATO軍(国際治安維持支援部隊)の通る道路に5分で地雷を仕掛ける場面がありました。その道路にはタリバン勢力の仕掛けた地雷で破壊された残骸がいくつも写っていました。小グループは無線で連絡を取り合っていました。これがすばやく的確な攻撃を成功させています。(以上)

アフガンではかように相手の姿が明確に捉えられない勢力との戦いが多いのです。自衛隊が要人や物資の輸送車両に随伴したりしていれば、このような攻撃にあうことは避けられません。

それに自衛隊がアフガニスタンに来ることで今まで行なってきた日本のNGOの活動が攻撃の標的になると指摘されています。

アフガニスタンにおける国際治安維持支援部隊の活動が、アフガニスタンの治安維持に役に立っていないことは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が2008年6月17日、最も難民数が多いのはアフガニスタンの310万人、イラクの230万人で、この2カ国で全体の半数近くを占めると発表していることに如実に表れています。

アフガニスタンもイラクも内乱が起こり、紛争当事者の了解の下に、治安維持のために国際部隊が派遣されたのではなく、米国がタリバン政権、フセイン政権を打倒するために攻め込んで、以前の政権より酷い状態にしてしまった国です。ですから9月開会の第63回国連総会議長ミゲル・デスコト・ブロックマン氏は6月4日、議長選出にあたっての演説で、イラク、アフガニスタン戦争について「侵略行為」だと述べ、名指しは避けながらも米国を批判しています。

国民の意見は、朝日新聞の2008年5月3日の報道を例に挙げれば、自衛隊の海外活動をどこまで認めるか三つの選択肢で聞くと、「武力行使をしなければ認める」が最も多く2007年と同じ64%。「必要なら武力行使も認める」が17%(2007年22%)、「一切認めない」は15%(同10%)でした。読売新聞の社説は《武器の使用は現在、正当防衛などに限られている。自衛隊は国際機関などに警護を依頼されても、恥を忍んで断るか、別の名目で出動し、自らの身を危険にさらすことで武器を使うしかない》と主張していますが、国民の多数はこのような考えはしません。なせなら日本の国のあり方は、憲法の定めた国際紛争を武力で解決しないを国是とする国であるからで国民の多くはこれを是としています。そして戦争に協力しない方法での国際貢献をすればよいと考える人が多いのです。

北朝鮮の核廃棄への道はまだ遠い道のりだがここまで来た/山崎孝

2008-06-20 | ご投稿
日本の安全保障にとって重要な要素である北朝鮮の核の放棄は、6者協議合意の第2段階の終章となる見通しが開け始めました。以下、二つの新聞報道をご紹介します。

(2008年6月19日読売新聞の情報)【ワシントン=黒瀬悦成】ライス米国務長官は18日、ワシントン市内の政策研究機関「ヘリテージ財団」で講演し、「北朝鮮が近く(放棄対象となる)核計画の申告書を(6か国協議議長国の)中国に提出する」との見通しを明らかにした。

長官はその上で、ブッシュ大統領が申告提出を受けて「北朝鮮に対するテロ支援国指定を解除する意向を議会に通告する」と述べた。

ブッシュ政権高官が、核申告に合わせ、テロ支援国指定解除の具体的見通しを明言したのは初めて。6か国協議の米首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補は19日、東京での日米韓首席代表会合に出席し、20日には北京で同協議議長で中国首席代表の武大偉・外務次官と会談する予定で、北朝鮮の申告提出をにらんだ詰めの調整が行われる。

ライス長官によるとブッシュ大統領は、テロ支援国指定解除に加え、北朝鮮に対する敵国通商法の適用停止の意向も議会に通告する方針。

その上で、指定解除が発効するまでの45日間に、北朝鮮を除く6か国協議参加国と国際原子力機関(IAEA)が、無能力化が進められている寧辺(ヨンビョン)の核施設の現地査察や稼働記録など関連書類の精査、関係者への事情聴取などを行い、北朝鮮の申告内容が「完全かつ正確」かどうかを検証する。ライス長官はまた、北朝鮮の申告内容や検証への協力が不十分だった場合は、指定解除の撤回や再制裁、追加制裁を科すなどの「相応の措置を取る」と強調した。

一方、北朝鮮による日本人拉致問題についてライス長官は、米国が「日朝による対話促進を手助けした」と指摘し、北朝鮮との交渉で引き続き拉致問題を含む人権問題に配慮する姿勢を見せたものの、拉致問題の進展とテロ支援国指定解除の関連には具体的に言及しなかった。北朝鮮は6か国協議の合意に基づき、昨年末までに申告を提出することになっていたが、提出は大幅に遅れている。(以上)

【米、指定解除へ向けて布石】(6月20日付朝日新聞「時時刻刻」記事から抜粋)

 「北朝鮮が近く核計画の申告をし、それを受けて大統領が北朝鮮へのテロ支援国家の指定解除を議会に通告する」。ライス氏は保守系シンクタンク、ヘリテージ財団での講演で、解除方針に明確に踏み込んだ。

 米政府にとって指定解除は既定路線だった。だが、あえて「解除を通告する」と断言した背景には、非核化の「第2段階」の完了に向けた強い決意がある。

 米朝関係筋によると、北朝鮮は米国に対し、申告をする条件として指定解除の日時の「確約」を求めていた。米朝は申告の内容についてはすでにほぼ合意しているが、米政府は「申告内容を見て判断する」と公言してきた経緯がある。正式な申告前に具体的な解除日時を確約するのは難しい中で、ライス氏なりの誠意を示したといえる。

 日本に向けたメッセージとの側面もあった。19日、東京の外務省であった日米韓首席代表会合を終えた米国のヒル国務次官補は、拉致問題について記者団に「米国にとっても関心事だ。日本と緊密に連携していく」と言及。日本の懸念に一定の配慮を示した。

 しかし、ヒル氏が記者団に繰り返し強調したのは、6者がそれぞれ負っている「オブリゲーション(義務)」という言葉だった。北朝鮮が核計画を申告すれば、米国は約束どおり、テロ支援国家指定を解除せざるを得ない。そんな思いが強くにじんだ。

 米国内には、チェイニー副大統領や議会の一部議員ら、北朝鮮との積極対話政策に慎重な勢力も残る。朝鮮半島問題に詳しいマンスフィールド財団のフレーク所長は「政権内に、このまま進めるかどうかの議論があった」と指摘する。申告がまだ実現していないのもこうした強硬派の反対があったため、との見方がある。ライス氏の講演は、こうした政策論争に終止符を打とうとするものであった。

 ヒル氏は19日、「6者協議に専念すべき時だ」などと協議を進める必要性を強調。来年1月に終わるブッシュ政権の残り任期をにらみ、核廃棄を行う最終段階入りを急ぐ考えを示した。ライス氏も講演でこう触れた。「我々の政策で望むすべてを得られるのか。そうではない。だが、最終的な判断として、いろんな選択肢の中でこれが最善かどうか。答えはイエスだ」

一方、北朝発言を受け、指定解除に向けた確かな手応を感じたに違いない。韓国政府当局者は「申告の内容うんぬんはもとより、6者協議全体が北朝鮮に厳しいことを言う空気でなくなっている」と話した。

国際平和協力とは、戦争に協力することではない/山崎孝

2008-06-18 | ご投稿
(2008年6月17日付中日新聞より)

【ジュネーブ17日共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は17日、紛争などが原因で祖国を追われた世界の難民の数が2007年末に前年比150万人増の1140万人と、5年ぶりに1000万人を上回ったとする調査結果を発表した。民族間対立などによる混乱が続くイラクやアフガニスタンからの難民増が主な要因で、増加は2年連続となった。

グテレス高等弁務官は難民数の増加傾向に懸念を表明したうえで「われわれは将来さらなる難民増加に結び付く、複合的な地球規模の課題に直面している」として、紛争のほか、気候変動問題や食料危機、エネルギー価格の高騰などが難民の生活を圧迫していることに警鐘を鳴らした。

出身国別で最も難民数が多いのはアフガニスタンの310万人、イラクの230万人で、この2カ国で全体の半数近くを占める。次いでコロンビア55万2000人、スーダン52万3000人、ソマリア45万7000人などの順。(以上)

【コメント】政府のアフガン調査団は、アフガンの国際治安支援部隊に対する後方支援を念頭に入れて、NATOの活動状況を視察したと報道(6月18日の朝日新聞)されています。航空自衛隊の輸送機や陸上自衛隊のヘリで輸送活動をすることが想定されています。

政府は、自衛隊を派遣してイラクやアフガン戦争に関わり後方支援することなどが、国際平和協力と考えています。しかし、アフガニスタン310万人、イラク230万人と、2カ国で世界の難民数の半数近くを出しています。住民が安心して生活できないようにしてしまった戦争に協力することことがどうして国際平和協力と言えるのでしょう。

アフガン2001年以降の米軍とNATO軍兵士死者数は800人超える/山崎孝

2008-06-17 | ご投稿
【アフガン:テロ急増 パキスタン武装勢力と新政府和解以来】(2008年6月17日の毎日JPの情報)

 【ニューデリー栗田慎一】3月に発足したギラニ・パキスタン新内閣が、アフガニスタン国境に近い部族支配地域を拠点とする武装勢力との和解に乗り出して以降、パキスタン国内での武装勢力による自爆テロが急減、一方でアフガンでのテロが急増したことが、国連などのまとめでわかった。武装勢力はアフガンの旧支配勢力タリバンと連携している。

 和解で武装勢力の攻撃目標が、パキスタンからアフガンへ移った可能性があり、カルザイ・アフガン大統領の「パキスタンが武装勢力の安全地帯となり、アフガンへの越境攻撃が強化されている」とのパキスタン非難が裏付けられた形だ。

 07年のアフガンでの自爆攻撃は過去最悪の138件だったが、うち8割近くは8月までに集中し、9月以降は急減した。この傾向は08年も4月まで続いたが、5月には12件と07年前半のペースに戻り、6月は16日までの半月で9件と異常な事態となっている。

 米国の圧力などで武装勢力への強硬姿勢を保ったムシャラフ政権が2月の総選挙で事実上崩壊し、3月に発足したギラニ新内閣は武装勢力との和平協定締結に乗り出した。アフガン内務省幹部は電話取材に「武装勢力はパキスタン軍と戦う必要がなくなり、アフガン領内での攻撃に全力を傾けるようになった」との見方を示した。

 両国国境では10日、両国軍が交戦し多数の死者が出た。カルザイ大統領は15日、パキスタンへの越境攻撃を正当化。パキスタン政府は16日、アフガンのアンワルザイ大使に抗議するなど、両国間の対立が深まっている。(以上)

【アフガン支援できること見極め着実に】(2008年6月17日付朝日新聞「政策ウォッチ」欄より)

 パリであったアフガニスタン復興支援会議を取材した。各国の拠出総額は、最後まで分からなかった。「フランスの計算では199・5億㌦だが、米国の計算では214億ドルだった」とクシユネル仏外相。結局「約200億㌦(約2兆1千億円)」と丸めて収めた。

 このうち新規分がどれだけかとなると、さらに不明だ。過去に約束して未履行となっている分を今後の支援に含めて「水増し」する国も多いためだ。その点、日本が表明した5・5億㌦は全くの新規。きまじめぶりが際だった。

 日本は今、アフガンでどんな人的貢献ができるかを模索中だ。政府は現地に調査団を派遣した。だが、アフガンでの米国や北大西洋条約機構(NATO)の01年以降の兵士死者数は800人を超えたとされ、撤退論が出ている国もある。現地で復興に携わる日本人から「自衛隊が来ると日本人もテロの対象になる」との懸念も聞く。

 アフガンの復興に長く付き合うならば、資金援助のように、できることを見極めて着実に行う。そんな実直さが国際社会での日本の信用だと思う。 (丹内敦子)

【コメント】現地で復興に携わる日本人から「自衛隊が来ると日本人もテロの対象になる」との懸念の声があり、ペシャワール会の中村哲さんは、自衛隊がアフガンに来たら、テロリストに標的にされるから、現在行なっているアフガン支援活動はやめざるを得ないと話しています。

2001年以降の米軍とNATO軍兵士死者数は800人超える状況でとても危険なアフガニスタンです。しかも米軍とNATO軍が住民を巻き込んだ戦いを繰り返している戦争を日本が支援を検討しています。

【17日の12時のNHKニュースより】 鳩山法務大臣は、記者会見し、昭和63年から翌年にかけて埼玉と東京で起きた幼女連続誘拐殺人事件で死刑が確定していた東京拘置所の宮崎勤死刑囚ら3人の死刑囚に対して死刑を執行したと発表しました。鳩山法務大臣の下での死刑の執行は、去年12月と、ことしの2月、4月に続いて4回目で、あわせて13人となりました。

鳩山法務大臣は、記者会見で「正義を実現し、法が支配する国を実現していくために、粛々と死刑を執行している。慎重にも慎重に検討を加えたと述べました。(ニュースの情報以上)

私は《「正義を実現し、法が支配する国を実現していくために、粛々と死刑を執行している」という鳩山法務大臣の言葉に違和感をおぼえます。理由は、鳩山氏が属する自民党は、裁判所からイラクにおける自衛隊の活動は最高法規である憲法に反する行為と判断されてもそれを無視し、更に同じ性格の自衛隊の活動をアフガニスタンで行なうことを検討しています。これで、「正義を実現し、法が支配する国を実現」と言えるのでしょうか。