いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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宜野湾市議会の決議/山崎孝

2008-07-31 | ご投稿
私は少し前に、自民党の日米同盟を強化して安全保障をはかる政策を一番強く影響を受けている沖縄の人たちと述べ、そのような認識を背景にして革新していく野党共闘が実を結んでいることを述べました。在日米軍基地の危険な事例を報道した新聞記事を紹介します。

【宜野湾議会が決議/普天間危険除去】(2008年7月30日付沖縄タイムス)

【宜野湾】宜野湾市議会(伊波廣助議長)は三十日午前、臨時会を開き、米軍普天間飛行場の危険性除去と早期返還を求める意見書を全会一致で可決した。八月一日に与野党議員十人で構成する要請団が県、四軍調整官、沖縄防衛局などに要請行動を展開し、同五日は上京して外務省、防衛省に危険性除去を訴える。

同議会の危険性除去、返還を求める意見書を可決するのは二〇〇六年三月以来。議会運営委員会で意見書案提案を協議、臨時会を開いた。

意見書は一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)返還合意から十二年が経過しても二〇〇四年八月に沖縄国際大学で米軍ヘリ事故が起きるなど、同飛行場の危険性が放置されていると強調。今年六月の普天間爆音訴訟で同飛行場の騒音が違法と認定されたことにも触れ、「いつ大惨事を引き起こすか予断を許さない状況での飛行場運用を放置することは許されない」とし、危険性除去と早期返還を求めた。(以上)

【コメント】ラムズフェルド元米国防長官は、普天間基地を視察して「世界一危険な市街地にある基地」と述べているということです。自民党は日本の安全保障のために在日米軍基地は必要と主張していますが、基地の存在は逆に地域住民を危険に晒しています。このような政策を取っておきながら、故郷を愛し、国を愛せよとは人の心を馬鹿にした話だと思います。

どの階層にも負担のかけない社会保障費の財源確保/山崎孝

2008-07-29 | ご投稿
 舛添厚労相は、7月24日の朝日ニュースターの収録番組で、東京では基礎年金だけではやっていけない。将来的には基礎年金だけで生活できるよう、夫婦で計20万円ぐらいに引き上げるべきだ、そのために消費税率を10%に上げ、老後の安心を確保する考え方もあるという趣旨の発言をしました。

 発言は一見すると低所得者を思いやっているように見えますが。しかし、舛添厚労相が認めるように、東京では基礎年金だけではやっていけないという状況下で、低所得層の家計が増税で追い討ちとなる肝心なことが抜け落ちています。

 7月22日の朝日新聞記事「一からわかる消費税」によれば、月収12万円4千円所帯の消費税の負担は6千100円で、月収に対する割合は5%ですが、税率10%になると負担は1万2千300円となり、月収に対する割合は9.9%に増えます。

月収81万円6千円所帯の消費税の負担は1万7千600円で、月収に対する割合は2.2%ですが、税率10%になると負担は3万5千200円となり、月収に対する割合は4.3%になります。

 消費税は国民に平等な税の負担を求めることが出来ると言う主張がありますが、月収81万円の所帯は家計に対する負荷は4.3%に止まるのに対し、低所得所帯の消費税の家計は負荷はとても重くなり、公平とは言えません。

社会保障費の財源確保は、企業税、所得税の増税などがありますが、どの階層にも負担増とならない方法の一つとして軍事費の削減に目を向けるべきです。ちなみに2007年度の防衛関係費は4兆8千億円です。

日本の国是は専守防衛で最低限度の軍備でしたが、最近の自衛隊の装備は高速の大型輸送船や大型空輸機・空中給油機の導入と海外派兵を想定したものに。そして膨大な経費が掛かり、核搭載のミサイル戦争にも勝ち抜くことを考えた日米共同のミサイル防衛システムの開発と配備が進められています。そして現在、世界で有数の軍事費となっています。戦争の教訓から生まれた日本国憲法で示された国のあり方ではありません。

かつて鋭く対立した国々が6者協議で東アジアの平和と安定のために協議し協力しています。これは軍事費削減の良い環境でもあると思います。

友好の基本は国家意識を前面にださず、包容の心で/山崎孝

2008-07-27 | ご投稿
【中国、台湾の名称で譲歩か 「中華台北」を採用】(2008年7月26日付東京新聞)

【台北26日共同】26日付の台湾紙、中国時報などによると、北京五輪に参加する台湾代表の名称問題で、中国新聞社や新華社など中国の主要メディアが「中国台北」の表記を改め、中台が1989年に取り決めた「中華台北」の名称を使い始めた。

台湾側は「中国が譲歩した」(外交筋)と安堵しているが、今後も対応を注意深く見守る方針だ。

台湾代表の名称については、大会文書などでは「中華台北」が徹底されているものの、中国メディアは「中国台北」と表記。中国国務院(政府)台湾事務弁公室も容認する発言を行い、台湾で反発が拡大。与党国民党の呉伯雄主席らは開会式の出席取りやめを示唆していた。(以上)

【コメント】「中国台北」と「中華台北」の表現は、国家意識を前面に出しているかどうかの違いがあると思います。「中華台北」は国家意識を前面に出さずそれぞれの存在と地域での共存を意識させると思います。友好を保つには相手の嫌がることをしないことに心がけなければならないと思います。包容する心が大切だと思います。

日本は韓国との間で 竹島=独島 の領有権をめぐって衝突が生まれています。日本と韓国はこの島から生まれる利益よりも、両国が友好的な関係を結ぶことで生まれる利益を大事にした考え方をしなければならないと思います。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議と同地域フォーラム(ARF)など一連の年次会合がシンガポールで開かれていましたが7月24日に閉幕しました。

ASEANが主導し米国や日本、中国、ロシア、インドなど26カ国とEUが参加するARFは、参加国の信頼醸成を基本とし、アジア・太平洋地域での主要な政治対話の場となっています。6者協議に関する外相会議も開かれ、北朝鮮が申告した核開発の内容の検証を早期に進めることで合意しています。この検証が進めば次のステップは北朝鮮の核の廃棄をどう進めるかに移ります。

今の時代は二国間の局部的な利益の問題で対立している時代ではありません。

また、二国間のみの友好を大事にした考え方、日米同盟を強化するため、日米同盟において集団的自衛権行使を可能にする憲法改定の方向は時代遅れの考え方であることは明らかです。

大手メディアが抜けているところ/山崎孝

2008-07-23 | ご投稿
【主張/軍事費増額要求/戦費の付け回しは許されない】(2008年7月23日付「しんぶん赤旗」)

 アメリカ政府の日本への露骨な軍事費増額要求が続いています。

 シーファー駐日米国大使は、日本外国特派員協会での講演(五月二十日)で、「将来の安全保障上のニーズ」のために「増額させることの利益を検討すべき」だとのべました。アルビズ米国務副次官補は米議会で、日本の軍事費全体を「包括的に見直す」ための対日交渉を始めるとのべました(六月十二日)。イラク戦争などで膨れ上がった戦費の負担を減らし、日本の軍事負担を拡大するためです。

むきだしの圧力 アメリカの国防費は、一九九八年に二千五百二十億ドルだったものが二〇〇七年は四千八百十億ドルと二倍です。アフガニスタンとイラクでの戦費千四百二十億ドルを加えるとさらに膨れ上がります。

 アメリカの国防費激増は、世界に対するアメリカの影響力を誇示するために核兵器を中核とする軍事力を増強し、違法な戦争政策を進めている結果です。アメリカの負担が重くなっているのはブッシュ政権の責任です。日本に軍事費増額をせまるなど筋違いです。

 シーファー大使らは、日本の軍事費がGDP(国内総生産)1%未満の0・89%に下がっているのが「問題」だといい、NATO(北大西洋条約機構)のどの国よりも低いと難癖をつけています。

 これは日本に対するあからさまな内政干渉です。GDP比で軍事費がわずかばかり下がっているとはいえ、日本の軍事費は世界で第五位の軍事大国です。

 GDP比で少し下がったのは、軍事費をごくわずか削ることで、政府が社会保障や教育など国民生活予算を大幅に切り縮めるバネにしたからです。軍事費の聖域化に対する国民の反発を無視できなかったことも背景になっています。こうした事情を無視して、GDP比が下がっていると難癖をつけ、増額をせまるなど言語道断です。

 アルビズ国務副次官補は、二千億円を超える米軍「思いやり予算」が九十億円ほど減らされたことを問題にし、「思いやり予算」を含めた包括的な見直し交渉をするといっています。「思いやり予算」は米軍地位協定で米軍がすべて負担することになっている予算です。全額廃止されて当然の予算です。文句をいうなど本末転倒です。

 アメリカは、先制攻撃戦略への日本動員の強化と戦費分担の拡大を狙っています。イラク空輸支援やアフガニスタン報復戦争での給油支援ばかりではなく、インド洋をまたぐシーレーン(海上交通路)防衛に日本を参加させる狙いもあります。アメリカから武器・装備をもっと買えという圧力も含んでいます。アメリカの要求は日本の主権を無視した横暴勝手であって、許すわけにはいきません。

大幅削減めざせ 福田康夫首相は、洞爺湖サミット直前の日米首脳会談で、日米同盟の「飛躍的に深化」と「いっそうの強化」を強調しました。しかし、日本は憲法で戦争を否定し、戦力の保持を認めていません。来年一月に期限切れになるインド洋での給油支援継続のための給油新法の改定はもちろん、七月に期限切れになるイラクでの空輸支援の継続も憲法違反です。

 日米軍事同盟を背景にした軍事費増額要求をきっぱり拒否し、軍事費の聖域化を許さず、大胆にメスを入れることが重要です。(以上)

【コメント】社会保障費の財源を確保するために消費税率のアップが避けられないという主張が大手メディアの主流となっています。しかし、軍事費にメスを入れようとする主張はなかなかなされません。前記のような報道も大手メディアはしません。

改憲に対する自民党議員と民主党議員の主張は大同小異/山崎孝

2008-07-21 | ご投稿
【憲法討論集会/米国追随を批判 仁比議員/自民・民主 「九条二項なくせ」】

(2008年7月20日「しんぶん赤旗」)

 日本共産党の仁比聡平参院議員は十九日、日本青年会議所が横浜市で開催した「憲法タウンミーティングIN横浜」にパネリストとして参加し、各党代表と憲法問題について意見を交わしました。

 国際貢献のために憲法九条を変えるべきかについて仁比氏は、「イラクでもアフガンでも行き詰まりを深め、国際的に孤立する米国の一国覇権主義にいつまでついていくのかが問われている」と強調。「戦争違法化の歴史で一歩先をいく九条を政治に生かすことが求められている」と主張しました。

 自民党の船田元・衆院議員は「九条二項を削除し、自衛軍を保持する。同盟国であるアメリカをどう助けるか考えないといけない」とのべ、民主党の長島昭久衆院議員は「九条二項を廃止し、自衛隊を明記。第三項を加え国際平和協力を書き込む」とのべました。

 仁比氏は、地方自治をめぐって「地方交付税の削減や公共事業の押し付けで地方自治体の行財政を圧迫してきた政治のあり方を正すことこそが課題」と指摘。政教分離規定をめぐっては「靖国神社への総理大臣の参拝は、国民の信教の自由の侵害とともに、日本の侵略戦争を正当化するという問題がある」と述べました。(以上)

【コメント】日本は現行憲法の下で「国際平和国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(PKO協力法)があります。第1条 この法律は、国際連合平和維持活動、人道的な国際救援活動及び国際的な選挙監視活動に対し適切かつ迅速な協力を行うため、国際平和協力業務実施計画及び国際平和協力業務実施要領の策定手続、国際平和協力隊の設置等について定めることにより、国際平和協力業務の実施体制を整備するとともに、これらの活動に対する物資協力のための措置等を講じ、もって我が国が国際連合を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することを目的とする。

第2条の2 国際平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。

となっています。

この状況であるのに憲法を変えて、長島昭久衆院議員は「9条2項を廃止し、自衛隊を明記。第三項を加え国際平和協力を書き込む」と考えるのは、長島昭久衆院議員の言う「国際平和協力」は、PKO協力法を超えた国際平和協力となります。結論的には戦争をしている国へ自衛隊を派遣して武力行使も可能にする憲法にすると言うことになるでしょう。

9条の1項を残していても、武力による国際紛争の解決の理念はあってもなきがごとくになるでしょう。自民党の改憲は自衛軍による「国際平和協力」となっていますから大同小異です。

戦争は最大の暴力を振るうことです。戦争に参加することは、近代戦では避けることが出来ない住民を犠牲にした戦闘に加わることです。犠牲の出ることで生まれる報復の連鎖を断ち切ることは出来ません。報復の連鎖を生む戦争では問題は解決できません。9・11テロへの米国のアフガニスタン報復戦争は7年経ってもテロリストとの勝利の目途はなくテロリストの住民への影響を防止できてはいません。

改憲派が主張する「国際平和協力」という美名に、国民が心を奪われないようにしなければならないと思います。

米国にとっては現実的と歓迎されても、国民世論にとっては非現実的/山崎孝

2008-07-20 | ご投稿
7月19日付・読売社説は、「民主党代表選 財源と安保の論争を聞きたい」という中で、次のように述べています。

現実的で具体的な安全保障政策を打ち出すことも大切である。

民主党は参院選公約で、自衛隊のイラク派遣の「終了」を主張した。海上自衛隊のインド洋派遣を「憲法違反」と言い切り、反対した。しかも、昨年末に提出した新テロ対策特別措置法案の対案は事実上「何もしない」案だった。

自衛隊をイラクとインド洋から撤退させるなら、代わりに一体何をするのか。国民に分かりやすく説明すべきだ。

民主党内では、自衛隊の海外派遣や消費税率引き上げなどについて積極論と慎重論がある。論議を深めれば、足並みの乱れが露呈する、との懸念があるのだろう。

しかし、そのハードルを乗り越えて、国民の納得できる政策を策定、提示しなければ、政権担当能力を示すことはできない。(以上)

改憲を主張する読売新聞は民主党が打ち出すものとして次のようなものを望んでいると思われます。

2001年にテロ対策特別措置法の審議過程で発足し、2003年に集団的自衛権の解釈見直しなどを政府に求める緊急声明をまとめ、2008年4月23日に活動を再開した自民、公明、民主3党の超党派議員による「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」が打ち出した新活動方針案は、(1)日米(軍事)同盟をより効果的なものとする集団的自衛権の議論はじめ領域警備、秘密保護など防衛法制の見直し(2)自衛隊の海外派兵を迅速に展開する一般法(恒久法)の制定(3)国家安全保障会議(日本版NSC)の創設――の三つの柱を中心に活動を進めるとしています。

朝日新聞の7月17日の報道によると、これとは異なる立場で民主党の一つのグループは次のような提案しています。以下は報道の内容です。

【国際協力隊など民主議員が提言 リベラルの会】

民主党の中堅・若手議員による政策勉強会「リベラルの会」(代表世話人・平岡秀夫衆院議員ら)が16日、政策提言「『思いやりの国・日本』を目指して」を発表した。代表選に立候補する小沢代表らに示して賛同を求める。提言は安全保障をめぐり、自衛隊とは別に「国際協力隊」を新設し、自衛隊に代わって海外での平和維持活動にあたる▽集団的自衛権の不行使原則を盛り込んだ「平和基本法」を制定する▽普天間基地の閉鎖と海外への移転を目指すとした。医療保険制度の一元化や、消費税の逆進性対策としての「戻し税」導入の検討にも言及した。

同会は2004年、イラク邦人人質事件で自衛隊の撤退を求めた議員らを中心に発足。憲法9条堅持や集団的自衛権の行使反対を主張している。(以上)

「リベラルの会」の主張した普天間基地の閉鎖と海外への移転は、7月18日に沖縄県議会は賛成多数で決議をしています。これが安保条約の実態を一番よく体験し認識している沖縄の多くの人たちの願望だと思います。また、本年11月16日投開票の那覇市長選で、社民党県連、共産党県委、民主党県連、社大党が推薦したで平良長政氏と推薦政党は憲法9条を守ることを協定しています。

福田政権は、アフガニスタン本土への自衛隊派遣を諦めました。現在のパターンの活動を続けられる法案を出す予定です。理由はアフガニスタン本土への自衛隊派遣が出来る秋の臨時国会に法案を提出しても、国民世論を考慮した与党内に残る反対論と野党の攻勢で立ち往生する懸念からでした。自衛隊をアフガニスタンへ送り犠牲者が出たら政権にとって打撃が受けると言う判断もあると言われています。

読売の社説が主張する「現実的で具体的な安全保障政策」は、米国にとっては「現実的」と歓迎されても、国民の多数の支持を得られない非現実的な政策です。

日本の未来のために、真の政治共闘を示す沖縄の人々/山崎孝

2008-07-19 | ご投稿
【辺野古移設反対可決へ/きょう県議会最終本会議】(2008年7月18日付沖縄タイムス)

県議会六月定例会は十八日、最終本会議を開き、野党六会派が提出した名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議・意見書が、野党の賛成多数で可決される見通しだ。日米両政府が合意した辺野古沿岸域へのV字形滑走路案に、県議会が反対を決議するのは初めて。普天間飛行場移設をめぐる県と政府の協議に影響を与えそうだ。

県議会は同飛行場の移設をめぐり、SACO(日米特別行動委員会)の中間報告後の一九九六年七月、普天間基地の全面返還促進や県内移設に反対する意見書を全会一致で可決。しかし、九九年十月には、同飛行場の早期県内移設に関する要請決議を保守系の賛成多数で可決した経緯がある。

また、県議選で争点になった後期高齢者医療制度についても、野党が「廃止」、与党が「見直し」を求める意見書を提出しているが、野党案が可決される見込みだ。都道府県議会での「廃止」を求める意見書が可決されれば、岩手県議会に次いで二例目になる。

同日は、それぞれの決議、意見書について提案理由の説明、質疑、賛否を討論し、採決が行われる。

そのほか、原油価格高騰対策に関する決議・意見書、県内建設業者の受注機会の拡大に関する意見書も提出されており、これらは全会一致で可決される見通しだ。

【新基地建設 反対訴え/平和団体など集会】

米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書が、与野党逆転の県議会で十八日に採択される見通しとなったことを受けて、県内の平和団体らが十七日、那覇市の県庁前で意見書の採択を支持する緊急集会を開いた。

野党各会派の県議もそろって参加。沖縄平和運動センター議長の崎山嗣幸県議は「議会と市民運動を結合しながら頑張っていこう」とあいさつし、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「明日は待ちに待った日。仲井真知事と日本政府に県民の本当の声を届けよう」と呼び掛けた。

参加者はその後、国際通りへ繰り出し、「新基地建設反対」と声を上げながらデモ行進した。

【コメント】沖縄戦における集団自決死は軍名により起こったのではないとする歴史の改ざんに抵抗して、県議会で教科書検定の取り消しを要求する決議を行い、11万人の大集会を開き、今まで大変な苦しみのために口を閉じていた人たちも歴史の新たな証言者となりました。このことは大江健三郎氏と岩波書店を告訴した裁判の勝利に影響を与えています。

沖縄の人たちは、昨年の参院選挙で野党の統一候補として糸数慶子氏を擁立し大差で勝利しました。

本年11月16日投開票の那覇市長選で平良長政氏を社民党県連、共産党県委、民主党県連、社大党は推薦した。平良氏は「人間の尊厳が脅かされる事態には国策であれ、市民と地元を慮る視点をもってきっぱりと主張し、『市民が主人公』の温かい市政を目指す」と述べ、推薦政党とは日米安保体制を改めることやカジノ導入反対など4項目の政治姿勢で合意。憲法9条を守るなど5項目の基本政策で合意、協定書に調印しています。

これらを見れば、沖縄の人たちは、日本の未来を切り開く方向での真の野党共闘の姿、真の政治共闘の姿を示しています。

文民統制と自民党の政治家/山崎孝

2008-07-17 | ご投稿
朝日新聞の7月16日の社説は、防衛省改革について論じた中で、《政治による統制といっても、では政治の側に外交や軍事の指揮権をふくめ自衛隊を統制できる用意と意思があるのかどうか。文民統制の根幹はここにあることを忘れてはなるまい》と述べています。

自民党の政治家の中には、第一次イラク復興支援活動で先遣隊長を務めた佐藤正久・元一等陸佐は、サマワ駐留当時、機会があれば積極的に戦闘に巻き込まれ、集団的自衛権の行使を禁じた憲法に抵触しない個別的自衛権の形で応戦・参戦する腹であった旨を明らかにしています。二〇〇七年夏の参議院議員選挙で当選し、政治家への転身を果たして間もない八月十日のTBSニュース。官邸に設置されていた有識者会議「安全保障の法的基盤に関する懇談会」がPKO(国連平和維持活動)における自衛隊の武器使用を論議していたことについての報道に佐藤議員は識者の立場で登場し、次のように述べていました。

「(たとえば)自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応(応戦など)をやらなかったら、自衛隊に対する(関係国からの)批判というものは、ものすごく出ると思います」「(もしもオランダ軍が攻撃を受けるような事態になれば)情報収集の名目で現場に駆けつけ、敢えて巻き込まれる」「巻き込まれない限りは(武器の使用が許されている)正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思いますよ」「その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」。

佐藤議員の発言は、かつて関東軍の行なった既成事実を作り、政府にその既成事実を容認させて、中国の占領地域を拡大させた出来事と同じ考え方です。文民統制はこの歴史の教訓に基づいて、日本の戦後の占領政策を管理した極東委員会が提案して日本に課した事項でした。政府が軍事組織を統制する考えは良いのですが、文民であるべき自民党の政治家の政治姿勢を見ると実に不安を覚えます。日本の政治家は不戦の理念で文民統制を行なうべきです。

歴史に学び、歴史を通じて出来上がった鉄則を守る/山崎孝

2008-07-15 | ご投稿
平和と生存権 重ねて/九条の会主催セミナー講演 大江・暉峻・湯浅氏/宮崎(2008年7月13日付「しんぶん赤旗」)

 九条の会が主催する第六回憲法セミナー「人間らしく生きる―憲法第9条と25条」が十二日、宮崎市内で開催されました。同会の呼びかけ人の一人で作家・大江健三郎氏ら三人が講演。「貧困と格差」の拡大が重大な社会問題になるなか、今回は九条と二五条(生存権)とあわせ取り上げられました。セミナーが九州で開かれたのは初めて。各県から参加した約千六百人が熱心に聞き入りました。

 大江氏は、障害をもつ子を育てるなかで二五条や九条、すべての個人が尊重される一三条など新しい憲法に励まされ「憲法において生かされてきた」とのべました。沖縄戦や広島・長崎にふれながら「歴史に学び、歴史を通じて出来上がった鉄則をまもる―それが人間らしさだと思う」と恒久平和の維持を強調しました。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの湯浅誠事務局長は、貧困と戦争は切り離すことはできないと述べ、九条と二五条をセットで考える重要性を指摘しました。

 埼玉大学名誉教授の暉峻淑子氏は、勝ち組負け組を生みだす「競争社会」と戦争とを対比、「勝つことが至上命題。ひとたび落ちこぼれると『将来はホームレス…』。こんな無情な社会でいいのか」と問いかけました。

 参加した福祉関係の専門学校で学ぶ女性(19)は「九条で戦争の話ばかりかと思っていたが、福祉に関係ある話もあり、憲法が身近なものに思えてきた」と話しました。

【コメント】5月に開かれたいせ九条の会の総会は憲法9条と国民の暮らしの問題を結びつけて取り組み宣伝していくことが確認されています。私はこの観点で昨日も東京新聞の社説を紹介し意見を述べました。全国的に見ても九条の会の運動は、憲法第9条と13条と25条を柱にして運動を展開しています。

大江健三郎さんは講演で「歴史に学び、歴史を通じて出来上がった鉄則をまもる―それが人間らしさだと思う」の言葉は、日本人が生きてきた過去と現在と未来を収斂させた素晴らしい言葉で全く同感です。鉄則は言うまでもなく憲法に示されています。

私には、大江健三郎さんの小説は、読む通す力がありませんので、読めないでいますが、評論集は読んで学んでいます。そこで三重県でも大江健三郎さんをお呼びして講演会を開けたらいいなと思っています。

人間を大切にしない新自由主義経済/山崎孝

2008-07-14 | ご投稿
【 “ネット社会”の孤独】 東京新聞の社説(2008年7月13日)

秋葉原の惨劇から一カ月がたちました。個人の責任を追及するのは当然ですが、再発防止のためには社会的背景にもっと目を向けなければなりません。

コミュニケーションの道具が飛躍的に発達し、いまやパソコンや携帯電話があれば、世界中と瞬時につながることができます。知らない他人と自由に話せ、メッセージを交換できます。

それなのに加藤智大容疑者の孤独感、孤立感、疎外感の深さはどうしたことでしょう。寂寥(せきりょう)感、劣等感、悲しみ、怒り…など、便利なコミュニケーションツールを駆使して彼が紡ぎ出した言語は負の感情を表すものばかりです。

随所に格差社会への不満 “ケータイ”の掲示板に残された書き込みからは、仲間がほしくて、周囲とつながりたくて、懸命にサインを送っても果たせず、自己嫌悪に陥っていった葛藤(かっとう)が浮かんできます。

独善的で自分に甘く、内省しようとしない彼の姿勢が周りの人に愛想をつかされ、孤立をもたらした面もありますが、周囲の環境に由来する面もあります。

書き込みには格差社会、不安定な雇用に対する不満や不安が随所に現れます。

必要な時だけ低賃金で労働者を集め、不要になれば切り捨てる。それが当たり前になったいまの社会で、若者たちは訴えても訴えても為政者に声が届かないもどかしさに焦りを募らせています。

昨年、「希望は戦争」と公言する若い論客が登場して注目を浴びました。若者がいくら努力しても普通の生活ができるようになる道筋が見えてこない、閉塞(へいそく)状態に対する絶望感の表明でした。

「戦争が起きればすべての秩序が崩壊する。ならば浮かび上がるチャンスだ」という論理展開は挑戦的で刺激的ですが、少なからざる共感を呼んだようです。

登場人物と自分を重ねて 今年は若い人の間で「蟹(かに)工船」ブームだそうです。プロレタリア文学の最高傑作とされるこの小説を一九二九年に発表した小林多喜二は、四年後に特高警察に逮捕、虐殺されました。

オホーツク海でカニを捕って高価な缶詰に加工する蟹工船「博光丸」の労働者は、低賃金で酷使され、劣悪な労働環境、暴力、過労などで次々倒れてゆきます。はじめはあきらめていたものの、やがて団結してストライキに踏み切ります。一時「帝国海軍」の介入で弾圧されますが再び立ち上がる、という筋書きです。

文庫本が書店に平積みされ、若い人を中心によく売れているとのことです。読者は登場人物に自分を重ね合わせるのでしょう。

職場が頻繁に変わる浮草のような派遣労働者の加藤容疑者にとって、“ケータイ”は自分と外部をつなぐ細い糸であり、秋葉原の街は自己の存在を確認できる象徴的な場所でした。

ネットオタク、アキバ系などと称されるネット文化の担い手と、加藤容疑者のようなワーキングプアといわれる若者たちとは、重なっている部分が多いそうです。

ただし、蟹工船の労働者と違って、彼らに対しては正面からのむき出しの弾圧はありません。目の前にあるのは、グローバル化、規制緩和という大義名分で勝ち組と負け組の格差を大きくし、弱者のセーフティーネットを狭める経済、雇用、福祉などの政策です。

制度、政策は「帝国海軍」のようにはっきりとは見えませんから焦燥が深まるばかりで、怒りをぶつけるべき相手をつかみかね、閉塞感が募るのでしょう。

加藤容疑者と同じ境遇の若手労働者の間には、博光丸で生まれた団結も連帯もありませんでした。“ケータイ”を操るだけでは、交わした言葉が結びついて力に転化することはないのです。

真のつながりのないネット会話は、冗舌なだけで内省を誘うこともありません。心の中で自分と対話することがありませんから、直面する問題の核心がつかめず、不平、不満を並べるだけに終わったり、怒りをとんでもない方向へ向けたりすることにもなります。犯行はその結果でしょう。

むろん刑事責任は厳正に問うべきです。計画的で残忍な犯行に同情の余地はありません。しかし、厳罰に処すべきだからといっても犯行の背景を無視していいことにはなりません。

この社会をどう変えるか かつて不況などによる閉塞感からナショナリズムが高揚し軍部の暴走を後押ししました。最近「ネット右翼」と呼ばれる言論が飛び交い、容疑者を英雄視する書き込みもあることが懸念されます。

犯行動機は種々の要素が絡んで複雑でしょうが、「日本社会はどうあるべきか」という核心を見失わないようにしたいものです。(以上)

【コメント】東京新聞の社説は《「日本社会はどうあるべきか」という核心を見失わないようにしたいものです》と結んでいます。私は「日本社会はどうあるべきか」は、すでに明確に示されています。日本国憲法第13条の個人の尊厳を守ること、第25条の、すべての国民は、文化的で健康な生活を営む権利を保障していく国家の政策と企業のあり方です。

改憲を主張する与党は、新しい権利を書き込むとか、時代に対応した憲法と、言っていますが。現行の憲法に規定された「人間の尊厳」という世界に“普遍的な理念”を守らないで、新しい権利を主張しても意味がありません。現在の時代に対応するとは憲法を変えることではなく、与党が行なった、企業に都合の良い新自由主義経済主義に基づく労働者派遣法などを改めることです。