いせ九条の会

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中川昭一氏の自民党の国会代表質問を考える/山崎孝

2007-01-30 | ご投稿
中川昭一氏は、1月29日、国会の代表質問で、憲法改正手続き法案は、一刻も早い成立が望まれる。法案成立後に衆参両院に設置される憲法審査会で、あるべき憲法の姿について十分な審議が尽くされるものと考える。

外交の最大課題は北朝鮮問題で、拉致・核・ミサイル問題の全面的な解決が一日早く待たれる。拉致問題は世界的異常のひとつ。北朝鮮に「対話と圧力」で臨むのが基本方針だが、北朝鮮は自ら対話を閉ざしているため、諸外国とともに圧力をかけていかなければならない。政府は日本の最重要政策の一つと認識し、国の威信にかけて取り組むべきだ。

集団的自衛権やミサイル防衛など真の日米同盟関係をいまこそ確立すべきだ。米軍再編問題の処理を急ぎ、日米間の情報共有、対話、共同行動など同盟関係の一層の深化が必要だ。中国の宇宙での軍事行動や東シナ海の海洋軍事行動の拡張政策など不透明が拡大し、脅威が増している。(以下略 朝日新聞報道)と述べました。

中川氏は「拉致・核・ミサイル問題の全面的な解決が一日も早く待たれる」と考えていますが、核・ミサイル問題の全面的な解決を真剣に考えているのであれば、「核・ミサイル防衛」を確立する必要のウェイト低くなるはずです。であるならば、核・ミサイル問題に対処するための日米同盟の確立は強調しなくても論理的には良いはずです。

世界の異常の最大のものは、米国のイラク政策だと思います。世界や米国の与党共和党の政治家ですら、イラクへの増派に反対しているのに、増派を行おうとしています。自民党政府がイラク戦争のもたらしたことに眼をつぶっていることも異様のことの一つです。

拉致問題は北朝鮮が他国の人の連れ去り、人の尊厳を踏みにじる不法行為で異常なことです。イラク戦争は、米国が他国の国に大規模に侵攻して、少なくとも4万人以上の人の命を奪った一大不法行為です。それなのに中川氏は、米国との軍事同盟強化を主張することは、論理的な整合性がありません。

中川氏は「北朝鮮は自ら対話を閉ざしているため」と述べていますが、米国、中国、韓国、ロシアとは対話を閉ざしていません。特に米国と北朝鮮は、金融制裁問題で1月に入り積極的に会談して1月30日も話し合っています。その積み重ねが2月8日に6カ国協議が行われる予定となるまでになりました。

日朝の対話が途切れてしまったのは、制裁一本やりで圧力ばかりだったからです。「諸外国とともに圧力をかけていかなければならない」といっていますが、対話できる方向に結びつかない圧力は効果がありません。

中川氏は「中国の宇宙での軍事行動や東シナ海の海洋軍事行動の拡張政策など不透明が拡大し、脅威が増している」と述べていますが、宇宙の軍事化に先に手を出したのは米国です。日本は米国の宇宙の軍事化である次世代ミサイル防衛網構築に、国是である武器輸出禁止の特例解除まで行い協力しています。

1月26日の朝日新聞記事には《中国は従来、米国が先行している宇宙開発では、「軍拡防止」を主張。兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の策定交渉にも「宇宙」を絡めようとして、米国と鋭く対立し、日米のミサイル防衛システム構築にも懸念を示してきた》と書かれています。

中国の宇宙での軍事行動は、日米の宇宙利用の軍拡に対抗したものです。日本自らのことを棚に上げて中国の脅威を主張することは筋が通りません。日本、米国、中国は宇宙の軍事化をそろって止めるべきです。

中川氏が述べる「日米同盟関係の一層の深化が必要」は、安倍首相が1月に行ったアジア外交や6カ国協議の方向とは正反対の考え方です。