いせ九条の会

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朝日新聞世論調査でも、安倍首相の国の舵取りの矛盾が/山崎孝

2007-01-23 | ご投稿
朝日新聞社は1月20日と21日に全国世論調査を行いました。それによると内閣支持率は39%に低下する。質問項目の「お宅の収入が増えたという実感がありますか」に対しては、実感がある5%、実感がない89%です。

朝日新聞世論調査で国の根幹に関わると私が思った質問項目の結果について述べます。

質問項目「参議院選挙にどの程度関心がありますか」(択一方式)に対して、大いに関心がある26%、ある程度関心がある47%、あまり関心はない22%、まったく関心がない5%で、国民の関心が高いことを示しました。

この高い関心の参院選挙と関連して、朝日新聞世論調査の質問項目「安倍首相が憲法改正を参議院選挙の争点にかかげたことは妥当だと思いますか」に対して、妥当だ32%、そうは思わない48%という結果です。妥当だ32%ですから答えなかった人も含めれば、国民は必ずしも憲法改定が現在の日本の緊急な政治課題とはなっていると判断はしていません。

そして、朝日新聞世論調査の質問項目「安倍首相は、先日行われた東アジアサミットにあわせて中国、韓国の首脳と会談し、北朝鮮問題や歴史問題などについて話し合いました。安倍首相の中国や韓国に対する外交姿勢を評価しますか」に対して、評価する60%、評価しない24%となっていて、安倍首相のアジア外交は強い支持を受けています。

これらの朝日新聞世論調査を見ても、安倍首相の国の基本に関わる舵取りの矛盾が浮かび上がっていると思います。改憲の方向とアジア外交の方向とは論理・思考に対立関係にあります。

1月17日、私はブログに「外交方針の整合性を保つこと」というタイトルの文章を書きました。この考えをベースにした文章を、500字以内にまとめて、20日に朝日新聞「声」欄に投稿し幸運にも23日に掲載してもらえました。今までのブログで述べたことと重複しますがブログに載せさせていただきます。

【アジア政策と矛盾する改憲】

14日の「日中韓報道声明」は、3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化、政治・外交課題を調整するため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した、となっている。

また、この日の東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議では、東アジア共同体の創設に向けた取り組みの強化が確認された。日本は東アジアの平和と安定をはかるための6者協議に参加している。

これらのアジア外交は、憲法前文の諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持するという理念にかなっていると思う。しかし、安倍首相は17日、自民党大会で「憲法改正に取り組む」と、改憲への強い意欲を示した。その根底にある考え方は、アジアのある国に不信を抱き日本の周辺事態を想定。それに対応するために、日米同盟で集団的自衛権行使を可能にして、軍事同盟を一段と強化することにある。

安倍首相のアジア政策と改憲は整合性や統一性がなくねじれている。アジアの動向に対応し、信頼されるアジア外交を展開するには現行憲法がふさわしい。