いせ九条の会

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自民党政治家が憧れる英国の政治家の保守主義とは/山崎孝

2006-11-30 | ご投稿
11月30日の朝日新聞の記事に、英国保守主義の研究者の第一人者と言われるスチュアート・ボール博士のへのインタビュー記事がありました。

安倍首相は尊敬する政治家は、と問われると真っ先に挙げるのは、チャーチル首相だそうです。自民党の政治家にも英国の保守主義に憧れる政治家は少ないと言われます。

スチュアート・ボール博士のへのインタビュー記事の中から、安倍首相と自民党政治家に是非とも読んでほしい部分を抜粋します。

 ●英国の保守主義と比べると、米国のブッシュ共和党政権を支える宗教右派と呼ばれる保守層は、ずいぶんと趣が違いますね。

 米国の保守主義の根底には清教徒や原理主義的プロテスタントの、より厳格な伝統が横たわっている。一方、英国の保守は特にこの半世紀というもの、キリスト教に由来する道徳を緩やかな規範としながらも、国家が個人の信仰や内面に干渉することは慎重に避けてきた。国民も道徳を国家に強制されることを嫌う。

 英国の保守党は、経済・外交政策では米国の共和党と足並みをそろえている。だが、保守の価値観という点では、共和党内の「がちがちの超保守派」よりも民主党の穏健派の方が肌が合う。

 英保守党政権が米民主党政権との間で、より良好な関係を築くことが多い秘密の一端はそこにある。

 国家は個人の内面についてあれこれと指図すべきではない。それは、個人の自由な選択を董する、英国の保守の良質な部分といえる。

民主党 防衛省法案採決に合意/山崎孝

2006-11-29 | ご投稿
民主党は先に核保有議論容認発言に関する集中審議や、イラク復興支援特別法に基づく活動を「本来任務」から除外することなどを要求し、与党がこれに応ずれば防衛省法案の賛成するという方針を示してきました。

11月28日、民主党は与党と30日に衆院安全保障委員会と衆議院本会議で採決することに合意しました。これで法案は今国会で成立する見通しとなってしまいました。(共同通信ニュース参考)

防衛庁「省」昇格関連法案は、国際緊急救助活動、国連平和維持活動、周辺事態法に基づく後方支援などを本来任務にするとしています。

《周辺事態法に基づく後方支援》は、民主党が要求した《イラク復興支援特別法に基づく活動》と同じような性格の活動です。想定されているのは、朝鮮半島有事、台湾有事に米国が干渉したことにより生まれる周辺事態で、自衛隊が後方支援を行います。そのときに米艦艇が攻撃された場合、自衛隊は逃げるのはおかしいと憲法の解釈を変えるべき、と国会で議論されている事柄です。そして自衛隊の海外活動に関する恒久法では、自衛隊は武力行使をすることを盛り込もうとしています。

先に紹介していますが、民主党が、来夏の参院選へ向け策定する基本政策の安全保障分野の原案が11月17日に明らかになっています。自衛権の行使については「個別的、集団的といった概念上の議論に拘泥しない」として、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を見直す方針を明記。周辺事態に共同行動をとる米軍艦船の護衛など、これまで集団的自衛権の行使に当たるとされてきたケースの一部容認を想定しています。民主党の考え方は結局、自民党と五十歩百歩なのです。

国連がネパールに自衛隊派遣を要請/山崎孝

2006-11-28 | ご投稿
11月28日の共同通信のニュースを要約して引用します。

政府側と対抗勢力が「包括的和平協定」を締結したネパールに対して、国連が平和維持活動(PKO)の一環として軍事監視団の派遣を調整、日本政府に自衛隊の派遣を要請していることが分った。複数の政府筋が11月27日、明らかにした。政府は国連安保理の派遣決議を待って、自衛隊員の安全を確保出来ると判断すれば、PKO協力法に基づく派遣を検討する。

政府筋によると、監視団の任務は包括的和平協定の履行を検証するのが主な目的で、具体的には武器管理、関連する情報収集と国連への報告が柱。日本、英国、クロアチアなど約20カ国に派遣要請があった。「包括的和平協定」は、政府、ネパール共産党毛沢東主義派双方の武器を国連の管理下に置くことを明記。

国連は計100人の監視団を想定。日本にはPKOに参加経験のある自衛隊員5人前後の派遣を求めている。毛沢東主義派は武装闘争の終結を宣言し、来年1月までに暫定政府を発足。来年6月までに制憲議会選挙が実施されれば、日本政府は文民の選挙監視団を送る予定で検討をしている。

PKO協力法に基づく自衛隊活動は現在、中東・ゴラン高原の国連兵力引き離し監視団で45人が主に輸送業務に当たっている。(以上)

このニュースでも明らかなように、安倍首相が9月の所信表明演説で「海外でのPKO(国連平和維持活動)の際に、一緒に作業している外国部隊は攻撃された時に救出することが憲法に反するのか」とも述べ、この点についても研究の必要性を指摘したことは、PKOの実態とは乖離したものであることが分ります。PKOは停戦が実現していないのに介入はしません。活動分野も様々にあり、活動中の偶発的な武力衝突も大規模なものとは言えず、それぞれの部隊が自衛的、個別的に対応することが原則です。

自民党の狙いは国民が受容れ易いと考えるケースを突破口にして、集団的自衛権行使が出来る国にしたいだけです。

パレスチナ紛争、停戦に合意/山崎孝

2006-11-27 | ご投稿
11月26日、イスラエル軍とハマスとの戦闘が停戦合意に達しました。今回の停戦合意を成立させた直接的な動機として、パレスチナ側で言えば、3月末から続けられていた欧米とイスラエルによる経済制裁を解除させること。イラエル側としては、圧倒的な軍事力でハマスのロケット弾発射拠点をつぶしても、自国領内への攻撃が止められず、住民に被害が出て平和な生活が得られないことがあります。双方とも武力を応酬していても問題解決の先が見えないことにあります。

1967年の第三次中東戦争の処理原則である国連安保決議242号に立ち返るより解決の方向はありません。決議242号はイスラエルに占領地の返還を求め、パレスチナにはイスラエルとの共存を求めています。1993年の双方が合意した「オスロ合意」もその方向で和平を勝ち取ろうとしていました。

圧倒的な軍事力で自分の思うように問題を処理しようとした試みは、過去の歴史を振り返れば幾つもありました。日本の日中戦争、米国のベトナム戦争、ソ連のアフガン侵攻、そしてイラク戦争です。しかし、いずれもが失敗をしています。

これらを見れば日本国憲法の国際紛争を武力で解決してはならないとした理念は真理です。しかし、自民党は「憲法第9条第1項が禁じているのは『国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力の行使』であり、『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』は認められる」と解釈すべきだという詭弁を用いて、集団的自衛権行使の出来る憲法解釈にして、日米同盟の更なる活用のために、米国の戦争に直接的に参戦することを狙っています。

集団的自衛権の解釈変更 自民小委が検討開始/山崎孝

2006-11-26 | ご投稿
【集団的自衛権の解釈変更 自民小委が検討開始】(2006年11月24日「しんぶん赤旗」電子版)

 憲法が禁じている集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にするため、自民党の防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)が解釈変更の検討をはじめています。安倍首相の意向に沿うものです。

 15日の同小委員会で石破委員長は、集団的自衛権について「政府の解釈と国際的な定義が違う。集団的自衛権の定義を国際的な標準に合わせる必要がある」と発言。密接な関係にある他国への攻撃を自国への攻撃とみなすべきだとの認識を示しました。

 「集団的自衛権の法的検討」と題する小委員会の討議資料では、「憲法第九条第一項が禁じているのは『国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力の行使』であり、『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』は認められる」と解釈すべきだとしています。

 国連軍への参加や集団的自衛権行使を認めない政府見解の論拠となっている「自衛権は必要最小限度しか行使できない」との論理を批判。さらに、海外での武力行使について「個別的・集団的自衛権の行使」や「集団安全保障への参加」であれば「違法性が阻却(しりぞけること)され行使可能」との判断がなされるべきだと主張しています。

 石破小委員会の検討は、戦争放棄と戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法九条のもとで、無理な解釈を積み重ねてきた政府見解の弱点をつくかたちで、さらなる解釈改憲を提起。自衛隊の海外での武力行使に道を開こうとするものです。(以上)

『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』はあるのでしょうか。今年起きたイスラエルとヒズボラの武力衝突は、レバノン紛争と呼ばれています。紛争が拡大したのが戦争ではないのでしょうか。今年のレバノンでの紛争に対して国連は停戦監視のための国際部隊を派遣しています。国連憲章第42条の武力制裁は排除しています。

《「自衛権は必要最小限度しか行使できない」との論理を批判》について考えて見ますと、国連憲章の《第51条〔自衛権〕この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。》と規定されています。この規定を見れば、「自衛権は必要最小限度しか行使できない」という趣旨にも読み取れます。集団的自衛権行使そのものも抑制的に行わなければならないと規定しています。

国連平和維持活動は、紛争を起こした当事者間の戦闘行動が終息し停戦に合意した後に国連が国際部隊を派遣するのを原則としています。停戦監視活動を行っているときの偶発的な衝突には、自衛が原則で衝突を拡大させるような行動は出来ません。

それに国連平和維持活動はいろいろな分野があり、医療や補修といった仕事もあります。国連から要求もされないのに、憲法を変えてまで海外で武力行使をする必要はありません。

「集団安全保障への参加」は、イラクの大量破壊兵器の脅威を取り除くとして、イラク攻撃をした米国を中軸とした有志連合への参加を「集団安全保障への参加」と主張する可能性があります。自民党はいろいろ口実をもうけて、日米同盟における集団的自衛権行使の突破口を見出したいだけです。。

自民党幹部、東京地裁判決は基本法改正で出なくなると明言/山崎孝

2006-11-25 | ご投稿
【教育基本法:民主党「不当な支配」で論戦 参院特別委】(毎日新聞 2006年11月22日電子版)

11月22日に実質審議入りした参院教育基本法特別委員会で、教育基本法改正案で禁じている「不当な支配」が焦点となった。政府・与党は新たに「教育は法律の定めるところにより行われる」との表現を盛り込んだことで、「命令・指導は『不当な支配』ではない」(文部科学省)との立場。一方、民主党は「政府案では教育への国の介入が強まる」と主張し、改革論議で対決姿勢を打ち出す。

改正案は、現行法の「教育は不当な支配に服することなく」との表記を残しつつ、法令順守の表現を新設した。東京地裁は9月、都教委の国旗・国歌を義務付ける通達を「不当な支配」と認める違法判決を下したが、自民党幹部は「こうした判決は基本法改正で出なくなる」と明言する。

これに対し、民主党は17日の参院への対案提出に当たり、文科省の都道府県教委に対する「指導」規定の廃止や、教委に代わって自治体の教育行政をチェックする「教育監査委員会」創設を盛り込んだ関連法案を出した。与党の「民主案は改革の具体像が不明確」との批判をかわし、教育委員会制度の廃止など、具体的な改革論議に持ち込む戦略だ。

22日の特別委の審議で、民主党の佐藤泰介氏は「『不当な支配』とは誰の誰に対する支配か」と追及。伊吹文明文科相は「地方分権は、地方が何をやってもいいということではない」などと反論し、文科省の権限強化が必要との持論を展開した。(以上)

毎日新聞の記事《東京地裁は9月、都教委の国旗・国歌を義務付ける通達を「不当な支配」と認める違法判決を下したが、自民党幹部は「こうした判決は基本法改正で出なくなる」と明言する。》で、教育基本法改定の狙いが自民党側から明らかにされました。

文部科学省が「命令・指導は『不当な支配』ではない」との立場を取る以上、愛国心を育てるとした教育内容を文部科学省が提示して指導・命令をすることが出来ます。

NHKの番組で日本の素晴らしさを教えるモデル授業の内容が放映されました。一人の教師は、外国人の子どもが「日本は四季があって美しい国」だと述べたことを取り上げて、どう思うかと子どもたちに尋ねました。そうすると一人の子どもが「外国にも四季のある国がある」と発言すると、先生は富士山の美しさなどを強調して、日本は美しい国だと生徒に日本の美しさを教え込もうとしました。先生がある特定の価値観を提示してそれを子どもに教え込もうとするのが教育基本法改定の狙いです。

別な学校のある先生の授業内容は、はじめから先生の意見を述べるのではなく、日本の伝統文化にはどのようなものがあるかを子どもたちに出させて、子どもたちに考えさせていました。おそらく、このような授業の方法は否定され、文部科学省が命令・指導する授業の内容しか出来なくなると思います。

要するに多様な価値観を持つ国民は要らないとするのが自民党の考えです。多様な価値観を持たない国民は、政府の政治宣伝に簡単に同調させることが可能です。

自由と民主主義の国と自称する米国でさえ、9・11テロ事件以降は愛国心の坩堝と化して、自国政府の主張に重きを置いて編集したワシントン・ポスト紙は「戦争に向けて打ち鳴らされるドラの音に警戒や疑問がかき消されていった」と、2004年の報道検証で反省しました。そのときすでに遅く、米国の起こしたイラク戦争により、イラク人や米兵に大きな犠牲が出ていました。

25日の朝日新聞の世論調査では若い世代の関心は教育基本法、憲法改定に関心が薄く年金や雇用といったことに関心をより多く持つと報道されています。教育基本法、憲法改定は国のあり方を決めるもので年金や雇用と同じように将来の生活に大きな影響を与えるものです。「いせ九条の会」の改憲に反対する署名運動での経験は、私たちの話を真剣に聞いてくれる中・高生もいました。どのような働きかけをすればよいのかを考えねばなりません。

ゴスペルソング/山崎孝

2006-11-24 | ご投稿
11月23日、私は南伊勢町で行われたゴスペルソングの音楽会に行きました。主催は「主の十字架クリスチャンセンター四日市シオン教会」です。

ゴスペルとは司会者の話では「良い知らせ」と言う意味で、たぶん神の教えのことを示唆しているのだと思います。私は「神」とは人間の創造した叡智の一つで、その教えを守ることによって自らの行動を律しているのだと考えています。神の教えの隣人愛は、人類には普遍的な考え方だと思います。隣人愛は人類愛と共通のものでなければならず、国家や民族を超えて繋がっていなければならないと思います。そういう意味で、愛国心は人類愛と対立する局面が生まれます。

私が知っているゴスペルソングは、体全体で表現する魂の歌という感じの音楽でしたが、23日に聞いたゴスペルソングは、日本のフォーク調というべき、日本人が作った歌が大半でした。グループのハーモニーがとても素適でした。

11月23日、NHK主催「日本民謡フェスティバル」が開かれ、私が好きな奄美の島唄をうたう中村瑞希さんが、民謡日本一(グランプリを獲得)の歌手になりました。中村瑞希さんは5年ほど前から奄美の島唄歌手として注目されてきた歌い手です。私は琉球弧といわれる島々の島唄歌手で、特に好きなのはRIKKI、朝崎郁恵さんです。洋楽とのコラボレーションも行っています。

奄美の人々は琉球王朝と島津藩の圧制に苦しみを、歌で心を癒してきました。これはゴスペルソングと共通しています。

ゴスペルソングは、英国のホーリネス派(メソジストとバプティスト派からの分派)の賛美歌の中には、貧しい人たちを励まし、死や不安からの解放を願う歌がありました。米国の黒人たちは、自分たちの生活の苦しさと重ね合わせてこの賛美歌をうたった。これがカルテット(四重唱)やクァイア(聖歌隊)に発展させたのがゴスペルソングだと言われています。

私は名古屋でバプティスト派教会のゴスペルソングを聞いています。私は10代の時にクリスチャンが経営する印刷所に働いたことがあります。日曜になると牧師さんやクリスチャンの方が見えてお話や賛美歌をうたって下さいました。私は安息日の日曜に働くのは変だと思い信者にはなりませんでした。しかし、賛美歌のいくつかを知ることが出来ました。今でもその経営者に感謝しています。

付記 朝日新聞「声」欄 2003年6月29日付け掲載【小さな文化圏、島唄を楽しむ】

 奄美や沖縄の島唄ついて、ネットの掲示版で語り合っている。演奏会や歌手のこと、島の旅日記などが書き込まれる。メンバーは奄美の在住者や出身者、プロの音楽家など。

 「ワダツミの木」で昨年初め一躍人気が出た元(はじめ)ちとせさんは、マイナーな存在だった頃から注目され、島唄の歌唱力やポップスの要素が融合したアルバム「コトノハ」で話題に挙がっていた。石垣島出身で「涙そうそう」がヒットしている夏川りみさんもそうだった。

二人は一度都会に出たが自分らしさを見出しえずに帰郷。故郷の文化の中で見つめ直して飛躍への道を切り開いた。奄美は琉球王朝や薩摩藩に抑圧を受けた歴史を持つ。それを背景に悲しい歌が多いが、南国らしい楽天的で陽気な歌があるのが魅力的だ。

 掲示版に伊勢音頭のことを書いたら、鹿児島の人が自分の地方にも伊勢音頭の影響を受けた芸能があることを教えてくれた。ネット上にはいろんな島唄関係のページがあり、小さな文化コミュニティーである。

教育基本法改定案は「新たな理念」とは/山崎孝

2006-11-23 | ご投稿
共同通信のニュースの抜粋です。【国旗国歌尊重は重要―首相 教育基本法改定案「新たな理念】安倍晋三首相は11月22日午前の参院教育基本法特別委員会で、教育現場での国旗国歌への対応について「学枚のセレモニーを通じて敬意、尊重の気持ちを育てることは極めて重要。政治的闘争の一環として掲揚や斉唱が行われないとすれば問題だ」との見解を示した。

また、同法改正案に「公共の精神」などを盛り込んだことに関し「新しい時代に合った理念、原則を定めた。戦後60年たった今こそ改正し、新しい理念の下で再スタートを切る必要がある」と意義を強調した。自民党の舛添要一氏への答弁。(以下略)

9月21日、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委などを相手に、起立や斉唱義務がないことの確認を求めた訴訟の判決を下した東京地裁の難波孝一裁判長は、日の丸や君が代が皇国思想の精神的支柱として用いられてきた経緯に言及。式典での掲揚や斉唱に反対する主義・主張を持つ人の思想・良心の自由も憲法上保護に値する権利だと述べました。

東京地裁の難波孝一裁判長が言及した、日の丸や君が代が皇国思想の精神的支柱として用いられてきた経緯を見ると、戦前の教科書には「日本人のいるところには、かならず日の丸の旗があります。(中略)敵軍を追いはらって、せんりょうしたところに、まっ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗です。兵士たちは、この旗の下に集まって、声をかぎりに、「ばんざい。」をさけびます。日の丸の旗は、日本人のたましいと、はなれることができない旗です。」と書かれていました。

この歴史を教えることは、教育基本法に決められた教育の目的「平和的な国家及び社会の形成者」を養うことと合致した教育です。

安倍首相こそ幹事長時代に、首相になってから封印せざるをえなくなっている、従来の教科書を自虐史観と批判してそれにかわるものとして作った、扶桑社の教科書を各地の教育委員会が採択するよう、自民党の各支部に“激”を飛ばしています。これは明らかに教育現場に対して特定の思想を持ち込もうとする政治闘争です。

教育基本法改定案で養うとした「公共の精神」は、人と人との対等平等の関係の社会の公共を言うのではなく、縦関係の国家と個人という対等平等ではない関係における「公共の精神」を指します。だから教育に国家の介入を否定した現行教育基本法を変えて、国家の介入が出来るように条文を変更しました。

教育基本法第10条(教育行政)は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものである」と定めています。それを教育基本法改定案第16条(教育行政)は「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、…」と書き換えています。

他の法律とは東京都教育委員会が発した通達の類も含まれ、裁判所から「教育の自主性を侵害し、一方的な理論や観念を生徒に教え込むに等しい」と指摘され、国旗掲揚の方法まで指示するなどは「必要で合理的な大綱的な基準を逸脱した」として、校長への「不当な支配」に当たると指弾されたものです。

このようなものが「新しい理念」ではないことは明らかです。戦後60年たった現在から、戦前の「国家主義教育」へ逆戻りをしようとするものです。

選挙結果を「米軍再編へのゴーサイン」と受け止めるな/山崎孝

2006-11-22 | ご投稿
先に沖縄県知事選のことは触れましたが、再度、沖縄県知事選の結果を受けた沖縄の新聞の社説を紹介する形で触れます。

【沖縄タイムズ】

(前略)政府の言いなり避けよ 今回の選挙では、米軍普天間飛行場の移設問題がもう一つの大きな争点となった。

仲井真氏は、同飛行場の抱える危険性を除去するため稲嶺知事が示した暫定へリポート案を「構想としてあり得る」と評価。「現行の政府案(V字形滑走路)のままでは賛成できない」と、あらためて反対を表明した。

暫定ヘリポートなら三年以内の完成が見込める。この期間内に普天間の閉鎖状態を求めた上で、代替施設や具体的な移設条件などを政府や名護市と調整するという。条件や修正次第では、政府案に賛成するとの含みがある。

政府は「仲井真氏が普天間代替施設の建設に協力的に取り組んでくれるだろう」(防衛庁幹部)と期待しているようだ。

しかし、仲井真氏にとっても政府の言いなりでは沖縄に不利な条件を背負わされるとの危機感を持っているはずだ。

知事選で、与党が勝利したからといってもすぐに基地建設が進むわけではない。仲井真氏が稲嶺知事の暫定へリポート案を継承すれば、政府も厳しい交渉は避けられまい。

説明責任が求められる 選挙期間中、仲井真陣営は普天間移設問題で「政府寄り」と見られることを避けてきたといわれる。

仲井真氏は「現行案には賛成できない」としながらも、どんな案なら認められるのか、まだ説明していない。

名護市が求める滑走路短縮(千五百メートル)が条件かどうかも明言せず、「県内移設」を容認する条件や修正案は依然不鮮明だ。

「基地問題は稲嶺知事と同じく丁寧に対応する」と言い切ったものの、「軍民共用」や「十五年使用期限」を掲げて政府と渡り合った稲嶺知事と比べ、歯切れが悪いと言わざるを得ない。

政府や県、地元でつくる協議会で、移設受け入れも視野に入れた条件交渉が年内にも始まる。

日米両政府の意図に翻弄されず、政府と真正面から渡り合い、県民への説明責任もしっかり果たしてほしい。(以下略)

【琉球新報】

(前略)柔軟路線を選択 沖縄は復帰後も、日米安全保障体制の下で東アジアなどをにらむ軍事拠点とされ、過重な基地負担を強いられてきた。広大で精強な部隊が駐留する軍地基地の重圧は県民生活の向上を阻み、いびつな地域空間や都市空間を形成し、思うように自立経済構築できない状況を余儀なくされている。

仲井真氏には、日米政府に県民が翻弄され続ける構図に終止符を打ってもらいたい。外交・防衛は政府の専権事項だといっても、県民の頭越しに 姑息な沖縄対策を画策すれば反発を強め、解決が遅れるだけである。それは普天間飛行場の移設問題を見ても明らかであろう。

政府との太いパイプは、県民の意思を十分に伝え、難題の解決につながる抜本策を引き出す形で生かすべきだ。パイプの使い方を誤れば、脅しともとれる基地と振興策のリンク論の再浮上させることになる。パイプの流れは、やがて政府からの“一方通行”になり、ごり押しが強まってくる可能性も否定できない。

今回の知事選は、米軍再編や安倍首相の政権運営にも影響するとして全国的な注目を浴びた。選挙結果を受け、政府内に安堵の声が広がったことからもうかがえる。だが政府が、選挙結果を「米軍再編へのゴーサイン」と受け止めたとしたら、県民の真意を見誤ることになる。

県民が選択した柔軟路線はあくまで政府との対話促進を強く望んだものであり、振興策と引き換えに基地の重圧を我慢してもよい―ということではないはずだ。県民の声に耳を傾ける努力を、政府は怠ってはならない。(以下略)

限度を決めた集団的自衛権行使もやがて拡大する/山崎孝

2006-11-21 | ご投稿
11月21日の朝日新聞報道によりますと、20日、塩崎官房長官は記者会見で、日本のミサイル防衛(MD)システムを他国の防衛には使わず、集団的自衛権の問題は生じないとした2003年の福田官房長官談話について「(政府内の議論の)結果がどうなるかによって談話の見直しかどうかは決まる」と述べました。安倍首相が、憲法で行使を禁じられている集団的自衛権に関する研究を表明するなか、談話を見直す可能性を示唆しました。

福田談話は、政府がMDシステム導入を決定した2003年12月19日に発表された。MDが専守防衛を目的としていることを強調。「第三国の防衛のために用いられることはないことから、集団的自衛権の問題は生じません」などと説明していました。

自民党政府は自衛隊を発足させたときは、日本を守るための専守防衛の組織であることを国民に説明してきました。しかし、現在、航空自衛隊はイラクで戦争をする米軍兵士や物資を輸送するまでに活動を拡大しています。

そして最近は、久間章生防衛庁長官は、集団的自衛権と個別的自衛権の間に「グレーゾーンは本当にないのか」などと発言し、自衛隊機が他国の空中給油機から空中給油を受けているケースを示し、「相手は空中給油機を狙ってきた。日本の自衛隊機は、その敵機を撃ち落としてはいけないのか。実行はできるんじゃないのか」と述べる。

安倍首相は、公海上で米軍艦が攻撃された場合や、イラクで英豪軍が攻撃された場合を挙げ、「(集団的自衛権の行使を可能にするよう)しっかりと研究していくことが、われわれの責任だ」と国会答弁。さらに「研究を行った結果、それはわが国が禁止する集団的自衛権の行使ではないという解釈を政府として出すことも十分あり得る」とまで述べるまでになっています。

政府がこのように解釈改憲を企図する中で、毎日新聞の報道では、【民主党 集団的自衛権の一部容認 国連の軍事行動にも参加】とあります。以下、記事の内容です。

民主党が来夏の参院選へ向け策定する基本政策の安全保障分野の原案が11月17日、明らかになった。自衛権の行使については「個別的、集団的といった概念上の議論に拘泥しない」として、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈を見直す方針を明記。周辺事態に共同行動をとる米軍艦船の護衛など、これまで集団的自衛権の行使に当たるとされてきたケースの一部容認を想定している。小沢一郎代表の持論を正式な党政策に確定するもので、政府・与党の見直し論議にも影響しそうだ。

現行の政府解釈では、同盟国への攻撃を自国への攻撃とみなして実力阻止する集団的自衛権は「有しているが行使できない」とされている。これに対し民主党原案では自国を守る個別的自衛権との区別をやめる一方、自衛権行使の条件として「専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って」と規定。日本有事・周辺事態以外への拡大には歯止めをかけた。(以下略)

民主党は国連軍への参加も謳っていますが、レバノン問題や北朝鮮に関する国連安保理決議は、武力行動を除外しています。今までも国連軍と言う形で武力制裁はしていません。国連は武力を伴う国連活動を日本に要求はしていません。

報道では民主党は「日本有事・周辺事態以外への拡大には歯止めかけた」とされていますが、日本有事・周辺事態が、米国の他国への内政干渉により、引き起こされる可能性があります。

自民党の手法は、最初は低いハードルを設定して国民を安心させ、国民の軍事感覚が鈍ってきたら、次に高いハードル超えるというのが手法です。民主党は客観的にはこの手法に手を貸す事に繋がるでしょう。限度を決めた集団的自衛権行使も、やがて拡大する方向に向かうことは必定です。