いせ九条の会

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改めて安倍首相の政策の矛盾を考える/山崎孝

2007-01-22 | ご投稿
【核放棄協議入りで合意か 米朝、ベルリン会談で】(1月21日の中日新聞ニュース)

【ソウル21日共同】韓国の聯合ニュースは21日、複数の外交消息筋の話として、ヒル米国務次官補と北朝鮮の金桂冠外務次官がベルリンでの会談で、再開後の6カ国協議の場で核放棄への「初期段階の措置」に関する話し合いに入ることで合意したと報じた。

同ニュースは、北朝鮮が金融制裁解除を初期段階の措置の協議入りの前提とする立場を変えたとみられると伝えた。

初期段階の措置は、昨年12月の6カ国協議で米国が提案。北朝鮮が核施設凍結や国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れれば経済支援などを行うなどとしている。北朝鮮は当時の協議で、米国による金融制裁が解除されない限り、話し合いには応じないと主張し交渉入りを拒否した。

【6カ国再開時期を調整 ヒル次官補が北京入り】(1月21日の中日新聞ニュース)

【北京21日共同】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補が21日午後(日本時間同)、東京から空路北京入りした。ヒル次官補は同日夜、協議議長役の中国の武大偉外務次官と夕食を交え会談する。

北京国際空港で次官補は、6カ国協議を「中国が都合の良い、できるだけ早い時期に行いたい」と述べ、ベルリンで3日間行った北朝鮮首席代表、金桂冠外務次官との協議を踏まえ、早期再開を目指し中国側と日程調整する意向を示した。

ヒル次官補は、武次官のほか、米国担当の何亜非外務次官補とも会談するとしたが、中国が行った人工衛星破壊実験については「6カ国協議の再開時期の調整に焦点を置いている」とし、取り上げないことを示唆した。(以上)

このニュースでみると、米国も北朝鮮も対話を粘り強く行い、協議の前進の糸口が掴めたのかも知れません。両国の姿勢からは腹を据えて問題の解決をしようとする意思があることが窺えます。軍事的な対決では問題は解決しないことを理解していることが窺えます。東アジアの平和と安定を願う私たちにとって朗報です。そして、6カ国協議が成功すれば、北朝鮮の脅威に対応という日本の軍備の口実や改憲の口実は大きく説得力を失うと考えます。

安倍晋三氏が首相になってからの日本のアジア外交を、改めて振り返って見ます。

2006年10月、安倍首相は8日午後、中国を公式訪問して胡錦濤国家主席会談し、国際的課題も含め日中の共通利益を追求する「戦略的互恵」の構築を提案し、胡主席も賛同しました。

2007年1月14日の「日中韓報道声明」は、3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化する。政治・外交課題の調整のため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した、となっています。

1月14日の東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議は、東アジア共同体の創設に向けた取り組みの強化が確認されました。

そして、日本は東アジアの平和と安定をはかるための6者協議に参加していています。

これらの日本のアジア外交は、憲法前文の諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持するという理念に適っていることに間違いありません。

しかし、安倍首相は1月17日、自民党大会で改めて改憲への強い意欲を示しました。改憲の根底にある考え方は、アジアのある国に不信を抱き日本の周辺事態を想定。その紛争に介入する米国を軍事支援するため、日米同盟で集団的自衛権行使を可能にして、軍事同盟を一段と強化することにあります。

安倍氏が首相になってからのアジア外交と、改憲に一段と意欲を示す姿勢は整合性や統一性がなく、二つの政策の方向は対立しています。論理の整合性を保ち、アジア諸国の多国間による平和と安定を図り、相互扶助の関係を強化する動向に対応し、信頼されるアジア外交を展開するには、現行憲法がふさわしいと思います。