西武鉄道 記入式特急券

しばらくの間、西武鉄道の完全常備式の硬券特急券を御紹介いたしましたので、列車名記入式の特急券を御紹介致しましょう。


   

1981(昭和56)年10月に西武観光大手町営業所で発行された、西武秩父駅から所沢駅までの「ちちぶ」26号特急券です。黄色せいぶてつどう自社地紋のA型大人・小児用記入式券となっています。
同社特急券は外部委託の旅行会社などには完全常備券ではなく、列車名記入式の様式が設備されていました。これは特急停車駅のように大口需要が無いために料金に連動する区間については印刷されておりましたが、列車名のみ記入する方法が採られていました。


   

裏面です。完全常備式券と注意書きの文言は同一ですが、発行箇所名も記入式となっています。

硬券が使用されていた時代、同社では特急券の発売は特急停車駅となっており、特急が停車しない駅であっても定期券を発売する駅では特急券の発売が行われていました。しかし、硬券の特急券は設備されておらず、特別補充券(出札補充券)での発売されていたのが殆どで、特急の停車しない駅で発行された硬券の特急券は見かけませんでした。


その他、同社では特急停車駅であっても、列車名を記入式として発売する場合がありました。


   

1986(昭和61)年11月に所沢駅で発行された、列車名を記入式として発売された「むさし」13号特急券です。黄色せいぶてつどう自社地紋のA型券で、旅行会社用と同様に列車名が記入式になっています。

この券は、所沢駅のホームにある特急券発売所で発行されたもので、改札を入る前に特急券を購入していない旅客に発売されたものです。
発車間際に発売された場合、座席指定の照会をする時間がないため、座席の指定は行わず、空白のままで発売されていました。ただし、定員制の列車であるため、列車名の記載だけはおこなわれていました。


   

裏面です。今まで御紹介して参りました券とは記載されている内容が異なり、「この列車は座席指定列車です。発車間際で座席の指定のない場合は、空いている席におつきください。」と、座席を指定しないで発売する前提で発券されています。


ホームで発車間際に発売された場合、上記の券とはまた違う方法で発売されることもありました。


   

1991(平成3)年1月に飯能駅の特急改札口で発売された特急券です。黄色せいぶてつどう自社地紋のA型小児専用券で、列車名記入式券になります。
この券の場合、ナンバーリングを使用して座席の指定をしていますが、列車名の記載がありません。同社では特急列車は普通列車とはホームを分けて専用ホームとしている駅が多く、そのような駅の場合、ホームには特急券発売窓口がなく、ホームの入口に専用改札と窓口がありました。
このような駅の場合では列車毎に改札を行いますので、列車名の指定を省略し、座席の指定のみを行っていました。そのため、列車名の記載がありません。
以前、列車名の記載が無い西武の特急券を「おばけ特急券」と呼んでいた時代があったと記憶しています。


その後、同社の特急券もやっと機械発券されるようになり、硬券の特急券は姿を消しましたが、特別な時限定で硬券特急券が発売されたことがありました。


   

1991(平成3)年4月に所沢駅で発行された特急券です。黄色せいぶてつどう自社地紋のA型大人・小児用券で、特急券としては全国的に珍しい金額式券となっています。この券は発券機が故障した時に登場する非常用の券で、運が良くなければ入手できないレアな券です。


   

裏面です。「この券は発券機故障のため発行するもので号車・席番の指定はしておりません。空いている席にお座り下さい。」とあります。しかしながら、表面には予めシステムから抜いた座席を記載できるようにしたのでしょうか、座席指定欄があります。

この様式は、現在でも設備されているのか、不明です。

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