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マーケティング研究 他社事例 その243 「自己治癒するコンクリート1」 ~休眠バクテリアを活性化~

2018-10-15 09:52:45 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 その243 「自己治癒するコンクリート1」 ~休眠バクテリアを活性化~


インフラの長寿命化や維持管理の合理化といった視点で、近年、注目度が高まっているのが自己治癒(修復)能力を持つ建材です。

安倍政権が2013年に掲げた「日本再興戦略」には「自己修復材料などのインフラ長寿命化に貢献する新材料の研究開発を推進する」と明記されたのを皆さんご存知でしょうか?

自己修復材料などの世界市場が2030年に30兆円に達するとのロードマップも掲げています。

自己治癒能力とは何のことを言っているのでしょうか?

それは材料自身に含まれている成分や事前に仕込んでおいた成分などをもとにして、ひび割れなどの損傷を修復する性能を指しています。

既に、高分子材料や金属材料など様々な領域で研究や開発が進められているのです。

こうした材料とともに、主要な建材であるコンクリートの自己治癒能力への関心が高まっています。

強度に優れ、加工もしやすいコンクリートですが、ひび割れしやすいという弱点を持っているからです。

この分野で最も進んでいるのがオランダのデルフト工科大学です。

同大学はヘンドリック・ヨンカース准教授が率いる研究グループはバクテリアを利用して、コンクリートのひび割れを自動的に修復する技術を開発したのでした。

ヨンカース氏は2015年、欧州特許庁の欧州発明家賞にノミネートされたのです。

ヨンカース氏が着目したのがバシラス属のバクテリアでした。

この微生物は乾燥すると胞子状の殻をまとい、休眠状態で200年も生存する事が出来ると言われています。

pH(ペーハー)が13程度と強いアルカリ性のコンクリートの中でも死滅する事はありません。

乾燥させたバクテリアを栄養分である乳酸カルシウムと一緒に圧縮・固化します。

さらに生分解性プラスチックの殻で覆って、直径が数ミリのカプセル状にするのです。

このカプセルを生コンクリートに所定量、配合する事で修復を実現するのです。

具体的には、生分解性プラスチックカプセルの殻があるおかげで、コンクリートを練り混ぜる工程でもバクテリアが摩擦や水から守られ、不活性化状態のままコンクリートの中に取り込まれます。

生分解性プラスチックの殻は、コンクリートが硬化した後、徐々にもろくなってきます。

ひび割れが生じると、割れ目から浸透した水と酸素が休眠していたバクテリアを活性化し、バクテリアは栄養分である乳酸カルシウムを分解し、二酸化炭素を排出します。

結果として、セメント原料となる石灰石の主成分である炭酸カルシウムが生成され、ひび割れを埋める物質となるのです。

炭酸カルシウムが生成される過程で発生する水は、コンクリートの中に残っていたセメント成分と反応して水酸化カルシウムとなり、これが二酸化炭素と反応してさらに炭酸カルシウムとなり、ひび割れを加速度的に修復していくのです。

一連の化学反応が、コンクリートが自己治癒するメカニズムとなりますが、科学の知識の無い私にはまったく理解が進みません。

ただ、なんとなくすごいって事は理解できます。

(続く)


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