滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【0604/4:教科書問題】4月10日、「作る会」の教科書批判のビラを市民たちが河瀬中で配布

2006-05-21 02:19:56 | Weblog
「新しい歴史教科者を作る会」が編纂した扶桑社発行の中学校歴史教科書に反対する市民グループ「《つくる会》教科書を中学生の手に渡したくない市民・保護者の会」が、県教委の採択決定により今年度からこの教科書が使用されることになっている県立河瀬中学校の校門前で、入学式が行われた4月10日、同教科書の問題点を訴えるビラを配布しました。

同会は、扶桑社発行の歴史教科書は「日本のアジア侵略を正当化している」、「戦前の植民地支配による被害の記述が少ない」などと批判しており、同会のメンバー10人が、新入生や保護者にビラ約1000枚を手渡しました。

(4月10日付け、京都などが報道)

《解説》

今年度から公立中学校で使用される教科書の採択は昨年8月に県下の6つの教科書採択協議会により行われましたが、県立中高一貫校の教科書採択は県教育委員会により行われました。その結果、3校ある県立中高一貫校の中で河瀬中学校についてだけ、郷土の歴史を学ぶことを学校の特色にしている同中学校にふさわしいものとして、「新しい歴史教科書を作る会」が編纂した歴史教科書が採択されました。この採択の後、この教科書の採択を取りやめるよう求める様々な市民の声が県教委に寄せられていました。

また、採択内容を決定するために開催された県教育委員会の議事録に発言者の氏名が記されていないために議事録の内容が理解しにくいこと、あるいは発言内容など議事の内容が記録されている録音テープがすでに消去されていることに関して、大津市と草津市の市民から県情報公開条例に基づく不服申し立てが行われており、これらの申し立ては受理されています。

0604/3:大津市、猿害問題】ニホンザルの射殺、年度内実施を延期、

2006-05-21 01:33:22 | Weblog
大津市内の三井寺寺から坂本にかけて出没して農作物や人家に被害をもたらしているニホンザルの群れ(大津E群)に対する大津市の方針が揺れています。大津市はこの群れの一部(3割=約13匹)を射殺により駆除する許可を県から得ましたが、その後、目片市長が捕獲して檻で飼育する方針を打ち出したために、同市猿害対策室が2005年度内に着手することを予定していた射殺による駆除は延期されています(ニュース番号0603/15を参照)。

《これまでの経過》

「大津E群」と呼ばれている50匹あまりからなるニホンザルの群れが大津市内の三井寺から坂本にかけての市街地に出没して、農作物を荒らしたり、民家の屋根瓦を壊したり屋内に侵入するなどしており、人身に被害を及ぼすことも懸念されています。このため、地元の住民の多くが何らかの方法で猿による被害が軽減されることを強く求めており、大津市は群れの一部を射殺により駆除する許可を県に申請しました。その結果、3月14日に許可が下りましたが、目片市長は群れの3割を射殺により駆除する方針を残しつつ、残りを市が保有する比叡山中の公園内に建設する檻で飼育する方針を表明し、6月に補正予算で建設費を計上する意向を示しています。これに対し、市猿害対策室は「群れの一部を射殺により駆除する方針は変わっていないが、猿の誘導が困難であるため作戦を立て直す。4月中には実施したい」としています。

一方、野生動物との共生を主張し、当初から射殺による駆除に強く反対している日本熊森協会滋賀県支部は、3月27日から、射殺させないために、住民に被害を与えないよう猿を追い払うパトロール活動を開始しています。同支部代表の村上美和子さんは「猿たちが殺されないよう、檻が完成するまで活動を続けたい」としており、パトロール活動の参加者を募っています。追い払いのボランティアは午前9時と午後3時、市役所のロビーに集合することになっています。問い合わせは村上さん(携帯:090-2011-5530)まで。

(4月1日付け、毎日が報道)

【0604/2:大津市役所建設問題】4月2日、市庁舎の将来像を考えるシンポ、市長提案に反対意見も

2006-05-19 02:56:17 | Weblog

目片信・大津市長が耐震性も問題を理由に近い将来、市庁舎を同市浜大津に移転させたいとしていることを巡り、「なぜ、今移転なのか」と題された市庁舎の将来像を議論するシンポジウムが、4月2日午後、浜大津明日都で開かれ、およそ100人の市民が集まりました。

武村正義元知事の基調講演の後、このシンポジウムにパネリストとして出席した、まちづくりに取り組む住民団体のメンバーや商業者ら4人が持論を述べました。

大津パルコ店長の北村良一さんは建設中の滋賀県警本部などの施設を例に挙げ「貴重な観光資源である湖畔が役所ばかりなのはいかがなものか、琵琶湖という最大の観光資源を生かしきれていない」と指摘しました。「比叡ゆば八本舗」社長の八木幸子さんは「古いものと新しいものを融合させる発想で新庁舎を考えてみては」と提案しました。すでに同市皇子山に景観に配慮した低層の庁舎を建設する案を市長に提示している「市庁舎の移転先を考える市民の会」の服部正章さんは「旧志賀町の人々も納得のできる、交通の便にも優れており、大津京ゆかりの地である皇子山公園への移転がふさわしい」と主張しました。また、このシンポジウムの企画者の一人である「大津の町家を考える会」の安楽好正さんは「現庁舎は著名な建築家による文化財的な価値のある建物であり、耐用年数もあと十年は残されており、もったいない。耐震処置を施して使えないか」と述べ、パネリストと4人はいずれも目片市長の浜大津移転案に批判的な主張を展開しました。

このシンポジウムには目片市長も出席を要請されていましたが、市長は3月10日の定例記者会見で「市の案をよく理解せずに反対している人ばかりで、賛成の人が一人もパネリストとして参加していないような集まりはいかがなものか」として出席しませんでした。

なお、このシンポジウムよりも後の4月6日に、市職員で構成された「庁舎整備検討委員会」は、浜大津の県誘致が移転先として最も望ましいとの報告を行いました。

(4月2日付け朝日、毎日など、4月8日づけ滋賀報知も報道)

《解説》
大津市が昨年実施した現庁舎の耐震性調査では、建物が老朽化しており大地震に耐えられないことが懸念されるうえ、真下に活断層が通っていることから、「移転が望ましいと」とされました。市の試算によれば、改修案ならば約150億~170億円、移転新築案であれば約210億円とされており、これを受けて、目片信市長は1月10日の定例記者会見において、将来新市庁舎を大津市浜大津港近くの県有地に建設したいという意向を明らかにしました。しかし大津市民のあいだからは、財政危機と言われるなかで市長によるトップダウン方式によりこのような多額の費用が要する計画が主導されてよいのか、市長の行政手法を問題にする声があがり、市庁舎問題に関心の深い市民や関係者により、このたびのシンポジウムが企画されました。

当日、会場の参加者からも、行政主導の大津市のやり方に対する批判の声はありましたが、果たして財政危機の今、ほんとうに新市庁舎の建設は必要なのか、優先されるべきなのか、耐震性診断の結果、改修により補強を行う場合でも非常に多額の費用が必要とされているが、ほんとうなのか(注参照)、たとえ耐震性に問題があるとしても、その場合は小中学校など教育施設の耐震化など、市民の安全をより優先させるべきではないのか、市長によるトップダウン式の市政のあり方は問題ではないのか、新市庁舎の建設が市街地の活性化にほんとうに結びつくのか、など新庁舎建設の是非に関する根本的問題を掘り下げた議論はほとんど行われませんでした。

注:地元の住民団体「豊郷小学校の歴史と文化を守る会」は、耐震性診断による改修・補強のための工費は過大にみ見積もられていたいとして、2月22日に監査請求を行っています(ニュース番号0602/7を参照)。


【0604/1:豊郷小学校問題】旧校舎解体で大野町長が再び不起訴、住民団体が強く反発

2006-05-18 02:40:06 | Weblog
2002年12月に大野和三郎・豊郷町長が同町立豊郷小学校の旧校舎の解体を強行しようとした問題で(注参照)、3月31日、大津地検は大野町長を再び不起訴処分としました。この不起訴処分に関して、平尾雅世・次席検事は、町長を建造物損壊罪に問うことは「一般国民の感覚としては理解できるが、刑事法に踏み込むのは難しい」と述べました。旧校舎の保存するよう求めて運動を行ってきた市民グループ「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」(代表:本田清春さん)は、改めて大津検察審査会に申し立てをするかを検討したいとしています。

大津地裁により解体差し止めの仮処分が決定された直後の2002年12月20日に仮設校舎への引越し作業が行われたために、住民側が告訴・告発を行い、県警は書類送検しましたが、大津地検は2004年6月に不起訴処分としました。このため住民側はこの処分を不服として大津検察審査会に審査の申し立てを行いましたが、同審査会は2005年7月に不起訴を不当とする議決していました。

大津地検は、
・仮処分が差し押さえを意味するならば刑事法に問えるが、建物に対する直接の拘束力はなく、差し押さえに該当しない、
・事前に町議会が解体予算を議決しており、町教育委員会が校舎の解体を承認しており、町長の行為は両者の意思に反していない、
などと判断しました。

「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」のメンバーの一人、高橋直子さんは「児童の目の前で校舎が壊された。起訴されないとなると、子どもたちに『やったもん勝ち』という意識を与える」と批判しています。同会の本田清春代表は「強い憤りと悲しみを感じる。今後も町長の行為を厳しく追及していく」とコメントを発表しました。

大野町長は町役場で会見を行い、「適切な決定をいただき、心から敬意を表したい」と安堵の表情を見せ、「再び不起訴となったことを一つの節目として、公僕として今後はより謙虚な行政運営に努めたい」と述べました。

(注:大津地裁がヴォーリスの設計で知られる豊郷小学校の校舎解体禁止の仮処分を決定した直後の2002年12月20日に、校舎解体・新築を実施しようとする大野町長の指示で、業者が窓ガラスを割って校内に侵入し、解体工事に着手しました。作業員が住民と衝突するシーンがテレビで全国に報道されました。この問題で、国松知事の指導力を期待する声がありましたが、同知事は「2000年4月に施行された国の地方分権一括法により、県と市町村は対等な関係になり、県は市町村を上から指導する立場にない」として静観したままでした。しかし、結局、文部科学省の仲介で校舎を保存することが決定されました)。

(4月1日、毎日などが報道)

【0603/18:栗東、産廃】RDエンジニアリング社長が栗東市による立ち入り調査の承認を明言せず

2006-05-07 00:32:16 | Weblog
栗東市小野にあるRDエンジニアリング社の産廃処分場周辺から有害物質が検出されていること、昨年12月に許可品目ではないドラム缶や一斗缶など約150個が発見された問題などに関して、同社の佐野正社長が3月30日、同市の「RDエンジニアリング産業廃棄物最終処分場環境調査委員会」の会合に出席しましが、昨年10月に高濃度の総水銀が検出されたために同市が立ち入り調査を通告している問題に関して、「持ち帰って検討する」と答えるにとどまり明言することを避けました。また、同社長は「(ドラム缶などの)不法投棄を指示したこともない、報告も受けていない」として会社ぐるみの不法投棄を否定しました(ニュース番号0603/9を参照)。

栗東市は、昨年10月の調査で処分場近くの市道脇の地下水から環境基準を上回る高濃度の総水銀が検出されたために、処分場から流れ出た可能性が高いとして、同社に調査と結果報告を求めていましたが、これに対してRDエンジニアリング社は「市による地下水調査の方法が不明確」、「土壌汚染は自然に由来したもの」などとして報告を行いませんでした。このため、市は条例に基づき2月に、立ち入り調査の通告を行っていましたが、同社は拒否し、委員会の学識者の意見を確認することを希望していました。

当日の委員会では、有識者の委員が「これほど高濃度の総水銀が自然に出るのはおかしい」などの見解を述べ、土壌や地下水の専門委員が「水銀が処分場に由来したものかどうかをはっきりさせるために調査に協力を」と求めましたが、佐野社長は「滋賀県の指導に基づいて処分場の是正工事をしてきた。今後も後始末をしっかりやっていきたい」と述べたものの、市の立ち入り調査に関しては「今回の見解を踏まえて、持ち帰って検討したい」と答えるにとどまりました。

また、同委員会の席上で、佐野社長はドラム缶などが埋められていた問題に関して「指示したおぼえも、(社員から)埋めたとの報告を受けたこともない。知らないうちにやられたこと。私も被害者のうちに入る」などと述べ、会社ぐるみの不法投棄ではないと主張しました。

(写真は昨年12月に掘り出されたドラム缶、写真をクリックすると大きくなります)

(3月31日付け、京都、毎日、朝日などの報道から)