滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

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【0504/5:県下水処理場迷惑料】4月10日、違法とされた迷惑料の返還請求を求め市民が知事を提訴

2006-05-24 03:18:27 | Weblog
県の下水処理施設「湖南中部浄化センター」(草津市、矢橋帰帆島)の周辺自治会に対して県と同処理施設の利用自治体が「環境対策負担金」(協力金)という名目で「めいわく料」を支払っていた問題で、市民オンブズ淡海の田中健雄代表ら4人が4月10日、この「めいわく料」の支払いが大津地裁と大阪高裁で違法と認定されたにもかかわらず返還を求めようとしないのは怠慢であるとして、1999~2003年の間ニに県が支払った約3500万円の返還を地元自治会とその協議組織である「矢橋帰帆島対策協議会」に請求することなどを求める訴訟を大津地裁に起こしました。訴状によれば知事、県の担当部局の課長、地元の4自治会、「矢橋帰帆島対策協議会」が連帯して返還の責任を負うよう求めています。

田中代表らは「支払われた迷惑料は法的に違法とされたものであるため不当利得であり、返還の義務がある。めいわく料の支払いを受けた地元の四つの自治会の中には、受け取った額の大半を使用せずに預金している自治会もあり、県から返還の請求があれば応じるとしている自治会もあるように聞いている。大阪市役所の職員厚遇問題では、市長は司法の判断を求めることなく、関係者との協議を経て関係団体に返還を求め、関係団体もそれに応じている。それにくらべれば、司法により違法であると明確に判断が下されたにもかかわらず、まったく公金の返還を求めようとしない知事の姿勢は怠慢以外の何物でもない、国松知事は首長として失格」としています。

《これまでの経過》
湖南中部浄化センターは1983年から操業が開始されましたが、県と同下水処理施設を利用している自治体は、1973年10月に県、草津市、「矢橋帰帆島対策協議会」の前身である「浄化センター設置期成同盟会」の間で結ばれた覚書に基づき、1974年~2003年の間に計4億3000万円(県の負担はこのうちの4割)を支払っており、また操業開始の1983年から2001年の間に、公園などの同センターの付属施設の維持管理業務委託費として8億1600万円を支払っていました。

田中健雄代表らは、2002年6月、これらの支払いは不適切な公金の支出にあたるとして住民監査請求を行いましたが、県監査委員は「税金の使途に対して県民の厳しい目が注がれており、めいわく料のあり方を見直すべきである」とする意見を付けたものの、「必要な経費であり、知事の政策判断としてやむを得ない」として、請求を棄却しました。このため同代表らは2007月に大津地裁に提訴し、その結果、国松知事が就任した1999から2001年の間に県が支払っためいわく料2400万円は違法であり、知事に賠償責任があるとする、原告側の主張を全面的に認めた判決が下されました。この判決を不服として知事が控訴したために大阪高裁で第二審が行われ、昨年7月に「少なくとも1999年以降の支出は必要性を欠き、裁量の範囲を逸脱した支出命令は違法」であるが知事に賠償責任はないとする判決が下されました。

この高裁判決に対して田中代表らが上告を行わなかったために、同判決は昨年7月末に確定しました。その後、この判決確定を根拠に田中代表らは、裁判において二度にわたり違法と認定されためいわく料に関して、知事が地元自治会と矢橋帰帆島対策協議会に返還請求を行うよう強く求めていましたが、昨年10月末、知事は2006年度以降の支払いを取りやめることを決定したものの、過去の支出については「適正な手続きを経ており、返還を求めることは難しい。一度支払われた公金の返還を求めることは行政行為の安定性を妨げることになる」として、返還を求めないとする姿勢を表明しました。

このため田中代表らは2月に、返還を求めようとしないのは怠慢であり、関係者が連帯して、支払われためいわく料の賠償責任を負うことを求め、住民監査請求を行いましたが、3月半ばに「支出行為から1年の請求期間が過ぎており、請求は適法でない」として請求は却下されていました。この却下を受けて、このたびの提訴となったものです。

(4月10日付けの各紙も報道)