滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

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【0604/2:大津市役所建設問題】4月2日、市庁舎の将来像を考えるシンポ、市長提案に反対意見も

2006-05-19 02:56:17 | Weblog

目片信・大津市長が耐震性も問題を理由に近い将来、市庁舎を同市浜大津に移転させたいとしていることを巡り、「なぜ、今移転なのか」と題された市庁舎の将来像を議論するシンポジウムが、4月2日午後、浜大津明日都で開かれ、およそ100人の市民が集まりました。

武村正義元知事の基調講演の後、このシンポジウムにパネリストとして出席した、まちづくりに取り組む住民団体のメンバーや商業者ら4人が持論を述べました。

大津パルコ店長の北村良一さんは建設中の滋賀県警本部などの施設を例に挙げ「貴重な観光資源である湖畔が役所ばかりなのはいかがなものか、琵琶湖という最大の観光資源を生かしきれていない」と指摘しました。「比叡ゆば八本舗」社長の八木幸子さんは「古いものと新しいものを融合させる発想で新庁舎を考えてみては」と提案しました。すでに同市皇子山に景観に配慮した低層の庁舎を建設する案を市長に提示している「市庁舎の移転先を考える市民の会」の服部正章さんは「旧志賀町の人々も納得のできる、交通の便にも優れており、大津京ゆかりの地である皇子山公園への移転がふさわしい」と主張しました。また、このシンポジウムの企画者の一人である「大津の町家を考える会」の安楽好正さんは「現庁舎は著名な建築家による文化財的な価値のある建物であり、耐用年数もあと十年は残されており、もったいない。耐震処置を施して使えないか」と述べ、パネリストと4人はいずれも目片市長の浜大津移転案に批判的な主張を展開しました。

このシンポジウムには目片市長も出席を要請されていましたが、市長は3月10日の定例記者会見で「市の案をよく理解せずに反対している人ばかりで、賛成の人が一人もパネリストとして参加していないような集まりはいかがなものか」として出席しませんでした。

なお、このシンポジウムよりも後の4月6日に、市職員で構成された「庁舎整備検討委員会」は、浜大津の県誘致が移転先として最も望ましいとの報告を行いました。

(4月2日付け朝日、毎日など、4月8日づけ滋賀報知も報道)

《解説》
大津市が昨年実施した現庁舎の耐震性調査では、建物が老朽化しており大地震に耐えられないことが懸念されるうえ、真下に活断層が通っていることから、「移転が望ましいと」とされました。市の試算によれば、改修案ならば約150億~170億円、移転新築案であれば約210億円とされており、これを受けて、目片信市長は1月10日の定例記者会見において、将来新市庁舎を大津市浜大津港近くの県有地に建設したいという意向を明らかにしました。しかし大津市民のあいだからは、財政危機と言われるなかで市長によるトップダウン方式によりこのような多額の費用が要する計画が主導されてよいのか、市長の行政手法を問題にする声があがり、市庁舎問題に関心の深い市民や関係者により、このたびのシンポジウムが企画されました。

当日、会場の参加者からも、行政主導の大津市のやり方に対する批判の声はありましたが、果たして財政危機の今、ほんとうに新市庁舎の建設は必要なのか、優先されるべきなのか、耐震性診断の結果、改修により補強を行う場合でも非常に多額の費用が必要とされているが、ほんとうなのか(注参照)、たとえ耐震性に問題があるとしても、その場合は小中学校など教育施設の耐震化など、市民の安全をより優先させるべきではないのか、市長によるトップダウン式の市政のあり方は問題ではないのか、新市庁舎の建設が市街地の活性化にほんとうに結びつくのか、など新庁舎建設の是非に関する根本的問題を掘り下げた議論はほとんど行われませんでした。

注:地元の住民団体「豊郷小学校の歴史と文化を守る会」は、耐震性診断による改修・補強のための工費は過大にみ見積もられていたいとして、2月22日に監査請求を行っています(ニュース番号0602/7を参照)。