徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

もう一つの8月6日

2015-08-07 08:55:59 | 建築つれづれ…
 昨日は8月6日。日本人なら忘れてはならない広島に原爆が投下された日。戦争を知らない世代の私であるが、日本人として黙祷を捧げた。今後あってはならない、そんな気持ちを抱きながら。

 さて、話は私事になる。私にも忘れられない8月6日がある。それは1995年8月6日だ。

 当時、東京の設計事務所に勤務し、厚木の現場に常駐監理を命じられていた。常駐監理となるとその仕事だけをやればいいので、本社勤務よりも自分の時間が取れた。私27歳の夏。そして現在の妻との結婚を翌年に控えていた夏。

 

 「結婚までに一級建築士の免許を取る。」そう心に命じ、時間に余裕のある中で一級建築士の受験勉強にも力を注いでいた。当時の受験日は8月の第一日曜日と通例で決まっていた。「今年は8月6日の日曜日だな。」

 現場常駐のメンバーで受験をするのは私一人。他のメンバーには、受験するからと受験日前の水曜日から休みをもらい、昼は近所の図書館で、夜は自宅で遅くまで必死になって最後の追い込みをかけていた私。万全の状態でこの年の試験にかけていた。

 事件は突然やってきた。土曜日の朝遅く起きる。さて、明日は試験、今日は何時に図書館行こうか…何て思いながら、とりあえず受験票を覗き込んだ…。すると、受験票の受験日の欄に「8月5日土曜日」と書いてあるではないか!

 えぇ~、日曜日じゃないの?何で?????頭の中を?マークが無数に浮かび上がりパニックになった。

 時計を見ると10時少し前。今から受験会場に向かうか…。冷静に受験票の裏面を見ると「試験開始1時間半以降の入室は認めません」と小さぁ~く書いてある。どんな手を使っても試験会場まで1時間半はかかる。試験は既に9時半に始まっている。どこでもドアが無ければもう間に合わない…。

 絶望に打ちひしがれた…。無理だ…。どうにもならない、誰にもぶつけられない虚しさだけが、私の心を満たしていった…。

 毎年日曜日に行っていた一級建築士の受験日。何故この年は土曜日だったのか。一説によると、8月6日日曜日が広島の原爆の日であったから。原爆の日と重なると、広島での受験率がグッと下がる。国民的な追悼の日に、国家試験をセットするのは良くない。そんな事情だったようだ。

 受験日を確認していなかった私の初歩的なミス…。常駐監理という仕事の性格上、周りに一緒に受ける仲間がいなかったことで情報が入ってこなかった…。本社では「今年は土曜日が受験日だから間違えるなよ。」というおふれがあったそうだ。それも後の祭り。

 どうしようもない虚脱感を抱え、その日は行きつけの新宿のスナックでうさを晴らしに向かったが、うさは晴れるどころかドンドン貯まるばかりであった。

 今後あってはならない8月6日。私にも教訓として今でも残っている8月6日。大事な日はキチンと日時を確認すること。確認してもしすぎることはない。ちなみに、一級建築士の資格を取得したのはその二年後になる…。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする