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ラグビーW杯 外国人選手 代表資格 協会主義 大英帝国 多様性

2019年10月21日 19時11分57秒 | ワールドカップ


なぜラグビーでは外国出身選手が多いのか?
 ラグビーW杯2019大会で、日本代表は、優勝候補・アイルランドや強豪・スッコトランドなどに劇的勝利を挙げ、全勝で予選リーグを突破して初の決勝トーナメントへの進出を果たした。
 日本代表が最近格段に強くなった背景には外国人選手の活躍がある。今回の大会で日本代表31名の内、キャプテンのリーチ・マイケル選手を始め、約半分の15名が外国出身選手である。
 こうしたラグビー日本代表を見て、「なぜラグビーでは外国出身選手が多いのか?」という疑問が生まれる。

ラグビー独特の代表規定
 ラグビーでは、他の野球やサッカーなどのスポーツとは違う独特の国や地域の代表の資格を得る条件、代表選手資格(エリジビリティ:eligibility)が定められている。
 代表選手資格の要件は、
① 当該国(地域)で出生
② 両親または祖父母の内、1人が当該国(地域)で出生
③ 当該国(地域)に3年以上、居住
以上の3要件の内、いずれが一つを満たせば代表選手になることができる。
但し、当該国(地域)以外の代表選手になったことがないことが条件になる。
ラグビーのこうした選手資格要件は、オリンピック大会などが採用する「国籍主義」に対して、「所属協会主義」と呼ばれている。
 この考え方は、「国籍」「血縁」「地縁」の3要件のうち、いずれか一つを満たせば良いというもので、「国籍」はパスポートの保持で、「血縁」は祖父母の代までさかのぼってその国や地域の出身ならば代表資格を認めるというもの。そして、「地縁」が、その地に継続して3年以上居住というものである。
 とりわけ、「3年以上居住」の要件は、資格要件の中で比較的簡単にクリヤー可能なので、海外出身の有望な選手が多数、来日して大学のラグビー部やトップリーグの選手として活躍して日本代表を目指している。

 2017年 5月、ワールドラグビー(WR)は、代表資格の改定を決定した。 
①  居住期間36ヶ月を60ヶ月への延長 2020年12月31日から適用
②  累積10年の居住による資格取得を追加 2017年5月10日から適用
③  7人制ラグビー(セブンズ)選手については、20歳を迎えてシニアのセブンズ代表でプレーした場合や、オリンピック大会、ラグビーワールドカップセブンズ大会でプレーした場合には代表資格を付与
これによって、「3年以内」は「60カ月」となり、現在より要件は厳しくなった。
 ワールドラグビー(WR)では、これまで資格要件が、現代ラグビーの実情に合っておらず、国際競技のインテグリティ(正直さや高潔さ)を守ることも、新興国による選手の引き抜きを抑止することもできていないと判断したとしている。

 外国出身の選手が多いのは、特に日本が突出しているわけではなく、各代表も同様である。ラグビーW杯2015英国大会では、サモアは15人、ウェールズ12人、スコットランド12人、日本11人、フランス10人、オーストラリア9人、イタリア9人、アメリカ9人だったという。


ラグビーで「所属協会主義」が採用されている背景は?
 「所属協会主義」が誕生した背景には、ラグビー発祥地である大英帝国の歴史があるとされている。
 ラグビーの世界では「ワールドラグビー」(WR)という国際組織が世界各地のラグビー協会を取りまとめている。WRの前身の組織(IRFB)が創立されたのは約130年前の1886年、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドという大英帝国内部の4カ国だけで構成する組織だった。
 そのIRFBで1890〜1910年代にかけて議論になったのは「植民地出身者の代表資格」という問題だ。当時、繁栄を誇った大英帝国は、オーストラリアや南アフリカなど多くの植民地を抱え、そうした植民地にルーツを持ちながら英国本国に移住する人も多かった。移住者の中にはラグビー選手になって、英国本国の代表チームに入ることを目指す選手も出てきた。また、英国でラグビーを学んで出身国に戻り、出身国のラグビー代表になろうとする選手も現れてきた。植民地出身者がどの国の代表になれるのか、決める必要に迫られた。
 そこで焦点になったのは「出生」と「居住」という二つの観点だ。出生については、両親が当該国で生まれていれば、たとえ本人が植民地で生まれていても当該国(地域)の代表になれるという血統の考え方も含んでいた。また、「居住」については、1910年ころには当該国(地域)に2年間居住していれば代表になれるという条項も含まれていた。

 国籍を重視しない代表規定の骨子は、広大な植民地を有していた大英帝国の事情に影響を受けながら、1世紀以上前には出来上がっていた。この規定はその後、南アフリカやオーストラリアなどの旧植民地、フランスや日本などの非英国系の国々が加盟しても受け継がれ、ラグビー界の特色となっている。
 日本代表チームの約半分が外国出身の選手、多国籍・多民族的で構成されている日本代表は、ダイバーシティ(多様性)の象徴的な存在に見える。日本代表としての誇りを持ち、日本文化になじもうと献身する外国出身者の姿や、国籍を越えたチームの団結力などが印象的だ。
 全米、全豪オープンを制した大坂なおみ、9秒97(100メートル)の日本記録を持つサニーブラウン、NBAのドラフトで初の一巡目指名を受けの活躍が期待されている八村塁、いずれも日本人選手として世界の舞台で活躍している。もっとも日本の「国技」を掲げる大相撲は、横綱の白鳳や鶴竜はモンゴル出身の力士なのである。
 国籍や人種にとらわれないラグビーの在り方は、民族や文化の多様性、ダイバーシティを尊重する社会の在り方の方向を示しているかもしれない。







* 松島幸太朗選手は、父親がジンバブエ人、母親は日本人、出生は南アフリカで6歳まで暮らして来日した。母親が日本人なので「外国出身選手」のカテゴリーには入れない。
* キャップは、日本代表登録メンバー発表時



ラグビーW杯2019日本大会 日本代表初の決勝トーナメント進出
~試合結果 Topics 放送予定 選手情報~


ラグビーワールドカップ2019日本大会開催地

NHKは31試合 日本テレビは19試合放送 NHKBS4K・BS日テレ4Kでも放送 J Sportsは全48試合 HD/4Kで放送

日本vsスコットランド戦 今年最高の視聴率39.2% サモア戦 32・8% ロシア戦 18・3%

ラグビーワールドカップ大会ボランティア 「TEAM NO-SIDE」 1 万 3 千人

ラグビーの試合はこうして行われる 得点・反則・ペナルティ・プレー

初戦ロシア戦 苦しみながらも勝利で発進

日本、アイルランドに19-12で劇的勝利 世界ランキング2位の強豪を撃破 勝ち点4を獲得 決勝リーグ進出に大きく前進

ラグビーW杯 日本 サモア 38-19で三連勝 ボーナスポントも獲得

日本代表 スコットランド戦の登録メンバー発表 ゲームキャプテンはリーチマイケルが復帰 堀江翔太、トンプソンルーク、福岡堅樹、ウイリアムトゥポウ先発

日本戦「日程変更してでも」 スコットランド協会が訴え
開催国に圧倒的有利な日程に不満 中3日で対戦のスコットランド監督が思わず本音


日本、宿敵スコットランドを28-21で猛反撃を振り切り、全勝でA組を一位通過、念願の決勝トーナメント進出

記録的な大雨で冠水したスタジアム 開催を支えた懸命の復旧作業 横浜国際総合競技場

記録的な大雨と暴風 台風19号 ラグビーW杯を直撃 初の開催中止3試合 日本スコットランド戦は開催

ラグビーW杯 日本代表 登録メンバー 31名発表

日本チームをけん引するコーチ・選手は?

なぜラグビーでは外国人選手が多いのか?

森喜朗氏の悲願 ラグビーW杯日本大会開催

ラグビーワールドカップはこうして始まった

記録的な大観衆を集めたラグビー黄金期 早稲田・明治

絶頂ラグビー人気 新日本製鐵釜石と神戸製鋼 ラグビーのリジェンド 松尾雄二と平尾誠二





2019年10月1日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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