反戦思想

2016-01-02 17:08:35 | 読書、書物

  雪後曇り。一時晴れ。一歩も外に出かけていないので、アトリエの窓から見えた天候です。

 午前中、NHKで「ブラタモリ」アンコール放送をやっていたのでつい見てしまった。前に見たので今回は読書しながらバックミュージック代わりでしたが。

 江戸川乱歩全集第十四巻を読み終わった。第二次大戦中・直前位に書かれた作品らしい、日本軍絶対崇拝思想が根強い表現が随所に見られるが、時代背景を考えても随分まとまっているのではないだろうか。あまりに軍の神秘性、称賛が強すぎるのが鬱陶しい文面もあるが、偉大なる夢は探偵小説としてはまとまっていたし、知恵の一太郎、新宝島子供向け読み物として秀逸だ。それにしても神秘性やら精神性やらで戦争に勝てる訳などないというのに、この当時の日本人の思想はなんとも遣る瀬無い、愚かさに満ちていたんだなとつくずく思わせてくれる。私は反戦派だが、一応いろいろな読み物で多少なれども分かっている。敵に対し圧倒的に勝る兵力、何より重要なのは補給路であろう。第二次大戦当時の日本軍はそんな絶対的に守らねばならない基本も捨て置き無謀な戦線拡大を実行したのである。その結果無駄に命を散らした人たちのなんと多いことよ。愚かな上層部が権力を握ればこうなるという見本である。個人に仕事の全責任を負わせ、その人が倒れたらどうなるの? という現代の日本企業の体質を見ていると、第二次大戦の愚行から未だ何も学んでいないという現実がありありと見えてくる。

 話は逸れたが他に掲載されてない乱歩作品が載っているこの第十四巻、読んでみては如何でしょうか。