一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

驚異の指し回し

2021-02-10 00:36:32 | 男性棋士
1日は関西将棋会館にて、第47期棋王戦予選が3局行われた。その中の1局で、藤原直哉七段が大石直嗣七段に勝ったのには驚いた。
藤原七段は現在55歳で、フリークラス4年目。大石七段は31歳の中堅だが毎年好成績を挙げている。今年度もここまで21勝9敗だ。ちなみに藤原七段は同5勝9敗。勝敗予想をすれば、まあ大石七段の勝ちとなる。
将棋は藤原七段の先手で、矢倉模様から相居飛車戦になった。藤原七段の飛車は▲3六に鎮座する。だが▲7七銀型で▲3六飛の位置は、△4四角とされると飛車の捌きが難しく、好んで指す手ではないと個人的には思う。
だが藤原七段はどこ吹く風、▲1七桂と跳ねたあと、▲5五銀~▲6四銀と銀損の攻めに出た。角を換わって△4五角の飛車取りにはバッサリ▲3二飛成と切ってしまう。先に銀損していたから、これでほぼ飛車損である。言っちゃあなんだが素人みたいな攻めで、藤原七段、やぶれかぶれになったのかと思った。

これで先手陣に飛車の打ち込みがなければまだしもだが、「8九」に絶好の打ち場所がある。しかも先手は居玉だ。私が後手だったら、もう温泉気分である。
ところが数手進んで大石七段の△6六桂~△7八角成がちょっと攻め急ぎで、いやもちろんプロが指したからこれが正しい攻めに違いないが、角桂と金の交換は明らかに先手の得で、これで差が縮まった気がした。
その後は藤原七段の指し手が冴え、もはや流れは藤原七段である。いかに大石七段といえども、その流れに抗うことはできない。最後は藤原七段が後手玉に必至を掛けて勝ち。いやはや、大変な逆転劇が生まれてしまった。
藤原七段はフリークラス1年目の2017年度に好成績を挙げ、年度途中まで17勝8敗の好成績だった。当ブログではおなじみの「年度18勝12敗」まであと一歩である。
ところがそれから藤原七段は4連敗し、順位戦復帰はお預けとなった。これで緊張の糸が切れたのか、その後はチャンスらしいチャンスがないが、今回はこの勝利で「いい所取り3勝1敗」となった。順位戦復帰までまだまだ先は長いが、本局の勝利を巻き返しのキッカケにしたいところだ。
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