一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

下蒲刈島へ行く(後編)

2009-05-03 22:28:35 | 旅行記・G.W.編
今日3日は、徳山のビジネスホテルから書き込みをしています。
最近はどこのホテルにもパソコンが置いてあるので、便利です。

蒲刈大橋をゆっくりと踏みしめ下蒲刈島へ一歩入ると、眼下右に集落が目に入った。
島の周囲は16キロと、どこかで読んだ。橋の袂にレンタサイクルがあることも調べていたので、この集落のどこかで借りられるはずだ。そしてのんびり島を一周し、14時何分かのバスで広島駅方面へ抜ければいいと思っていた。
集落に下り、海駅「三之関」で揚げたての「じゃこ天」を食し、石畳が美しい歩道をそのまま先へ進むと、見事な和風建築の「松濤園」と「蘭島閣美術館」が目に入った。
私は東京に住んでいながら、歩いてでも行ける上野をはじめ、都内の美術館には入ったことがないのだが、旅先ではわりとよく入る。
ここでも私は蘭島閣美術館に入った。と、「蘭島閣美術館別館」「松濤園」「三之瀬御本陣芸術文化館」がセット券でも販売されているということで、それを買う。
ただ、ここでゆっくりしてしまうと島の一周はむずかしそうだ。しかし歩道からの景色は上蒲刈島のそれとあまり変わらないだろうし、ここはセット券を購入してよかったと思う。
実際これらの美術館や資料館は充実しており、寺内萬治郎画伯の裸婦画の数々には圧倒され、下蒲刈島における朝鮮通信使の歴史など、勉強になることも多かった。
もうひとつ面白かったのが、江戸時代末期、広島県竹原の建物を移築した「白雪楼」だった。これは上記セット券とは別料金だが、入ってみて驚いた。
「釘を1本も使っていない」「厠(便所)の構造」「2階への階段」「2階の一室の雰囲気」が、自宅と似ていたからだ。大袈裟に言えば、自宅が下蒲刈島へ移築されたのかと錯覚するぐらいだった。
案内係のお嬢さんは古河彩子女流二段に似た方で、私がいままでの客にはないリアクションをしたのでたいそう驚き、話も大いに盛り上がった。
そのほかにも、石畳をぶらぶら歩きながら、江戸時代に造られた船着場の「福島雁木」や、国指定登録有形文化財の「観ラン閣」を見ているうちに、時間は14時近くになっていた。
そろそろお腹も空いてきたところに、「海鮮丼」の幟を立てた食堂が目に入る。入ってみたいが、いかんせん時間がない。
後ろ髪を引かれつつ、私は蒲刈大橋袂にあるバス停に向かった。そのとき、私はたいへんな見落としをしていたことに気づいたのだった。
今朝いただいたバス時刻表には、たしかに広島行きのバスは1日4本しかなかったが、それはあくまでも「広島バスセンター行き直行バス」であって、瀬戸内産交バスが、本州行きのバスを何本も運行していたのだ。これが呉線の広駅や仁方駅に通じていて、乗り継いで広島駅へ行けるのだ。
半ば呆然としつつ時刻表を見直すと、下蒲刈島と本州を結ぶ安芸灘大橋(2000年開通・有料)の袂にある、見戸代バス停の最終時刻は20時49分であった。
考えてみれば当たり前だった。島と本州を結ぶ大事な公共道路に、バスが1日4本しか通らないなんてあるわけがなかった。
しかしそれだけ島の滞在時間が長くできるのなら、いまからレンタサイクルを借りて島を1周…と考えたが、もうその気力はさすがに残っていなかった。それに、呉のビジネスホテルへのチェックインは18時と伝えている。私のポリシーとして遅刻をするわけにはいかないから、今回は滞在時間が2時間延びただけに過ぎなかった。
ともあれこれで食事にありつける。私は自分の馬鹿さ加減に大いに呆れながら、今度は余裕を持って、先ほどの定食屋に入った。
店オススメの海鮮丼を頼むと、店の奥さんが「20分ぐらいかかりますが…」と言う。続けて「これから(生きた)魚をシメなければなりませんので」と言う。
それだけ新鮮な魚を食べられると解すべきだろうが、私の一言で、いま生きている魚が死ぬと思うと、あまりいい気分ではない。結局私は天ぷら定食を頼んだが、これはこれでボリュームがあり、美味だった。
腹がくちたあとは、あっちこっちを寄り道しながら、見戸代バス停方面へぶらぶら歩く。
それにしても島からの景色は美しい。蒼い瀬戸内海の中に、いくつもの小島が見える。
バス停近くに「展望台」があったので登ってみる。人がアリに見える。安芸灘大橋から、自転車で軽快に下りてくる人もいる。視界にすぐ海が見えるというのはいいものだ。この贅沢な環境のなか、松尾香織女流初段は少女時代をすごしたのだ。
…あれっ? このとき私は、もうひとつ勘違いをしていたことに気がついた。橋の通行はたしかに有料だが、それはクルマだけで、人は無料なのではるまいか?
私が乗るべきバスが来て、安芸灘大橋を渡る。1,100メートル余の橋を渡り終えると、やはり私が独り合点していたことが分かった。
人のみの通行は無料だったのだ。それなら徒歩でゆっくり橋を渡って、橋上からの景色もじっくり味わってみたかったが、バスは橋を渡ってしまった。
いまから下車して戻るのもバカバカしい。やはり事前の下調べは重要だと痛感したものだった。
というわけで、私の下蒲刈島探訪は、島の4分の1しか堪能できない、半端なものとなった。だからこんな書き方をすると、非常に変質的で松尾女流初段には申し訳ないのだが、「まだまだ松尾香織女流初段を制覇していない」、というのが実感なのである。
だから機会があったら、もう一度訪れてみたい、と思っている。
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6 コメント

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Unknown (まるしお)
2009-05-16 09:17:46
事前の下調べは「需要」→重要

乞訂正後削除
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ご指摘ありがとうございます。 (大沢一公)
2009-05-16 12:00:33
私も偶然発見しました(笑)。
こういったご指摘はありがたいです。
自戒も含めて、残します。
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行くつもりだったが。。。 (瀬戸のひしお。)
2009-07-04 19:36:27
今日は南の島でビキニ嬢の追っかけでしょうか?。
以前1DAYが松尾先生の故郷で開かれるなら比較的近場であるしと、交通手段を調べエライ処だと断念しました。。。後日HPで会場は駒込と知ったときは何とも言えない気持ちでしたね。
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下蒲刈島は良い。 (一公)
2009-07-04 20:18:43
それはひどい錯覚をしましたね(笑)。
それは別にしても、下蒲刈島はとてもいいところです。ゼヒ一度訪れられることをオススメします。
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今日の将棋 (暇人)
2010-03-12 23:01:52
いろいろ教えていただきありがとうございます。

これからも時々あそこに行くつもりです。
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ありがとうございました。 (一公)
2010-03-13 13:14:49
こちらこそ、ありがとうございました。
また対局できることを楽しみにしております。
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