一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

四十三たび大野教室に行く(前編)・腕自慢の読者諸兄に問う

2013-03-28 00:50:51 | 大野教室
16日(土)は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。入室は午後1時35分。洋間では大野八一雄七段が五面指しを行っていた。その脇では自由対局が1局。
奥の部屋では、植山悦行七段が二面指しを行っていた。その手前では自由対局が1局。きょうもけっこうな人数だ。
きょうは植山七段から教えていただく。手合いはもちろん角。右はHanaちゃんが飛車落ちで挑んでいた。こちらで駒組を進めながら横目で眺めていると、Hanaちゃん、果敢に▲4五歩△同歩▲同桂と仕掛けた。しかし△7七角成▲同銀△4四歩の結果は桂が死んで、早くも下手芳しくない。
私が言うのもおこがましいが、上手相手にこんな雑な指し方をしてはダメである。私たち相手なら無理攻めも通るが、プロ相手なら絶対いなされる。Hanaちゃん、これからは一段上のレベルの勉強が必要だろう。
植山-一公戦は、私の居飛車。矢倉模様に組み、▲7七桂から▲6五桂と跳ねてみた。植山七段は△7五歩▲同歩△同銀とし、6四に空間を作る。▲7六歩でも△8四銀でやはり△6四歩が残るから、私は桂を見捨てて▲2四歩△2二歩を利かし、▲5五飛と回った。
植山七段は当然△6四歩だが、現実の桂損はやはり大きかった。これは、Hanaちゃんを注意するどころではない。
▲2四歩では、ダサイが、▲7四歩と打つんだった。これで将来△8一桂との交換を目指す。こんな桂との交換はしたくないが、桂を持てば、こちらも攻めの幅が拡がる。本譜はちょっと強気すぎた。
以下じっくりした戦いが続くが、上手に桂を持たれているので、つねに両取りの筋を警戒せねばならず、神経を遣った。
では、中盤の一場面を紹介する。

第1図以下の指し手。
▲6五歩△7四飛▲7六歩△6六歩▲同金△同銀▲同角△5五歩▲6三銀△5六歩▲7四銀不成△5四桂▲7五角△6六歩▲同銀△同桂▲同角△5七銀▲7五角△6五桂▲同銀△7七歩(第2図)

私は元気よく▲6五歩と突きだしたが、結果的に△7五銀を相手にすることになり、よくなかった。▲6五歩では▲7六歩△8四銀と銀を僻地にやってから▲5五歩と合わせるのだった。
これは指した直後に気が付いたのだが、さすがに待ったはできなかった。
局後に▲7六歩~▲5五歩の手順を問うと、植山七段は「△3三銀▲5四歩△同金」で自信がありそうだった。まあ上手から見ればそうなのだろうが、私は▲7六歩~▲5五歩が本手だったといまでも思っている。
本譜、植山七段は△7四飛。△6五同桂からの決戦を読んでいたので、スカされた形だ。私は▲7六歩だが、後日Fuj氏にこのあたりの局面を見せると、「(▲7六歩に代えて)▲7五角△同飛▲7六歩△7四飛▲7五銀(参考A図)」と即座に答えた。

なるほど!! こうやって飛車を捕獲するのが簡明だった。
本譜も▲6三銀から飛車を取れたが、▲7四銀がやや遊び気味だ。
植山七段、△6五桂跳ねから△7七歩。桂捨てで1歩をもぎ取り、△7七歩はまったく気付かなかった。しかしこれは受け切れると思った。ここで3時休憩。

第2図以下の指し手。▲7七同金△6八銀打▲8八玉△5九銀不成▲5五桂△6八飛▲7八桂△6五飛成▲4三桂成△同金▲5一飛△6八銀引不成▲3一飛成△2三玉▲5七角△3二金 (投了図)まで、植山七段の勝ち。

一応詰将棋プリントが配られる。植山七段は表に出てタバコを一服。私も表に出たいが、対局中なので相手との歓談は味が悪いと思った。そのくらい、私は気合を入れていたのである。
私はふらふらと盤の前に戻って考える。▲7七同金△6八銀打▲7九玉△5九銀不成の進行は、△5九銀が遊び気味だから下手指せる、の読みだったが、意外にむずかしいことに愕然とした。
そのうち植山七段も戻ってきて、やはり盤の前に座った。まだ休憩から5分しか経っていない。
私は「まあここは取る一手だから」と▲7七同金と取り、何となく対局が再開されてしまった。ここで3時休憩は味が悪い、が両者の了解だったようだ。
△5九銀不成までバタバタ進む。しかし何となく、終局までの儀式のようにも思われる。すなわち、私の敗勢なのか。
私は急かされるように?▲5五桂と打ったが、△6八飛から6五銀を抜かれたのが痛く、最後は明快な一手負けになった。

しかし…と思う。後日頭の中で検討したのだが、▲5五桂のところで、▲6九歩(参考B図)はなかっただろうか? △6八飛を消しただけの地味な手だが、これで存外下手に迫る手がないように思える。
研究熱心な読者諸兄に、このあとの上手の寄せ方を教えてほしいところである。

(つづく)
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5 コメント

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上手の攻め方 (T)
2013-03-28 10:57:18
何か終盤力を試されてるような感じがしますが
上手の寄せ方を考えてみました。

問題の局面ですが、まず符号の記載について言及します。
符号には下手側に8九桂の記載がありますが、
この桂は文面より、▲7七桂~▲6五桂以降、上手に△6四歩~捕られたようなので
盤上にないものとして考えさせて頂きました。

8九桂があると受けに効きますし、全く違う局面になります。
しかも、持ち駒と合わせて桂5枚になってしまいますので(笑)。
もし、8九桂の記載が正しいならもう一度正確な盤面記載をお願いします。

さて、改めて問題局面で上手の攻めを色々考えてみましたが
かなり際どい攻め合いになりそうです。
少なくても本譜の▲5五桂よりは紛れが多く、▲6九歩はいい手だと思います。
上手玉は何気に△2二歩が受けに良く効いています。

上手の攻め方は、まず平凡に△2八飛だと、
以下の進行例は▲7八桂△5八銀不成▲5五桂△6九銀不成▲8二飛
△5二歩▲4三桂成・・以下、下手勝ちだと思います。
下手玉は角を渡しても上部に逃げられるので詰みません。

従って、上手の最善は△6八銀引不成だと思います。
これに対して、下手の対応は▲同歩と▲5五桂が考えられます。

まず、▲同歩の場合、以下の進行例は△同銀不成▲5五桂△5七歩成▲8二飛
△7七銀成▲9七玉△5二歩▲4三桂成△同金▲5二飛成△4二金打・・・
下手は▲5五桂が詰めろにならず、▲8二飛で詰めろがかかるも
最後に△5二金打ちで上手玉は角を切っても詰まず、角を渡すと下手玉が詰むので
この変化は上手に分があるように思います。
また、上記手順中の▲5五桂に変えて、▲5六銀と受けに回っても、
△7九飛▲7八銀△8九金以下寄りです。

△6八銀引不成に銀を取らずに▲5五桂とした場合、以下の進行例は
△7七銀成▲同玉△7九飛で、下手の合い駒が▲7八飛、▲7八銀、▲7八桂の
3通り考えられます。

▲7八飛合は△同飛成▲同玉△5八飛▲6八桂△同銀成▲同歩△5七歩成・・・
上手玉はまだ詰めろになっておらず、下手玉は1手1手の寄りなので
これは上手が勝勢でしょう。

▲7八銀合は△6六金▲同角△7八飛成▲同玉△6六銀成・・・
飛飛金桂を持ち駒にしましたが、上手玉はまだ詰まず、下手玉は詰めろです。
下手玉は受けづらいので上手に分がある展開でしょう。

▲7九桂合は△6九飛成です。以下、▲8二飛(▲4二角成以下詰めろ)なら
△6八飛成▲8八玉△7七金▲9七玉△5二歩・・・
この手順は△最初の6八銀引不成を▲同歩と取った変化に似ていて、
やはり上手に分があると思います。

結論としては、際どいですが上手が勝ちそうな変化が多いと思います。
下手としては▲5五桂が詰めろにならないのが痛いですね。
上手の2四銀2二歩の形が結構鉄壁です。
返信する
訂正 (T)
2013-03-28 11:09:20
上記文面中に記載ミスがあったので訂正します。

誤;△5二金打ち→正;△4二金打ち

誤;▲7九桂合→正;▲7八桂合
返信する
感謝、感謝! (一公)
2013-03-29 00:06:10
>Tさん
これはこれは丁寧な変化を、ありがとうございます。
まず、おっしゃるとおり「▲8九桂」は、存在しませんでした。申し訳ありませんでした。
やはり▲6九歩は粘り甲斐のある手でしたか。実戦は▲5五桂を早く打ちたくてそうしてしまったのですが、もう一手辛抱すべきでした。
以下記載いただいた手順、熟読しました。なるほど、やはり下手が足りませんでしたか…(ただ、△6八銀引不成▲5五桂~▲7八桂合の変化で△5二歩が出てきますが、これは二歩で打てないようです)。
ただ実戦では▲6九歩と打って、しばしの間でも植山先生を悩ませたかったですねえ…。
また、おっしゃるとおり、△2四玉△2二歩の形が妙に固く、感想戦ではふたりうとも、苦笑いでした。
回答、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
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二歩に代わる手 (T)
2013-03-29 07:55:30
ご指摘ありがとうございます。

△5七歩成をしない変化では確かに
△5二歩は二歩ですね。
変化が似ていたので、同じ手でいいと思いこみ
ウッカリしました(笑)。
なら、改めて指摘変化の△5二歩では△2三玉の早逃げを
代わりの変化として推奨します。

△2三玉に対し、▲4二角成が一瞬詰めろですが
△同金が下手玉への詰めろになり、
その瞬間に上手玉は詰みません。
詰めろもかからないので、
やはり下手には厳しい状況ですね。
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△2三玉! (一公)
2013-03-30 01:04:26
>Tさん
△2三玉ですか!
なるほど! 何か駒を寄こせという、玉の早逃げの手筋ですね。
ああ…じゃあ、結局ダメでしたか。中盤は辛抱強く指していただけに、残念でした。
また実戦を指したくなってきました。
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