一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

四十三たび大野教室に行く(中編)・二枚落ちの重要性

2013-03-29 00:06:58 | 大野教室
このあとは大野八一雄七段に教えていただく。手合いは角。指している最中、Hanaちゃんが私と将棋を指したいと言ったらしい。先日私に負けた、そのリベンジを果たしたいらしい。
それはいいが、私は対局中だ。きょうの対戦はちょっとむずかしいと思いきや、大野七段が対局を中断してくれ、急遽私とHanaちゃんの自由対局になった。
Hanaちゃんはバリバリのゴキゲン中飛車党だったが、思うところあってか、居飛車を勉強しだした。だんだん居飛車を自分のものにしつつあるが、こちらも定跡をいくつか用意している。まだ負けられないところである。
対局開始。Hanaちゃんは早めに金を上がり、右四間飛車に構えた。私は△7二飛と寄るが、そこでHanaちゃんが▲4五歩と合わせたのが好手。数手後▲8五飛と回られ、指しにくくなった。
△8二歩に、Hanaちゃんは▲7五歩と急所を攻めてくる。私はトクした香を△7一に受けるが、このあたりは攻め潰されたと思った。
数手後、私の守備金は右に偏り、玉の周りに守り駒がない。しかし妙にかかり手がない。Hanaちゃんも果敢に攻めるが、駒損の攻めなので、やや切れ模様だ。私は△1四歩と逃げ道を開けて、勝利を確信した。
最後は△7一香が詰みに一役買い、薄氷の勝利となった。Hanaちゃん、リベンジならず。
大野七段との対局に戻る。2五で桂交換になったが、△8六歩▲同歩△8七桂と王手香取りに打たれシビレた。▲8七同金は、6筋の飛車が素通しなので△6七飛成と金を取られる。
▲6八玉△9九桂成▲同角△9八銀▲7七角。
ここで△7六香と角取りに打たれたら投了だったが(▲7六同金は玉を素抜かれる)、大野七段は△8九銀不成。私は▲6五歩とキズを消して一安心だが、それでも不利に変わりはない。
しかし私の4筋からの攻めに、大野七段が素直に応じてくれたので、勝負になった。

局面は私の金香損だが、各駒が急所に利いているのが強味だ。私は▲4四桂と王手をした。△同金は▲同歩で、次に▲4五桂を見て下手十分。大野七段は△2二玉とかわしたが、▲5二銀△同金に▲2三歩が渾身の王手だった。
△2三同玉▲3二銀に△2二玉なら、▲2四飛!△同銀▲5二桂成(参考図)の華麗な詰みがある。

よって▲2三歩に大野七段は△1三玉だが、ここで▲5二桂成と金を取り、良くなったと思った。
以下、私の勝ち。前局に続いて、またも不思議な勝ちだった。ことに▲7七角の局面、△7六香を待ってくれたのは、大野七段の温情としか考えられなかった。次回はもう少し上手をてこずらせたいものである。

W氏、Hanaちゃんらと雑談。Hanaちゃんは、二枚落ちの定跡を知らないらしい。
それはよくない。Hanaちゃんが近い将来女流棋士になり、指導者の立場になったとき、二枚落ちの定跡を覚えておくことは重要である。初心者と二枚落ち戦を指したとき、ヘンな定跡を教えたら、自分が笑われるからだ。
そんなことを辛口批評を交えてしゃべるのだが、いまひとつW氏のノリが悪い。あとで聞いたら、それにはちゃんとした理由があるのだが、それはまた、別の話。
というわけで、私とHanaちゃんが二枚落ち戦を指してみることにした。私の下手である。
Hanaちゃん、初手△6二銀から△3二金まで進めたはいいが、そのあと△5二金と指したのはいただけなかった。ここは△7二金としないと、金がうまく活用できない。
数手後、Hanaちゃんは△3一銀と引いたが、これがスキを作った疑問手で、▲3四歩以下私の勝ちとなった。
この将棋を見る限り、Hanaちゃんは二枚落ちの定跡を知らないようである。これはHanaちゃんが将棋を始めてからすぐに強くなって、駒落ちの下手をやった経験がないからだと思う。
私などは(いまも弱いが)弱い期間が長かったから、二枚落ちの下手をかなりやって、自然に上手の指し方も覚えた。いまは平手戦全盛で、駒落ちの定跡を知らない将棋ファンが増えているのは残念なことである。
じゃあ今度は私が上手で…と指そうとしたら、植山悦行七段が苦笑する。そんなママゴトみたいなことしてないで、平手戦を指しなさい、という顔だ。
それで私とHanaちゃんの、本日2局目の平手戦となった。
これもHanaちゃんの右四間飛車だったが、やはりHanaちゃんの無理攻めがあり、私の中押し勝ち。「ゴキゲン中飛車のときはあれだけ勝ったのに、相居飛車戦だとなぜ負けるんだろう?」とHanaちゃんは怪訝に思っているかもしれないが、居飛車戦はそれだけむずかしいということだ。
ともあれHanaちゃん、駒落ちの上手に興味を持ったようだ。最近大野教室に通い始めた某氏相手に、二枚落ち戦の上手を指した。
これが一進一退のいい将棋だったが、

の局面で、Hanaちゃんは△4七金打▲2九玉△3八角▲1八玉△2七角成!▲同玉△3七金寄▲2六玉△3六金寄▲2五玉△3五金打と、鮮やかに詰め上げた。

これはHanaちゃん、うれしい勝利だ。Hanaちゃんは駒の使い方が粗いところがあるので、こうやって小駒を活用する術を覚えれば、攻め方に幅が出ると思う。
未成年諸君と雑談していたW氏が驚いている。いまは卒業式シーズンだが、きょう参加の未成年は、卒業式の定番ソング「仰げば尊し」を知らないという。Sa君、Akiちゃん、Minamiちゃん、Hanaちゃんらすべてだ。いまの小・中学生は卒業式に何を歌っているのだろう。
Akiちゃんが手スキのようである。Akiちゃんと久しぶりに指そうか…となったが、Su氏はあまりAkiちゃんと指していない。そこでSu-Aki戦が行われることになった。これも新鮮なカードである。
Akiちゃんは現在日本将棋連盟の研修会で研鑽中で、C2クラスに在籍している。もしC1に昇級したら、女流棋士になるという。もしそうなったら、今度はAki先生と呼ばねばならない。がんばってほしい。
さて勢いに乗ったHanaちゃん、スタッフのW氏にも、二枚落ちの上手で対局を申し込んだ。
(つづく)
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