この13日は、LPSA麹町サロンin DISに行った。講師は上川香織女流二段で、久しぶりの顔合わせである。
予約は珍しく早めに入れたが、その後、行けなくなる可能性もあった。
その危機を回避し、めでたく指導対局を受ける運びとなった。
当日は御徒町の多慶屋に行き、ドライブルーベリーを買った。さらに銀座OKスーパーで、買わずもがなの飴を6袋買う。これだから私は慢性的な肥満になり、虫歯が絶えないのだ。
麹町駅に着き、麹町サロンに入室。14時52分だった。早めに入ったつもりだったが、すでに先客が2名いた。きょうは満席だから、さらにあと1名来る。
席に座ると、上川女流二段が「この前はありがとうございます」という。
前回お邪魔したとき、上川女流二段の誕生日が近かったので、軽くプレゼントを渡したのだ。その御礼を改めて言われたのだが、あれから数ヶ月経っている。ずいぶんご無沙汰してしまったものだ。
さっそく対局となるが、私と右の男性は平手である。私は当然先手で指すつもりだが、最近は振駒でいくのが上川流。しかも今回は、私が振ることになった。そしてと金が4枚出て、私の後手となった。まあいい。とりあえず対局開始である。
初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲5六歩△5二金左▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△7一玉(第1図)
ここから自戦記となるが、上川女流二段を後手として記す。お互い角道を開け、上川女流二段は角道を止めつつ「三間飛車にするか、中飛車にするか……」とつぶやく。
実は今回、私は鷺宮定跡を指すつもりでいた。しかしこれは対四間飛車用だ。上川女流二段は三間飛車と中飛車の使い手で、まして先手となれば、このどちらかとなる。果たして上川女流二段は三間飛車に振り、私の事前のイメージはフイになった。
私の▲5六歩に、上川女流二段は△6二玉と指しかけて△5二金左。まあこのあたりの手順前後はどうでもよい。
上川女流二段は△7二銀から△7一玉と収まった。

第1図以下の指し手。▲3六歩△8二玉▲6八銀△5四歩▲5七銀左△9四歩▲9六歩△6四歩▲6八金直△6三金(第2図)
右の男性氏は、嬉野流を採用しているようだ。それに勝又清和教授の講義も交えているようで、研究は万全というところ。記譜はスマホの将棋ソフトを利用しており、手書きの私とは作戦も含めて、時代が違う。
私は▲3六歩と急戦の意思表示。まあ持久戦でもいいのだが、それだと将棋が長くなるから、2局指せなくなってしまう(かもしれない)。上川女流二段とは暗黙の了解で、2局指すつもりでいるのだ。
△6四歩に▲6八金直。この手は一長一短なのだが、まだ鷺宮定跡の余地を残している。
上川女流二段は「大山流で」と△6三金。この手がどうして大山流なのかよく分からないが、私は「きょうは大山先生の生誕日ですからね」と言った。
上川女流二段は(マニアだ……)と、呆れ顔をした。右の男性氏は「ふむふむ」というところ。

第2図以下の指し手。▲3七銀△7四歩▲2六銀△4三銀▲3五歩△1二香▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲8八角△3五歩(第3図)
私は▲3七銀と棒銀に出た。1月の鹿野圭生女流三段戦に続いての採用で、前回の失敗を払拭する意味があった。ただ、すでに▲7八飛と回られているので、多少気は引けた。
「棒銀!? どんな受け方だったっけ」
と上川女流二段。
私は▲3五歩。棒銀を指したからにはこの手が絶対で、この手が指せたから、鹿野女流三段戦よりはましになったと思った。
△1二香に▲2四歩。もし△同角なら、▲1五銀!△同角▲2三飛成の加藤流で、指せると思った。
本譜は△同歩で、以下は定跡通りに進む、▲3三角成△同飛には▲8八角か▲2二角か迷ったが、後者は1一香を取れないので、下から打った。

第3図以下の指し手。▲2二歩△2七角▲2八飛△3六角成▲2一歩成△5五歩▲同角△5三飛▲2二角成△4六歩▲同歩△2五銀▲3七銀△5四馬▲1二馬(第4図)
第3図はふつうに▲3三角成とし、△同桂▲3五銀△同銀▲同飛△4四角▲3九飛△9九角成▲8八銀△9八馬▲3三飛成(参考A図)もあったと思う。しかし手順中の△4四角の味がよく、参考A図でも△8四香が相当で、指し切れなかった。

そこで私は▲2二歩。次▲2一歩成とできれば、さらに飛車取りになる。上川女流二段はこの手を軽視していたようで、「いい手がありましたね」と苦悶する。
△2七角と打ったところで、4人目が来た。プロでも4面指しは大変であろう。私は「大変ですね」と苦笑するのみである。
私は▲2八飛と先手を取り、桂得して、十分と思った。途中、△5五歩▲同歩で1歩をもらったのも大きい。あとは金持ちケンカせずで、じりじりポイントを稼いでいけばよい。
実際▲1二馬と香も取り、このあたりでは相当よくなったと思ったのだが……。

第4図以下の指し手。△4四馬▲6六銀△3六歩▲4八銀△6五歩▲7七銀△7三桂▲5七金直△3三飛▲3八歩△2六馬(第5図)
▲5五香を防ぐ△4四馬に、▲6六銀。この活用は味がいい。
つづく△3六歩に▲4八銀と凹まされたが、守りについたと思えば腹も立たない。
しかし上川女流二段も△6五歩から△7三桂と、着々と駒を前進し、少しも慌てない。
そこで私は▲5七金直としたが、これが本局一の悪手だった。具体的には△8五桂▲8八銀に△6六歩を気にしたのだが、気にしすぎだった。なんでもいいから、別の手を指すべきだった。
△3三飛に▲3八歩。次に上手の指す手がなく、△2六銀あたりを考えていた。
ところが上川女流二段に、ヒョイと△2六馬と覗かれ、飛び上がった。
こんな手があったのか……!!

(つづく)
予約は珍しく早めに入れたが、その後、行けなくなる可能性もあった。
その危機を回避し、めでたく指導対局を受ける運びとなった。
当日は御徒町の多慶屋に行き、ドライブルーベリーを買った。さらに銀座OKスーパーで、買わずもがなの飴を6袋買う。これだから私は慢性的な肥満になり、虫歯が絶えないのだ。
麹町駅に着き、麹町サロンに入室。14時52分だった。早めに入ったつもりだったが、すでに先客が2名いた。きょうは満席だから、さらにあと1名来る。
席に座ると、上川女流二段が「この前はありがとうございます」という。
前回お邪魔したとき、上川女流二段の誕生日が近かったので、軽くプレゼントを渡したのだ。その御礼を改めて言われたのだが、あれから数ヶ月経っている。ずいぶんご無沙汰してしまったものだ。
さっそく対局となるが、私と右の男性は平手である。私は当然先手で指すつもりだが、最近は振駒でいくのが上川流。しかも今回は、私が振ることになった。そしてと金が4枚出て、私の後手となった。まあいい。とりあえず対局開始である。
初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲5六歩△5二金左▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△7一玉(第1図)
ここから自戦記となるが、上川女流二段を後手として記す。お互い角道を開け、上川女流二段は角道を止めつつ「三間飛車にするか、中飛車にするか……」とつぶやく。
実は今回、私は鷺宮定跡を指すつもりでいた。しかしこれは対四間飛車用だ。上川女流二段は三間飛車と中飛車の使い手で、まして先手となれば、このどちらかとなる。果たして上川女流二段は三間飛車に振り、私の事前のイメージはフイになった。
私の▲5六歩に、上川女流二段は△6二玉と指しかけて△5二金左。まあこのあたりの手順前後はどうでもよい。
上川女流二段は△7二銀から△7一玉と収まった。

第1図以下の指し手。▲3六歩△8二玉▲6八銀△5四歩▲5七銀左△9四歩▲9六歩△6四歩▲6八金直△6三金(第2図)
右の男性氏は、嬉野流を採用しているようだ。それに勝又清和教授の講義も交えているようで、研究は万全というところ。記譜はスマホの将棋ソフトを利用しており、手書きの私とは作戦も含めて、時代が違う。
私は▲3六歩と急戦の意思表示。まあ持久戦でもいいのだが、それだと将棋が長くなるから、2局指せなくなってしまう(かもしれない)。上川女流二段とは暗黙の了解で、2局指すつもりでいるのだ。
△6四歩に▲6八金直。この手は一長一短なのだが、まだ鷺宮定跡の余地を残している。
上川女流二段は「大山流で」と△6三金。この手がどうして大山流なのかよく分からないが、私は「きょうは大山先生の生誕日ですからね」と言った。
上川女流二段は(マニアだ……)と、呆れ顔をした。右の男性氏は「ふむふむ」というところ。

第2図以下の指し手。▲3七銀△7四歩▲2六銀△4三銀▲3五歩△1二香▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲8八角△3五歩(第3図)
私は▲3七銀と棒銀に出た。1月の鹿野圭生女流三段戦に続いての採用で、前回の失敗を払拭する意味があった。ただ、すでに▲7八飛と回られているので、多少気は引けた。
「棒銀!? どんな受け方だったっけ」
と上川女流二段。
私は▲3五歩。棒銀を指したからにはこの手が絶対で、この手が指せたから、鹿野女流三段戦よりはましになったと思った。
△1二香に▲2四歩。もし△同角なら、▲1五銀!△同角▲2三飛成の加藤流で、指せると思った。
本譜は△同歩で、以下は定跡通りに進む、▲3三角成△同飛には▲8八角か▲2二角か迷ったが、後者は1一香を取れないので、下から打った。

第3図以下の指し手。▲2二歩△2七角▲2八飛△3六角成▲2一歩成△5五歩▲同角△5三飛▲2二角成△4六歩▲同歩△2五銀▲3七銀△5四馬▲1二馬(第4図)
第3図はふつうに▲3三角成とし、△同桂▲3五銀△同銀▲同飛△4四角▲3九飛△9九角成▲8八銀△9八馬▲3三飛成(参考A図)もあったと思う。しかし手順中の△4四角の味がよく、参考A図でも△8四香が相当で、指し切れなかった。

そこで私は▲2二歩。次▲2一歩成とできれば、さらに飛車取りになる。上川女流二段はこの手を軽視していたようで、「いい手がありましたね」と苦悶する。
△2七角と打ったところで、4人目が来た。プロでも4面指しは大変であろう。私は「大変ですね」と苦笑するのみである。
私は▲2八飛と先手を取り、桂得して、十分と思った。途中、△5五歩▲同歩で1歩をもらったのも大きい。あとは金持ちケンカせずで、じりじりポイントを稼いでいけばよい。
実際▲1二馬と香も取り、このあたりでは相当よくなったと思ったのだが……。

第4図以下の指し手。△4四馬▲6六銀△3六歩▲4八銀△6五歩▲7七銀△7三桂▲5七金直△3三飛▲3八歩△2六馬(第5図)
▲5五香を防ぐ△4四馬に、▲6六銀。この活用は味がいい。
つづく△3六歩に▲4八銀と凹まされたが、守りについたと思えば腹も立たない。
しかし上川女流二段も△6五歩から△7三桂と、着々と駒を前進し、少しも慌てない。
そこで私は▲5七金直としたが、これが本局一の悪手だった。具体的には△8五桂▲8八銀に△6六歩を気にしたのだが、気にしすぎだった。なんでもいいから、別の手を指すべきだった。
△3三飛に▲3八歩。次に上手の指す手がなく、△2六銀あたりを考えていた。
ところが上川女流二段に、ヒョイと△2六馬と覗かれ、飛び上がった。
こんな手があったのか……!!

(つづく)