一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「ギフテッド」第3話

2024-10-11 00:27:59 | 将棋雑記
「ギフテッド」は天樹征丸原作、雨宮理真作画で、少女マンガ雑誌「なかよし」に2022年1月号から連載されている。ドラマ化は2回された。
主人公は、警視庁捜査一課に所属する天草那月(増田貴久)刑事と、殺人者が「視える」高校生・四鬼夕也(浮所飛貴)。Season1は2023年8月12日~10月1日に放送され、その第3話が、将棋編だった。
第20期竜馬戦五番勝負第5局が行われた。対局者は藤堂将子竜馬(真飛聖)と高城歩女流二段(佐々木春香)。将子は女流棋界の女帝、歩は棋士四段に最も近い女流棋士といわれている。ここまで歩、歩、将子、将子の順に勝ち、本局が決戦である。
その歩が、第1日目の夜(対局は2日制)、公園内で撲殺された。容疑者は、歩のストーカーをしている山井健太(坪倉由幸)があがったが、実際は将子が逮捕された。将子が自首したのだ。しかし夕也の目には、将子の殺人は映らなかった。
実は殺人があった夜、将子の付き人・金田薫(優希美青)が宿で何者かに襲われていた。
那月は非常階段にあった血痕を発見し、すべての謎を解いた。
真相はこうだ。当日、歩は薫の部屋に忍び込んだが発見され、慌てて非常階段を下りたが足を踏み外し、事故死していた。
混乱した薫から報せを聞いた将子は、遺体を公園に運び、証拠隠滅を図ったというわけだった。
将子がそうまでしたのは理由があった。将子は第3局から薫と組み、AIの指し手をイヤリングから傍受し、指し手を進めていた。つまり薫は共犯だったのだ。
もっとも那月も、第3局以降の将子の指し手に「らしさ」を感じず、不信感を抱いていた。当然歩もそれに気づいており、AIのカンニングを考えていた。そこで証拠集めのため、歩は薫の部屋に忍び込んだというわけだった。
将子の動機は、自身が不正をしていたことが公にされるのがイヤだったことがあるが、同時に「歩の躍進が妬ましかった、四段になられるのがイヤだった」というものだった。しかし那月は信じない。
実は将子の息子が難病にあり、将子はカネが入用だったのだ。だからタイトルの賞金に目がくらみ、不正に手を染めてしまった。
那月は子供のことは支援する、と言い、将子は深々とお辞儀をするのだった。

以上が事のあらましである。四段に最も近いといわれている女流棋士がノンタイトルの女流二段、女流棋戦なのに2日制、対局に使用されている駒が安っぽい、第1日目の夜に対局者が出歩いてもいいなど、突っ込みどころはいっぱいあるのだが、対局室の風景、女流棋界と将棋界全体の仕組みが違うことなど、贋作:脚本はしっかり研究している。
ただ、将子が死体遺棄を行ったのに、あっさり自首してしまうのがアレである。それと、大元の動機が類型的である。対局の最善手が見たくて犯罪に手を染める、といったドラマはいくつもあった。だが、いやしくも女流棋界の女帝と呼ばれるタイトルホルダーが、自身の読みに自信を持てず、AIの指し手に頼るなぞ、常識的にあり得ない。そのあたりがちょっと残念だったが、真飛聖が綺麗だったからよい。
将棋ドラマも毎回質があがってきており、今後が期待できる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする