一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第63期王位戦第1局

2022-07-03 22:11:48 | 男性棋戦
第63期王位戦の挑戦者は豊島将之九段に決まり、藤井聡太王位に挑むことになった。現在進行中の棋聖戦五番勝負も永瀬拓矢王座の挑戦で、変わり映えしないメンツといえばいえるが、それくらい挑戦者の力量が抜きんでているのだろう。それに王位戦は豊島九段のリベンジマッチでもあり、勝負事はその方が面白い。
第1局は6月28日・29日に、愛知県犬山市で行われた。これは、藤井王位が愛知県出身ということから選ばれたものだろう。偶然だが、豊島九段も愛知県出身だった。
第1局は豊島九段の先手で、角換わり相腰掛け銀になった。この戦法自体は毎度おなじみだが、注目すべきは現在の玉の位置で、先手は7九、後手は2二にいる。現代の角換わりは玉が浮遊することが多いだけに、珍しい。
藤井王位は38手目に△6五桂と跳ねた。と、これを豊島九段が銀で食いちぎったから驚いた。
その4手後、豊島九段▲2四桂! 相矢倉ではよく見る筋だが、終盤の切り札的イメージがあるので、いかにも早い。しかし豊島九段は、すでに終盤戦の認識なのかもしれなかった。
ちなみに▲2四桂(△8六桂)局として、1981年12月21日・22日に指された第20期十段戦第6局・▲加藤一二三十段VS△米長邦雄棋王戦を思い出した。

本譜は△2四同歩▲同歩。この時点で先手は銀損になるが、▲2四に垂れた歩が目障りだから、後手の半数は、△2四同銀▲同飛△2三歩と収める。
しかし藤井王位は△3一桂! ギリギリの受けを選んだのだ。将棋はそうでなくちゃ面白くない。
豊島九段は角飛交換ののち、香を捨てて▲2三飛!(図) 往年の塚田泰明九段の攻めを見るかのようで、とても豊島九段の将棋に思われない。しかし何というか、この一局に懸ける豊島九段の熱情みたいなものを感じるのである。

以下も私には難しい局面が続いて見えたが、流れは豊島九段に傾いたまま、快勝となった。
さすがの藤井王位も、理外の理の手を連発されて、脳内AIが狂ったのかもしれない。
豊島九段にとっては幸先いいスタートとなったが、昨年も第1局は白星だった。藤井王位の信用を合わせると、第2局も豊島九段が勝って、やっと七番勝負が面白くなるのではないだろうか。
第2局は13日・14日。
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