一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4月21日の4時から男(後編)

2018-05-17 00:47:07 | 新・大野教室

第7図以下の指し手。▲5四同馬△4六桂▲4九玉△4七金(第8図)

鬼手△5四飛は馬取りだから取るよりない。が、△4六桂がより厳しくなった。
▲4九玉には△4七銀と、盤上に駒を増やされる方がイヤだったが、Wat君は△4七金。盤上の駒を活用して、これも上手が勝勢に見える。
そうかそうか、負けた。やっぱり元奨励会員は強かった。

第8図以下の指し手。▲2一馬△同玉▲6五角△4三歩▲4七角△2七角▲3八歩△4五角成▲5六金打△3六金(第9図)

時間もなくて、▲3九金を考えたりする。どうしよう、と混乱するうち、▲2一馬が閃いた。以下△2一同玉▲6五角から金を抜けるではないか。
そう進んで、また優勢になったと思った。さっきまで負けを覚悟していたのに、何という展開か。
しかしWat君も△2七角~△4五角成とまだ諦めない。
▲5六金打には△3六金。もう、何がなんだが分からなくなってきた。

第9図以下の指し手。▲4五金△4七金▲4六金△同金▲3四桂△4五角▲2二桂成△同玉(第10図)

第9図では▲4五金か▲3六同角の二択だ。しかし後者は馬が残るので指せなかった。
とはいえ▲4五金△4七金の局面は、またもや下手陣がやばい。
しかしそこで▲4六金と桂を外す手が見えた。本局、秒読みの中で▲2一馬や▲4六金が見えたのは、僥倖だったとしか言うしかない。
△4六同金に▲3四桂が回り、これは勝ったと思った。△3三銀打なら、▲2二桂成△同銀▲3四桂のお代わりがある。
だが、△4五角がまた妙防である。私は再び混乱した。

第10図以下の指し手。▲6二飛△5二金▲同成銀△6七角成▲5八金△4八銀▲同玉△3六桂▲3九玉(投了図)
まで、 一公の勝ち。

私は合駒請求で▲6二飛と王手したが、△5二金と先手を取られた。やむない▲同成銀に、△6七角成の王手。私は▲5八金。これで勝っていると思ったが、よく見ると下手陣は、△4八銀以下相当危ない。
果たして本譜もそう進んだが、△3六桂に▲3九玉で手がなくなり、ここでWat君が投了した。

……。あまりの激戦に、両者しばし言葉が出ない。しばらくぼうっとしていたが、Wat君が「最後は▲3三銀で詰みがありましたね」とつぶやいたので驚いた。
すなわち第10図から、▲3三銀(参考1図)で詰み。

「あ、そうか。上部はけっこう駒がいるし、これで詰みか」
▲3三銀以下一例を挙げれば、△3三同玉▲2五桂△3二玉▲4二飛△同玉▲3三金△4一玉▲5三桂まで。ただし▲4二飛で▲3三飛と打つと、△2一玉で詰まない。ヘタに詰ましに行かないで正解だったかもしれない。
またも沈黙。私は「馬を作れたので…」と口を開き、何となく感想戦が始まった。
Wat君が悔やんだのは序盤の▲6七金右のあたりで、私からの▲7一角が防げないので、指し手に困ったという。
ここでまた、数分沈黙が起こる。私が切り上げるわけにはいかないので、盤面をその局面まで戻したが、やはりWat君から言葉が出ない。

しばらくして、Og氏がきた。将棋を見せてよ、とリクエストされたので、何となく並べ返す。しかしお互いうろ覚えで指し手が再現できず、Og氏から呆れられた。
いろいろやったが、第3図では△5四歩(参考2図)と再び角道を通して、上手十分の結論が出た。

「(本譜は)△8二角に▲5六金と出られて、終わったと思いました…」
とWat君が頭を垂れた。
さらに大野八一雄七段にも加わってもらったが、そもそも私の▲5四銀からの動きがおかしいとのこと。仮に1歩を得できても、▲5四銀成とした形はそれほどよくないという。
そういえば、大山康晴十五世名人の穴熊退治には、「▲5四歩」が出ていた気がする。
以降は、大野七段とOg氏の適切な助言を聞くばかり。私は終盤がグダグダで、反省点も多かった。
ただ、「元」とはいえ、奨励会2級に勝てたのは大きな自信になった。かつて塚田正夫名誉十段は「勝つことはえらいことだ」と言ったが、まさにその通り。秒読みの中諦めず、よく私は勝ち切ったと思う。
感想戦が終わり、Og氏に対局を所望されたが、時間も時間なので、やめておいた。
「じゃあ明日に取っておきましょう」
とOg氏は言ったが、私は翌日も来る気はなかった。

食事はいつものインドカレー屋となった。ではここで、席の配置を記しておこう。

Wat W 少女 少年 Shin
               壁
一公 大野 Og 佐藤     入口

私はいつも入口近くにいることが多いのだが、今回はなぜかこうなった。
美味しくカレーを食べ、食後はゆんたく。
Og氏が「アメリカの学者の研究によると、誕生日に死ぬ人が圧倒的に多い」との珍説を紹介し、これがけっこう盛り上がる。
私たちは一斉に反論したが、Og氏は意に介さない。この説に絶対の自信を持っているようだった。
だが、真偽のほどは分からない。
コメント
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