
第2図以下の指し手。
▲3四角△4三歩▲5三歩△4二玉▲3六銀△3八と▲同玉△3六歩▲5六角△3七金
まで、一公の勝ち。
Sak氏は▲3四角と打ったが、失着。ふつうに△4三歩と受けられて、二の矢がない。とはいえここは、▲3四角と打ってくると思った。これは対局者のみが分かる心理である。
Sak氏は遅ればせながら▲5三歩と打ったが、今度は△4二玉と寄られて、寄りがない。
Sak氏は慌て気味に▲3六銀だが、私は△3八とから△3六歩とし、これは私の勝ちになった。▲3六銀では▲5六角があり、まだ先手に分があったのではないか。
△3七金まで、Sak氏の投了。感想戦に入るが、第2図で▲5三歩は、△同金▲同金△同玉以下、後手玉が端に逃げる変化があったりして、意外に難しい。それで、▲5三歩△同金のとき▲4一角が発見された。以下△4二玉▲3四桂△3一玉▲2三角成で先手勝ち。
となるならば、▲5三歩△同金の交換もいらない理屈だ。整理すると、第2図からふつうに▲4一角で、先手が勝ちだった。この詰みが見えていたら、私は受けにならない受けを指して、負けていただろう。
だが…。私が十分のはずだったのに、なぜ非勢になったのか。第1図から△8六歩▲同歩△4五歩▲6六歩に△4六歩の取り込みがまずかった。途中から感想戦に加わったO氏によれば、ここで△5五歩(参考図)があったらしい。

これで、どの変化になっても後手指せる。本譜、△4五歩と一歩を損して攻めを呼び込んでからは、後手に勝ちがなかったようである。
それにしても、先日のShin氏との将棋もヒドかったが、本局も即詰みの将棋を拾うとは、それ以上である。まるで投了しないのが最善手のようで、私のポリシーに反する。
「悪くなっても投了しないFuj流を貫けば、勝率は上がります」
というFuj氏の高笑いが聞こえてきそうで、自己嫌悪に陥るばかりだ。これでベスト4に残ったが、ちっともうれしくなかった。
さて、とにもかくにも準決勝である。相手は30代前半の男性氏で、1回戦の彼とは将棋仲間のようだ。私の将棋を見られていたが、それがどう出るか。
私の先手で相居飛車となり、▲3四飛と横歩を取る。対して男性氏は△3三桂と跳ねた。
そうきましたか! これはKun氏が得意にしている手で、私も苦杯をなめた経験がある。これはイヤな将棋になったと思った。
私は▲7五歩~▲7六飛とするが、後手は△5四歩~△5三銀~△3一角。こうやって7五歩を取りにくるのが後手の狙いで、Kun氏にもやられた。
本局は▲7四歩~▲7三歩成△同銀上となったが、先手は歩損を避けられたものの、後手の玉頭が厚くなった利のほうが大きい。私の飛車は▲9六に蟄居しており、作戦負けである。勝敗はともかく、後手の思惑通りに進んでいるのは、面白くなかった。
右では、O氏と男性氏が、もうひとつの準決勝戦を行っている。戦型は横歩取り。勝敗はともかく、最新型を指すO氏の若さが素晴らしい。
私の将棋は、3筋で戦いが起こったが…。

図以下の指し手。
▲3六銀△3四金▲3五歩△4四金▲4六歩△1三角▲4七金△6五銀▲7七桂△7四銀引▲3七桂△3五金▲同銀△同角▲4五歩△5六歩▲同歩△7六歩▲6五桂△同銀▲3三角成
△5六銀▲同金△同飛▲5七歩△4六飛▲4八金△3六桂(投了図)
まで、男性氏の勝ち。

会場の端では、島井咲緒里女流二段、渡部愛女流初段らが指導対局を行っている。今大会は本戦とセカンドトーナメントがあるので、最低でも2局指せる。私は連敗するだろうから、そのときはまた女流棋士としっぽり…などと考えていたのだが、予想に反して私は勝ち残り、今も厳しい戦いを演じている。いったいどちらが幸せなのだろう。
向こう側では、ミスター中飛車氏とSak氏が指している。これは練習対局だろうか。
▲3六銀と立って、持ち直したと思った。が、△3四金に▲3五歩と打ったのはつまらなかったかもしれない。この位を確保するため、苦労してしまったからだ。
続く▲7七桂も、桂頭にキズを作って、悪かった。とはいえ代えて▲9七角も、△6四銀くらいで先手がパッとしない。とすると、ここではすでに先手が悪いのかもしれない。
数手後の△3五同角に、▲4五歩がかなりの悪手。飛車の横利きを通したものだが、相手の角道を通した罪のほうがはるかに大きかった。
以下は後手にいいように攻められ、▲4八金(最後の悪手。まだ▲5九金だった)に△3六桂まで、私の投了となった。
感想戦。△6五銀に▲7七桂が悪手、は双方が認めるところだったが、▲9七角も先手がパッとしなかった。ではこの局面ですでに先手が指しにくいか…となったが男性氏も否定せず、「実はここでは私がいいと思っていました」の感想であった。
じゃあもっと前、△2五歩に▲7六飛と寄ったのが疑問、▲2八飛だったか…と思うが、飛車を引くくらいならこの戦型を指すな、ということになる。
結局私に実力がなかったということだろう。ただ、初対面の相手と指すときは、対抗形が無難だと思った。
真剣勝負を立て続けに指して、ちょっと疲れた。右は熱戦が続いているが、O氏の分が悪いように見えた。
(つづく)