日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

スティーブ・ハミルトン著「解錠師」

2013-01-25 | 読書
昨日読み終えた本
スティーブ・ハミルトン著「解錠師」ハヤカワ文庫



昔、母方に金庫屋の伯父さんがいた。
地方の商店街で金庫を売りつつ、金庫開けも仕事にしていた。
「簡単に開けられる金庫でも、難しそうに開けると
 お客が喜ぶそうよ」母から聞いていた。
短時間でサッと開けてしまうと、お金を払いが悪くなるそうだ。

そんな事を思い出して読み出した。

アメリカ探偵作家倶楽部賞、英国推理作家協会賞受賞作品にして
週刊文春'12年ミステリーべスト10 海外部門第1位

年明けからミステリー漬けで垣根涼介「ボーダー」
堂場瞬一「標的」を読み、パトリシア・コーンウエル「血霧」の読みかけの為か
暴力シーンで何回も休んで読み終えた。

1990年 悲惨な事件にあい、死の一歩手前で生き延びた少年マイクル
ショックから口がきけなくなっていた。
小父さんに預けられ、孤独な高校生活を送りつつ
絵を描く事とロックされた鍵を開ける事を楽しみに育ち17才
同級生に強要されてお金持ちの家に忍び込み、一人だけ掴まる。

被害者宅の手伝いをする事を条件に釈放されるが
被害者の娘を救うべく、解錠の腕を磨き
犯罪の片棒を担ぐ1999年~2000年
目の前で人が殺され、殺されそうになる事数回

罪悪感を庇護すべき人に置き換え、全てを乗り越える。

絶体絶命の場面で警察に助けられて刑務所入り10年
庇護した人と繋ぎ合える結末を残し、物語は終る。

口がきけない故か、犯罪者を見る目は正確
かつ犯罪者の本音を聞き、信頼されてゆく
現代人は概しておしゃべり、人の話を聞く事よりも
自分の事を話したい人が多い。
途中で口をはさみ、話したい人の邪魔をしない(できない)マイクルは
どこでも上手くやって行けてる。

人の話に口を挟む傾向にある私は反省しなければならない
辛抱が足り無い。

辛抱、実行力、努力、継続、知性、職人的気質の揃ったマイクル
人気の秘密は物語展開もさることながら
マイクルの人となり所以だろう。

錠前の開け方は元より、ミステリーファンには必読の一冊です。
ちなみに原題は「The Lock Artist」

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