彷徨う「除染廃棄物」。それでも原発依存から抜けきれないのか

2015-08-12 13:50:41 | 日記

 彷徨う「除染廃棄物」。

      それでも原発依存から抜けきれないのか

 

   福島原発事故に伴う除染の結果、発生した廃棄物の保管に「中間貯蔵施設」なるものが計画された。福島県双葉地区・大熊地区にまたがる約16平方キロの用地である。この設置をめぐり住民と国との間で長い時間をかけ協議が行われた。その結果「保管期間30年以内に持ち出すことを定めた30年法」の制定と、県と対象自治体である「双葉・大熊」に対し合計3010億円の交付金を提供することによって中間貯蔵施設の設置が同意された。後に、地権者住民との契約が残された。この契約の成立については困難が付きまとう課題があることは予測されていた。地権者約2500人。その半数は存在不明と言われている。また未登記のものもあり、法定相続人が100人を超えるというケースもある。当初の予定は平成27年1月供用開始となっていたが、現に7月末現在で売買契約が成立した件数は、僅か5件とも報じられていることからしても工事の着工も望めない状態である。

 そこで計画されたのが「一時保管場」と称するスペースの確保である。工業団地跡など企業が所有する「死に土地」の活用である。その広さは11ヘクタール。そこにフレシキプル・コンテナ5段積みの保管である。「校庭内地下保管の除染物掘り起し撤去を見て思う」を参照。(7月26日ブログ)」

 さて、この一時保管場に搬入されるは「試験輸送」と称する廃棄物である。運搬車両(大型トラック)をどう確保するのか。運搬基幹道路も含めた交通安全をどう確保するのかは未知数でありそこに「試験搬入」なる試みが企画された。しかし、この試みはすでに破たんが予測されている。6月末までに一時保管場に試験輸送された廃棄物は9.000立方メートルであり、今後1年をかけて一時保管場11ヘクタールに43.000立方メートルの搬入が計画されている。しかも現時点で推測される県内の廃棄物総量は、焼却等による減容化を勘案しても2.800万立法メートルである。今後、さらに住民の要望に従いその廃棄物の量は増大していくだろう。「中間貯蔵施設が最終処分場にならないか」の危惧と同様に「一時保管場」も先が見えないとなっても不思議ではない。

 そうした中で、8月11日川内原発が再稼働をされ「原発ゼロ」は消えた。市長、そして県知事はその再稼働を容認する発言をしている。立地自治体の経済確保のためやむを得ないというのがその理由である。原発依存の体質は変わっていない。

 福島の実態をあらためて見て欲しい。汚染物の廃棄処分の方針も成り立たない。汚染水の処理も知見を含めて方針が出せないでいる。廃炉に欠かせない炉内のデプリの取り出しの方策も決められない。しかも使用済み燃料の「最終処分地も含めた方策」も立てられないでいる。

 さらに事故時の住民の避難策についても曖昧のままである。福島の体験の中で「住民の避難」がどれだけ重要であったかは繰り返し、繰り返し語られてきた。しかし、その体験が生かされていない。

 それでも政府は、川内原発に「消すことのできない火」をつけた。同時に立地自治体も「原発依存」から抜けきれなかった。この瑕疵は重い。そのことを、これからも福島から発信をしていきたい。

 

 


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