言葉が通じない・死んだ国会は閉じるべきである

2015-06-22 09:01:40 | 日記

言葉が通じない・死んだ国会は閉じるべきである

   日本領域外の米艦船に対する「集団的自衛権の行使」について

 

  安倍内閣は、国会終了の三日前に過去最長の期間延長を提案し決定した。これを歴代内閣と読み替えれば、会期の延長も、そして「集団的自衛権の憲法解釈の変更」も歴代内閣では考えられない異常なものと言える。まさに憲政史上の悪例として記録に残るものになるだろう。そして次は何が出てくるのだろうかと危惧するのは私だけであろうか。

  さて、この95日間という延長の意味を、安倍首相をはじめ一任を受けた谷垣自民党幹事長は「丁寧な議論を尽くすことにある。熟議国会としたい」と説明している。ではこの間の国会論議は何であったのだろうか。この疑問に対する説明無くして「どこに丁寧・熟議」があるのかと言いたい。「ごめんなさい。今までの論議に丁寧さが欠けていました」というのであろうか。それとも「目標の時間までひたすら稼ぎ、後は数による強行採決をするのか」と訝る。国民の大多数はそのことを望んでいない。さらにコロコロ変わる答弁と最後に繰り返される新三要件の答弁にも理解もできないし、飽き飽きしている。マスコミもここをもっと強調すべきであろう。

  NHKは「国会中継に関するルール」があるとして「特別委員会の中継」を番組に取り入れない。とりわけ「平和安全特別委員会」に関する報道は、ニュース番組でも無いに等しい。そこでもっぱらネット中継を利用する。その中で見て取れるのが、野党の質問に対する首相・防衛大臣の答弁である。まず、まともに答えていない。それどころか個別的自衛権行使の対象として、日本への武力攻撃が発生または発生する危険性が高まった「武力攻撃事態」。あるいは攻撃が予測される「武力攻撃予測事態」。それ以外で国家・国民の安全に重大な影響を及ぼす「緊急対処事態」などの関連法が次々と飛び出す。しかもある時は関連し、あの場合は分離した応答が続く。

  また、これらとは別に「存立危機事態」の規定が飛び出す。その上で「存立危機事態」が起きた場合でも「防衛出動」ができるように自衛隊法を改正すると提案している。これら一連の法案を一括、ごちゃ混ぜに提案されている。しかも答えをはぐらかす。そしてコロコロと変わる。これでは国民の理解が得られないどころか不信をいだくのは当然であろう。その典型的な事例を麻生副総理が提起をしてくれた。「国会議員の地元の皆さん方は理解ができないと言っている。そこで勉強会を開いて頂き講師を派遣したが、それでもわからないと言っている」と。

  そこで、あらためて論議されてきた質疑応答の一例に触れてみたい。

  「日本海の日本領域以外にある米国艦船が某国から攻撃を受けた。そこで米艦船を守り、共同して某国に攻撃を加えるため、自衛隊に出動命令(武力行使)を行うことができる」という事例に対する応答がある。質問者は「日本が直接攻撃を受けていない。しかも領域外である。にもかからわず防衛大臣は自衛隊に武力行使の発動を命ずることができるという。ではその判断をする事態とはどのようなものなのか。具体的に説明せよ」と。この質問に対する防衛大臣の答えは「領域外にある米艦船とは言え、その艦船への攻撃が新三要件である『国の存立が脅かされ、国民の生命・・・・』・『他に手段が無い』・そして『最小限の武力行使』」に当たる場合をもって判断する」と答える。そして「政府としは、座しても自滅を待つということは許されない」と付け加える。

  質問者はさらに詰める。「攻撃を加えるということは反撃も覚悟をしなければならない。その反撃が外国にいる日本人の犠牲を生み、さらに日本領土内へのテロ攻撃が加えられることもあり得る。それだけ重たいものである。防衛大臣の判断基準を具体的に説明すべき」という論議の委員会席上で、総理大臣席からの「ヤジ」が飛び出す「おまけ」までついた。

  「言葉か通じない国会・死んだ国会」。このことを繰り返すのであれば延長国会は意味が無い。直ちに国会を閉じるべきである。