社会保障費の削減ありきの政治にノーを

2015-06-05 12:04:57 | 日記

社会保障費の削減ありきの政治にノーを

 

  若干古いが、毎日新聞(5月3日)「自民・財政再建特命委:社会保障費の削減を提言」との見出の記事を次に貼りつける。

  「自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長・稲田朋美政調会長)は13日、財政再建に関する提言の中間整理を決定した。提言は社会保障費を中心とする歳出削減に言及。6月中旬をめどに結論をまとめ、政府が6月末に策定する財政健全化計画に反映させる考え。ただ、医師会など関係業界や族議員との調整も待ち受け、社会保障費削減の具体策について議論が紛糾するのは必至だ。どこまで有効な歳出改革策を打ち出せるかが焦点となる」。

  政府の発表によれば、2014年度の歳出総額は94兆円・内一般歳出が56兆円、そしてその中に占める社会保障費が30兆円であり、一般歳出比で54%となっている。そして本年4月から3年間をかけて要支援者の予防介護サービスを、介護保険から外し自治体の手による「支援事業」にゆだねる。あるいは要介護1・2の認定者の特老などでの施設介護を認めないという「介護保険制度」の改定が決定された。しかし、それでもまだ生ぬるいとして出されてきたのが、冒頭にあげた「社会保障費の削減」という提言であると見るべきであろう。

  自民党の財政に関する特命委員会(委員長・稲田政調会長)は、高齢化に伴う自然増は年5000億円であり、その根幹である医療費にメスを入れるべきとしている。

  片や経済同友会は、1月21日に「財政再建に関する提言」を発表した。歳入面では2017年4月に消費税を予定通り10%に引き上げるだけでなく、17%まで段階的に追加で増税すべきだと求めている。さらに歳出の面においては、社会保障分野の大胆な改革と給付カットが必要だと訴え、年間5000億円のペースで公費削減をすべきと提案している。

  そして具体的な削減策として、医療費の本人負担の70歳から74歳の段階的な1割から2割という措置を返上し、現在1割の75歳以上も含めてすべて「原則3割」に揃えるべきとしている。加えて価格の安い後発医薬品の利用促進・病院やクリニックでの受診時に毎回「100円」の受診料(本人負担)の設定・在院日数の削減・要介護1・2、要支援に対する給付の抑制・介護サービス自己負担1割から2割の提言をしている。それは今や経営団体の提言を超え、すでに政府内において「社会保障費削減への道」が敷かれていることは自明である。

  さて前に戻る。介護サービスの「自治体丸投げ批判」に対し政府(厚労省)は、従来通り介護保険財政から支出されるから心配ないと説明している。しかし、今後ますます増えていくだろう高齢者の介護に応じた財源の保障については何も明確にはしていない。明確にされているのは「自民・財政再建特命委:社会保障費の削減を提言」という確固たる方針である。どこに「心配ない」という説明の根拠があるのか。またしても政府は「二枚舌」を使うのか。国民もそうだが、「丸投げさせられる自治体」はノーの意志を表明すべきである。この間、地方選挙が実施されたが、その選挙戦の中でこのことが論じられたという報道は見ない。東日本震災地の選挙はこれからである。是非とも論じて欲しいし、住民はその選択を明らかにすべきである。