全国津々浦々に至るまで、景気回復の恩恵が受けられるように

2014-01-10 11:25:47 | 日記

   「全国津々浦々に至るまで、景気回復の恩恵が受けられるように」と安倍首相は述べている

 

年末の東京証券取引所の大納会に参加し、再び「アベノミクスは買いだ」と発言した。

毎年100万円を上限に、株式投資などで得る配当金や売却益を、非課税とする優遇処置が執行される。ある証券会社のチーフは「620万口座ぐらいができるだろう。1.3兆円ぐらいの資金が流れ込む」と述べている。

そうだと思う。その流れ込んだ膨大な資金は、さらに膨大な利益を証券会社にもたらすであろう。

優遇処置を求めて「買い」に参加するのは、国民の何%か。それも示してもらいたいものである。

そして、年頭にあたって安倍首相は、またぞろ「この春の景気回復の実感を、収入アップという形で、国民の皆さんにお届けしたい」と述べた。

「全国津々浦々まで」、「国民の皆さんに送る」のは、何を、どのように、どの程度のものなのか。

期を同じくして、保険金融会社のオリックスが、入社1年目から30代半ばの社員3500名を対象に基本給を3%引き上げる。なおグループ内(7500名)の社員全員に今夏の賞与平均10%を引き上げるとの発表が報道された。

同じ金融界でも、証券大手の野村証券が、社員の3割を対象に平均2%。大和証券も中堅、若手を対象に賃上げを検討しているという。

すべてが、あたかも「アベノミクス」を押し上げるかのように。

このように「陽のあたる企業の一部社員」へのお届けもの。では同社に働く「非社員の労働者」はどうなっているのだろうか。

賃上げ闘争もこれから本格的に始動する。いわゆる大手と称される企業の社員には、ベースアップであれ、一時金であれ賃上げが望めるかも知れない。

しかし、多くの非正規、さらに下請け協力会社の労働者はどうであろうか。

中小下請け企業も、それなりの仕事量は拡大していると述べている。だが、その仕事の発注金額は依然として変わらない。それどころか値引きも要求される場合もある。

今は、「借金をせずに、機械、設備を維持し、原材料を購入することであり、賃上げどころではない」と経営者は述べている。

そこに働く労働者は、全労働者の約7割を超える。

「国民の皆さんに送る」というのであれば、「下請け協力会社に発注する価格を上げよ」と、アベノミクスを支える大手の経営者を詰めなければならない。同じ屋根の下で働く派遣労働者の賃金を上げることを、派遣会社と、受け入れている元請会社の経営者に求めなければならないだろう。

阿部首相には、その具体的事実を、実行力をもって示してもらいたいものである。

それでこそ、本当の「おくることば」であると思うが、いかがだろうか。