気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

奈良県立美術館、没後40年幻の画家「不染鉄」展へ

2017-10-21 14:23:02 | 美術館・博物館
今朝も雨、原因は列島南岸に居座り続けている秋雨前線で

超大型台風21号により押し上げられ、四国では大雨警報も。
月曜日明け方には近畿から東海地方にかけ上陸する可能性が、
今日からオリオン座流星群が良く見えるはずが、ムリですね。
明日22日の京都三大祭りの一つ「時代祭」も今年は中止に、
予想だにされなかった総選挙に季節外れの巨大台風、
来月はトランプさんの外遊(憂)も今後予定され、波乱含みの
世界情勢、先を読めぬことが続きます。何事も無きように。
 
今日は『直哉忌』、大正14年4月から昭和13年4月の間に
高畑に居宅を新築し「暗夜行路・後編」を書き上げ、
奈良を愛された志賀直哉、随筆「奈良」の最後に
「兎に角、奈良は美しい所だ。自然が美しく・・・
 御蓋山の紅葉は霜の降りやうで毎年同じやうには行かないが
 よく紅葉した年は非常に美しい。5月の藤。それから
 夏の雨後春日山の樹々の間から湧く雲。
 これらはいつ迄も奈良を憶う種となるだろう」と

同様に奈良に思い入れがあり、若き西ノ京時代と終戦後から
1976年まで奈良登大路で過ごされた幻の画家『不染鉄』、
今年の7・8月に東京ステーションギャラリーで開催された
没後40年「不染鉄」展が、ここ奈良の県立美術館に。

一言で言えば、”ほっとした味わいのある文章とともに
精細な筆致や彩色が重ねられ、情感深い作品に”
初期の作品が何とも言えず、タイムスリップを

五部構成になっており、180点の作品群です。
Ⅰ【郷愁の家】
家をテーマにした郷愁の思いを込めて描かれた初期の作品群
・暮色有情、大正期 絹本墨画着色金彩・軸装 個人蔵
 朦朧体で描かれ、烏が印象的
・秋声 1918年 絹本着色・二曲屏風 奈良県立美術館蔵
秋声
・奈良西ノ京秋景 大正末期-昭和初期 絹本着色・額装 
 鉤勒法を用い、手前に藁葺きの民家と柿の木の赤い実が
 印象的で、稲刈りの終わった田の先に薬師寺東塔も。
・思出之記 1927年8回帝展 個人蔵
思出之記(部分)
Ⅱ【憧憬の山水】
自然を愛し旅に憧れた不染が、各地で目にした風景などの
水墨山水画が展示され、軽妙な筆致と味わい深い文章が・
・雪景山水 1935年頃 絹本墨画・軸装 個人蔵
 丁寧に雪を胡粉で描かれ、光り立体感が
・南都覧古 1942.11.6 紙本墨画・巻子装 個人蔵

Ⅲ【聖なる塔・富士】
山水図絵(伊豆の追憶)など終生のテーマの富士図
懐かしさと共に、厳かな神性を漂わせます。
・山水図絵(伊豆の追憶)
遠くに日本海までもが・・・
山水図絵(伊豆の追憶)
・薬師寺東塔の図 1970年 個人蔵
曙の光で、薬師寺東塔が手前の大池の水色と、霧の白が
混ざり合って若草山にまでのび、幻想的な風景に。
薬師寺東塔の図

Ⅳ【孤高の海】
伊豆大島時代の思い出より水墨画法で表現された海の絵で、
神秘的な波間の情景に映し出された不染の心情が・・・
・廃船 1969年 京都国立近代美術館蔵
廃船
・南海之図 1955年 愛知県美術館蔵


Ⅴ【回想の風景】
晩年の作品で、老境に入り、一人悠々自適に暮らす不染
奈良女子大学生等との絵葉書や焼き物、木彫作品などが・・・
・いちょう 昭和40年代 紙本着色・額装 個人蔵
 幼少期の思い出で、極楽浄土を表しています。
いちょう
・落葉浄土 1974年紙本‣着色金彩‣額装 奈良県立美術館蔵
落葉浄土

第69回正倉院展の前に予習が

2017-10-20 08:13:59 | 日記
今朝も雨は降ったり止んだり、太陽さんのお顔も期待薄、
ここ一週間以上日光不足が続いており、太陽光発電も

庭の野菜達も当然生育が悪く、スムージー用にするのも
ためらうほど。でも仕方がないので採りに降りると、
野菜から一斉に虫が飛び立ち、穴だらけの葉さえも。
相方のブツブツと言う声が聞こえてきそうで少しだけ、
でもちゃんと、お相手はしておりますよ。

というのも相方と一緒に昼から奈良県立美術館で開催中
特別展「没後40年 幻の画家 不染鉄展」に(後日紹介予定)
ほのぼのとした懐かしい気分に浸ることができ、辞すると
西側の県立文化会館の展示室へ向う人が見えました。

入口へ向かうと望むと、家々の間から大仏殿の鴟尾が、
こんなに近く見え、若草山と遺跡発掘中の会館跡も
 
そして南には興福寺の五重塔や紅葉の色づきも。
 
文化会館の展示室では「アトリエ505作品展」と「文化祭」が
催され、文化祭の一つの展示に目が・・・
「正倉院はシルクロードの終着駅」と題された展示が

10月28日から始まる「第59回正倉院展」で展示される作品が
 
紹介されており、写真があまりにもきれいで眺めていると
担当者から、”パンフレットの「羊木臈纈屏風」には、
樹木に遊ぶ2匹の猿と、鹿が見えますか”と
”写真があまりにもきれいだったから”っと問いますと
”絵葉書からで宮内庁正倉院事務所に許可を得ております”
大変なんですね。(写真をクリックすると説明文も)
・羊木臈纈屏風(ろうけちのびょうぶ ひつじき)
羊木臈纈屏風
・漆胡瓶(しっこへい)、巻胎技法で、木製で鹿‣鳥‣草花模様
漆胡瓶(しっこへい)
・瑠璃坏 金属の足に注目、コバルト発色
瑠璃坏(るりのつき)
・碧地金銀絵箱 モダンな色使い
蓋表
       碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)

・円鏡平螺鈿背 四羽の向かい合った鳥
円鏡平螺鈿背(えんきょうへいらでんはい)
・螺鈿紫檀五弦琵琶 インド起源の琵琶で世界でただ一つ
螺鈿紫檀五弦琵琶
・漆金薄絵盤 丹や朱で煌びやかな獣や獅子
漆金薄絵盤
・伎楽面木彫 752年大仏開眼絵で使用、悪役 
伎楽面木彫
・緑瑠璃十二曲長杯、兎やチュ―リップが中国写し
 緑瑠璃十二曲長杯
・撥鏤(バチル)の彫り方、ものさし
撥鏤(バチル)の彫り方
・花氈(かせん)第21号、フェルト 
花氈(かせん)第21号
・紅牙撥鏤尺 象牙を染めた一尺のものさし、
紅牙撥鏤尺

でも私が撮った写真は暗くてすみません。
ここで予習を済ませられますよ。
10月28日が待ち遠しいですね。

追加)20日6時半
・金銅水瓶、異国情緒溢れる
金銅水瓶
・東大寺開田地図
東大寺開田地図
・漆槽箜篌
 漆槽箜篌模造
・槃龍背八角鏡
槃龍背八角鏡
・最勝王経帙、インド発祥の空想上の鳥・迦陵頻伽
最勝王経帙

合わせて58件の宝物が出陳されます。

国宝指定された木簡の「地下の正倉院」展へ

2017-10-19 18:12:51 | 美術館・博物館
昨夕からまた雨が降り、今朝も降り続くなかお稽古に伺うと、
奈良市内は雨が止みそうで、若草山の上には薄日さえも。
降ったり止んだりで、寒く困った天候です。
お稽古は五行棚で初炭をさせて頂き、用事のため退席に。


昨日のブログ、長屋王の話の最後に平城京跡資料館で開催中の
特別展「地下の正倉院展」の紹介をしましたが、偶然にも
昨晩NHK総合「探検バクモン」で、
奈良文化財研究所・驚き!平城京の民のホンネ」と題され
国宝指定された木簡等から、驚きの平城京ワールドを紹介されておりましたね。
解説者の奈良文化財研究所主任研究員・馬場基さん、木簡は
古代の「ショートメール」と言わしめる専門家ですが、以前
聴講した講演時よりもテンションが高くダジャレも飛び交い、
東京出身なのに、関西人ぽいからみに・・・
なお再放送は10月25日(水曜日)午前3時40分からです。

平城京跡資料館の特別展「地下の正倉院展」を紹介します。
いにしえのあの日にごみとして捨てられた木簡が、
いまや国宝にまでのぼり、いろんなことを教えてくれるはず、

入り口から東を向けば第一次大極殿、遠くに東大寺や二月堂も
  二月堂
常設展を通り抜けると出口のむこうに大きくはないが企画室
ここが特別展入り口になります。
 
【下ツ道西側側溝SD2700出土木簡】
平城京になる直前の時代を描き出します。

3.何かを捉えたことを報告する?木簡文書
逃亡したを捉えたことの報告か。
  

【内裏東大溝SD2700出土木簡】
平城京内の大きな排水路でほぼ年代順に堆積する

7.万葉仮名で難波津の歌を記す?木簡

10.天皇の命令を命婦が取り次いだ木簡

12.カツオの荷札の断片

15.備前国からの醤の荷札1


【大膳職推定地出土木簡】
1961年1月24日最初の木簡が見つかった地点です

38.「海藻根」の付け札?、メカブのこと

40.「未滑海藻」の付け札、アラメのこと

41.井戸SE311出土の木簡


【内裏北外郭官衛出土木簡】
1963年8月にゴミ捨て場が木簡研究の礎に
54.「西宮」と書かれた木簡1

55.王名を列記した木簡2、奈良王か

57.アワビの付札1、鰒の魚辺が虫辺に


【造酒司出土木簡】
醸し出す日の名残り

67.清酒の付札1

68.大甕の付札


【内膳司推定地出土木簡】
ゴミ捨て場の一つ

80.「宮鵜」に関わる文書木簡

82.「沙山」からの材木の進上状

Ⅰ期は以上です。
Ⅱ.Ⅲ期も楽しみですね。

軸は「山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁」で

2017-10-18 14:23:15 | しつらえ
今朝は久しぶりの朝日が昇ると発生した放射霧も薄れて
幻想的な風情、晩秋を迎え早春まで度々みられる光景です。
  

神無月の4日は十五夜、6日が満月で20日はもう新月に
遅くなりましたが名残で、月にまつわる軸を掛けました。
  10/16
書は、佐保山堯海さん(1907-1990)
東大寺209代管長にして、仏像写真家の顔を持つ異色僧で
同時代を生きた入江泰吉の写真とは違い、クローズアップや
極端なアングルで、光と影のコントラストを強調した作品にで、
書籍としては「東の大寺」S35年淡交新社刊や
「東大寺」S48年 座右宝刊行会刊が発刊されております。

山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁
山川、域を異にすれども、風月、天を同じゅうす。
     諸の仏子に寄せて、共に来縁を結ばん。

天宝元年(742)10月、日本僧の栄叡と普照が鑑真のもとを訪れ
正式な受戒システムがない日本仏教を救うため、誰かを派遣して
ほしいと懇願されたおり、話を聞き終えた鑑真は月の話に
唐大和上東征伝』に載っております。
”「聞くならく、日本国の長屋王、仏法を崇敬し、
 千の袈裟を造り来りてこの国の大徳衆僧に施す。
 その袈裟の縁の上に四句を繍着していわく
 『山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁』と。
 此をもって思量するに、誠にこれ仏法興隆し有縁の国なり”と

5回目にして日本に来られた鑑真和上、でも去ること26年前に
長屋王の変にて、藤原氏との権力闘争に敗れ亡くなられた
仏国を目指した長屋王、唐に贈られた袈裟千枚の話は仏心篤い
エピソードに。そして来日されたその後の鑑真和上も、
授戒を与えた後は、冷遇され唐招提寺へと・・・
勝った?藤原氏、光明子が立后されて住まれた地はなんと
長屋王邸跡で、1986年、奈良市二条大路南でデパートの建設に
ともなう発掘調査で11万点以上の木簡が発見されました。
木簡の中には多くの「長屋王」の字が見られることより、
そこが長屋王の邸宅であったことが判明しています。

平城宮跡出土の木簡はこれまで、2875点が重要文化財指定を
受けており、去る9月15日、新たに309点の木簡を加えた5件
計3184点の木簡が「平城宮跡出土木簡」として国宝に指定され、
木簡としては初の国宝指定となります

このことを記念し2017年度は、国宝指定の答申を受けた木簡の
実物を出展する特別展が平城宮跡の「平城宮跡資料館」で、
10月14日(土)~11月26日(日)で開催中です。
なお会期中、木簡の展示は3期に分けておこなわれます。
Ⅰ期:10月14日(土)~10月29日(日)
Ⅱ期:10月31日(火)~11月12日(日)
Ⅲ期:11月14日(火)~11月26日(日)
一つの書から、いろんなことを学べました。

追加)
昭和50年(1975)、中国仏教協会会長の趙樸初の句に
「和風舞長屋(和風、長屋に舞い)」と
長屋王の詩句は、現代にも生き続けており、
日中友好、中日友好を願わずにはおれませんね。

「長楽」の掛る奈良「かこむら」で

2017-10-17 13:03:05 | グルメ
雨の朝に、お昼頃から奈良では回復すようですが・・・
春日山から若草山も雨に煙っており、その東方にある
AM9時
伊勢神宮」では15日深夜から17日夕刻まで「神嘗祭」で、
天皇陛下の大御心を体して、天照大御神に新穀を奉り
収穫の感謝を捧げる祭典になりますが、ずっと雨、
奉拝できませんが最後の内宮の御神楽では晴れると

庭の蜜柑、裏作で今年は数は少ないですが、
少しづつ色づき始めてくれています。収穫が楽しみ!


今年は本当に天候不順で、高嶺の花の国産「まつたけ」は
より一層高値だそうですが、「土瓶蒸し」だけでもと
奈良・懐石料理「かこむら」へ先週末お友達と伺いました。
駐車場の二階にあるこじんまりとしたお店ですが、
今年もミュシュラン1つ星だったので、お忙しいはずが、
当てが外れました。総選挙の影響なのでしょう。
カウンターの前に、東大寺別当守屋弘斎長楽」の額があり、
長く楽しんで頂きたいとのオーナー料理長のお考えが

いつもの椅子席の小部屋に通されます。

殿方は生ビール、私たちはお茶で、運ばれてきたお料理は
・八寸、兎さんの蓋を取ると
 
もう殿方は日本酒、「呉春」を頼んでいます。

エビと松茸の土瓶蒸しが、運ばれてきました。そこで
食べ方を伺うと、皆様好き好きにされていますとのこと
私は、お猪口に出汁を取り、まずは香りを楽しみ、一口
美味しいですね。そしてスダチを絞り再度出汁を味わうと
香りも味も変化します。具材も頂くということを繰り返す
度に味の変化を楽しめ、考案された方に脱帽、でも
あっという間に無くなりますね。
 
中トロと烏賊のお造り

殿方はもう次の日本酒へ、奈良の地酒「梅の宿」

サワラの塩焼き、秋の鰆は油が乗り最高ですね。

炊き合わせ

もう日本酒は終わりのはずが、最後に広島「賀茂泉」を

鯛、みょうがとじゅんさい?
 
ゴボウの炊き込みご飯

デザート

二時間ほどでお暇を、御馳走様でした。

中置で五行棚を

2017-10-16 13:23:47 | お稽古
今日も雨の一日になり、朝からは自宅稽古でやっと中置で
五行棚の扱いにて、薄茶・濃茶をさせて頂きました。
「中置」とは、新版・茶道大辞典(淡交社)によれば
”風炉点前の際、道具畳の中心に風炉を置くことをいう。
 十月初旬から開炉までの時季に行う。火気が恋しくなる
 時季に客のほうへ風炉を近づけ、反対に水指を勝手付の
 ほうへ遠ざける心尽くしの扱いとされる。”と
忘れないで「細水指」を使い、水は八分目にと。
 
名残の時期になりますので、やつれ風炉などの侘びた風情も
好まれるようですが、藁灰の手当てする時間がなく断念。

五行棚」の扱いでは、他の棚とは違い、湯返しはしません。
水指を地板に置かず、土風炉を据えるのがお約束。

稽古に来られたお二人、愉しんでいただけたでしょうか。

ゆっくりしてはおれなく、早々にお昼をいただくと今週末
初めてのさる文化祭で呈茶のため、午後二時からの追加の
お稽古、そして遠来の先生を迎え「江月会」の食事会に。
相方の冷たい目を気にしながら、出かけるのですが、
どうして、こんなに忙しいのでしょうか?

「雲井坂雨」で南都八景の元祖「瀟湘八景」を

2017-10-15 18:16:01 | お稽古
シトシト降る冷たい秋雨、11月初旬の気温で続くと、
外に出るのも億劫になりますが、月一回の先生のお稽古日、
伺う途中、若草山に昇る水蒸気を背景に、東大寺大仏殿が
浮かび上がりまるで墨絵の世界ですが、一色だけ鈍い光りを
放つ鴟尾を目にすると、心が不思議と引き締まります。
朝からは「中置の初炭」と「壺荘付花月之式」お稽古、
菓子は奈良‣樫舎さんの「栗きんとん」の美味しかったこと
午後からは「軸荘付花月之式」をご指導していただけました。

壺荘付花月之式」とは、
平花月之式に小習事十六ヶ条の「壺荘」がついた式になり
葉茶壺の扱いを花月之式の中で教えて頂けました。
簡単には「壺荘」に薄茶三服点てで、亭主お一人に客四人
そして付物花月に準じておりますね。
壺荘(つぼかざり)」は新版‣茶道大辞典(淡交社)によると
”口切茶事のときの茶壺の扱いで。茶葉を詰め封印をした
 ままの茶壺に、口覆をかけ緋の打紐で結んで床に飾って
 おき、入席後、客の所望によって拝見に供する。
 表千家では「飾」の字を用い習事十三ヶ条の一つ”と

軸荘(じくかざり)」は
”外題荘りともいう。軸物が名物あるいは宸翰(しんかん)‣
 拝領物などの場合、軸を巻いたまま二つ折りにした帛紗か
 軸盆に外題が上になるようにのせて床に飾っておき、
 客の席入り後、正客の所望で床にかける。
 表千家では「飾」の字を用い習事十三ヶ条の一つ”と
 *宸翰とは、天子の直筆の文書

午後から雨足が強まった中、帰り道、雲井坂を通った時、
奈良(南都)八景」の一つ「雲井坂雨」の話になり、
グーグルマップより
今日のお軸、中国の瀟湘八景(しょうしょうはっけい)
描かれ、本家本元の八景だったことなどお稽古のことに。
さらに進むと、東大寺大仏殿の鴟尾も遠目に目にすると
わが社中でも「軸荘付花月之式」はできるでしょうが、
「壺荘付花月之式」は?、
出来るように精進しなくてはとの思いが・・・。

付記)南都八景とは
「春日野の鹿」「猿沢池の月」「佐保川の蛍」
「南円堂の藤」「東大寺の鐘」「三笠山の雪」
「雲井坂の雨」「轟橋の旅人」に

大和文華館「柳沢淇園 ー文雅の士・新奇の画家」展へ

2017-10-14 17:38:20 | お稽古
今朝から孫の運動会、昼食の終わる頃に降りだした雨に
驚き、これを契機に私達は帰宅しましたが、ポツリ程度で
最後まで運動会を終えることが出来たとのメール。
走り踊りし運動場を駆け回って大きくなったものです。
よかった風を引かないでね。


特別展「柳沢淇園ー文雅の士・新奇の画家ー」展が
10月7日~11月12日迄で開催中の大和文華館
季節が戻ったかのような暑さから一転して雨の中、
多数来館されており、こんな天気で平日なのに・・・
遠来のお客様MIHO MUSEUMさんからで、
この特別展に作品を三点貸し出されているからでしょうか
解説していただけたのは、宮崎もも学芸部係長
時間内で、きっちりとした解説で解かりやすいお話しでした。

始まりは『柳沢淇園(やなぎさわ きえん1703~1758)』とは、
甲府藩主柳沢吉保の筆頭家老の次男として生まれた上級武士、
次の藩主吉里の大和郡山転封後、「里恭」と改名しており、
狩野派の絵はすきでなく、中国の文化を黄檗僧より
積極的に吸収し、新しい知と美を探求したようで、
40歳を過ぎ上級武士として藩を盛り立てつつ、好きなものを
濃彩で精緻に描く道釈人物図や花卉図、指で描く墨竹図など、
新奇な魅力に満ちた絵画や洗練された書を残しておられ、
江戸中期、胎動期であった文人画に光彩を放ち、その後の
池大雅など多くの文人の尊敬を集めたが、明治以降なぜか
その名も忘れ去られてしまい、この展覧会は約50年ぶりで
日本の文人画の先駆者「淇園」の生き様に迫る内容でした。

八部構成で、前後期と作品の入れ替えがあります。
Ⅰ.【淇園の境遇ー主家と生家】
欽考御本掛 1704年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵
 「里恭(さととも)」と記載され、26歳で処分されたとも
楽只堂年録 1703年 郡山城史跡・柳沢文庫保存会蔵

Ⅱ.【淇園の関心 ー黄檗美術と古画ー】
 黄檗僧の逸然系の描き方を勉強しています。
達磨図   逸然性融筆 17世紀 神戸市立博物館蔵
群仙星祭図 蘭渓若芝筆 1669年 東京国立博物館蔵
 仙人は8人が16人描かれております。
関羽図粉本 伝渡辺鶴洲筆 1806年 神戸市立博物館蔵
 よく似た構図を淇園は描き、見本としたのでは
梅花小禽図 上野若元筆 1711年 個人蔵
 枝先が同じように描かれる
臥遊千里図画冊 明末~清時代 唐招提寺
  陶淵明?睡童子の画材に

Ⅲ.【淇園の人物図】 
羅漢図 柳沢淇園筆 1738-1740年 恵林寺蔵
 くまどりとコントラストの強さ
関羽図 柳沢淇園筆 1745-1748年 東京国立博物館蔵
 日本で最初?の関羽図で背景はグレーで服に龍の絵が
 遠近法的な描き方を意図的にしていない
関羽図

関羽図 柳沢淇園筆 個人蔵 
 ややあっさりと描き、図形の均一化
関羽図

寒山拾徳図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
 エキゾチックで奇怪さも

睡童子図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
 細密な描き方、嵌入のある花瓶に瓶花を(中国文化)
睡童子図

布袋図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
大黒天図 柳沢淇園筆 MIHO MUSEUM蔵
 米俵の上で小槌を振る大黒さんの原型で
 蓮の葉で手は印を、口の歯も一本づつ描く
大黒天図

Ⅳ.【淇園の花果図・花鳥図】
果物籠図 柳沢淇園筆 18世紀 頴川美術館蔵
果物籠図
 
蘭花果実図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
 瓶花と吉祥の果物で、無のつぶつぶや青磁の嵌入も
 蘭花果実図

蘭石図 柳沢淇園筆 静嘉堂文庫美術館蔵
雪中梅花小禽図 柳沢淇園筆 個人蔵
 枝ぶりが並行的な構図、胡粉で雪を、
 黄鳥のピンク色の足も細かいですね。

Ⅴ.【淇園の墨戯】
指墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
 中国から伝わり、日本で初めてで池大雅に教えたか?
 指の腹を上手に使い、墨の濃淡で葉を表す。
指墨竹図

墨竹図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
墨蘭図 柳沢淇園筆 18世紀 個人蔵
 金箔を絹の表面だけでは無く、絹の裏側に張り付けた
 裏箔の技法で月の光を表す。

Ⅵ.【淇園の墨跡・書簡】
 なかなか良い字で、一行書が秀逸で、
 お手紙の書き方も五段で斜めに線を引いてあり、
 公的な書との使い分けもされ、藩の借金のお願いも
五言律詩三行書 柳沢淇園筆 個人蔵
香弁上人宛書簡 柳沢淇園筆 大阪府立中之島図書館蔵

Ⅶ.【淇園の著作・版本】
『ひとりね』写本 天理大学附属天理図書館蔵
  20歳台で書かかれ、多才で教養の高さを表す
『日記』 柳沢淇園筆 宇賀志屋文庫蔵

Ⅷ.【淇園周辺の新潮流 ー南蘋風と文人画ー】
 唐絵から、濃厚な画風は南蘋そして若冲に繋がるが、
 複雑な若冲に対し淇園は綿密な描き方になります。
海棠黄鳥図 鶴亭筆・柳沢淇園賛 長崎歴史文化博物館蔵
牡丹錦鶏図 柳沢信鴻筆 1765年 柳沢文庫保存会蔵
 御殿様も上手に書かれています。
山水図 池大雅筆・柳沢淇園賛 個人蔵
墨竹図 木村蒹葭堂筆 個人蔵
 淇園の墨竹図と比較して濃淡だけで奥行きを表す

文人画の主流の柔らかな筆を用いた「南宋様式」とは違い
濃彩で精緻に描く淇園の画風を十分味わえました。

京都でチェロとピアノのデュオの夜を

2017-10-13 13:40:20 | 音楽
神無月の一夜をチェロとピアノのデュオを鑑賞するため、
今にも降りだしそうな京都コンサートホールへ、

3Fのアンサンブルホールムラタは、いつもと雰囲気が
スタッフが多いのです。理由はNHK BSプレミアム
月曜~金曜 午前5時~5時55分「クラシック倶楽部」の
収録があるからで、放送は未定だそうです。
以前の放送時間はもう一時間遅く朝の時計代わりだった
番組でしたのに

マキシミリアン・ホルヌング&河村尚子デュオリサイタル
Maximilian Hornung (Cello) &
     Hisako Kawamura (Piano) Duo Recital
ピアノの河村尚子さんの演奏に興味が、
8月6日のNHK Eテレ クラシック音楽館に登場されており、
6月24日のパーヴォ・ヤルヴィ指揮N響第1862回 定期公演
Aプログラム サン=サーンスのピアノ協奏曲の
躍動感あふれる演奏をTVで鑑賞していたからです。
もちろん、19歳にしてドイツ音楽コンクール優勝の
ドイツ期待の若きチェリスト、ホルヌング観たさも。
このお二人2016年10月に英ロンドン・ウィグモアホールに
デビューを飾られており、いままさに『旬』のデュオで、
みずみずしいエネルギーが導く躍動する音の世界で、
次の時代をつくるデュオとのふれこみはいかに・・・
ツアー予定は
10月9日の山形・白鷹町文化交流センターAYu:m(あゆーむ)
10月11日の東京・紀尾井ホールを終え、昨日の京都で3回
入りは7分?でプログラムは
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op.38
 低音から始まる主題が館内全体に響き渡り、引き込まれ
 ピアノとの掛け合いもあり、カノン、メヌエットと
 最後のフーガで駆け抜ける終曲に
シューマン:民謡風の5つの小品集 op.102
 広い音域と力強さが全面に、ピアノの飛び跳ねる指先に
 チェロも答え、子守唄、牧歌風、情熱的に終曲に
マーラー(ホルヌング編):さすらう若者の歌 
 悲しみや寂しさ、苦しさからまどろむ葬送風に進み
 「巨人」の第3楽章とおなじ?で終曲へ
・・・・・休憩(15分)・・・・・
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 op.99
 自然に歌うチェロと細やかなピアノのマッチングが最高
 始めてここぞとばかりチェロの高音域が歌い、トロモロと
 ピッチカートも効果的でロンドで終曲に

拍手!!!掛け声も掛ります。
お互いのハグでたたえ合っておられました。

アンコールは、
クライスラー/愛の悲しみ
 定番の曲ですが、独特の情感を味わえました。
ヴィルヘルム・キルマイヤー/Caprice de Figaro
  Wilhelm Killmayerドイツの作曲家で90歳の誕生日一日
 前の8月20日亡くなり、葬送で選曲されております。
このお二人、音楽への深い洞察と共感で響き合い、
緊迫したセッションをありがとうございました。
今後も期待大なお二人ですね。

「キカラスウリ」で富山の秋を

2017-10-12 15:28:21 | 旅行
今朝から冷たい雨、季節が一歩先に進むのでしょう。
その前に、先日の富山への帰郷で、秋の訪れを。

ウェーブパークなめりかわ」から望む夕方の富山の空は
秋?の雲も上空に、夕日を浴びた北アルプスが一望に、
冬になればもっとスカッと見渡せるはずなのですが。
 
剣岳2999mから小窓、大窓も見え、立山山麓、薬師岳へと
若かりし頃は剣から長野へとピークを踏んだこともあり、
紅葉はきっと2300mあたりなんでしょうか。
この季節、天候の急変で立山中高年大量遭難事故もあり、
くれぐれもご注意を!
  
夕暮れ前の剣岳です。

頂の立ったのは3回、最後は苦しかった早月尾根からで
40年も前の夏のことになります。そして
半世紀前卒業したの母校の小学校も、きれいに改築され、
昔の名残は一部の建物、スキー山と木々だけですね。
銀杏も実をつけ、メタセコイヤや満天星躑躅も紅葉が
  
昔はなかったフエンス沿いに、へクソカズラの花と実が
  
そして枯れた蔓が、視線を上げると松の幹につたう蔓
先にメロンみたいな小さな実が、
行く秋のふらさがりけり烏瓜
           正岡子規
  
『蔓枯れしキカラスウリの実虚ろなり』
               愚句
烏瓜でも「キカラスウリ」なのでしょう。
この根から、あせもに効く「天瓜粉(天花粉)」がとれ、
「天瓜粉ところきらはず打たれけり」と俳句にも。
山行は「あせも」が出来る夏山に限りますね。