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奈良県立美術館、没後40年幻の画家「不染鉄」展へ

2017-10-21 14:23:02 | 美術館・博物館
今朝も雨、原因は列島南岸に居座り続けている秋雨前線で

超大型台風21号により押し上げられ、四国では大雨警報も。
月曜日明け方には近畿から東海地方にかけ上陸する可能性が、
今日からオリオン座流星群が良く見えるはずが、ムリですね。
明日22日の京都三大祭りの一つ「時代祭」も今年は中止に、
予想だにされなかった総選挙に季節外れの巨大台風、
来月はトランプさんの外遊(憂)も今後予定され、波乱含みの
世界情勢、先を読めぬことが続きます。何事も無きように。
 
今日は『直哉忌』、大正14年4月から昭和13年4月の間に
高畑に居宅を新築し「暗夜行路・後編」を書き上げ、
奈良を愛された志賀直哉、随筆「奈良」の最後に
「兎に角、奈良は美しい所だ。自然が美しく・・・
 御蓋山の紅葉は霜の降りやうで毎年同じやうには行かないが
 よく紅葉した年は非常に美しい。5月の藤。それから
 夏の雨後春日山の樹々の間から湧く雲。
 これらはいつ迄も奈良を憶う種となるだろう」と

同様に奈良に思い入れがあり、若き西ノ京時代と終戦後から
1976年まで奈良登大路で過ごされた幻の画家『不染鉄』、
今年の7・8月に東京ステーションギャラリーで開催された
没後40年「不染鉄」展が、ここ奈良の県立美術館に。

一言で言えば、”ほっとした味わいのある文章とともに
精細な筆致や彩色が重ねられ、情感深い作品に”
初期の作品が何とも言えず、タイムスリップを

五部構成になっており、180点の作品群です。
Ⅰ【郷愁の家】
家をテーマにした郷愁の思いを込めて描かれた初期の作品群
・暮色有情、大正期 絹本墨画着色金彩・軸装 個人蔵
 朦朧体で描かれ、烏が印象的
・秋声 1918年 絹本着色・二曲屏風 奈良県立美術館蔵
秋声
・奈良西ノ京秋景 大正末期-昭和初期 絹本着色・額装 
 鉤勒法を用い、手前に藁葺きの民家と柿の木の赤い実が
 印象的で、稲刈りの終わった田の先に薬師寺東塔も。
・思出之記 1927年8回帝展 個人蔵
思出之記(部分)
Ⅱ【憧憬の山水】
自然を愛し旅に憧れた不染が、各地で目にした風景などの
水墨山水画が展示され、軽妙な筆致と味わい深い文章が・
・雪景山水 1935年頃 絹本墨画・軸装 個人蔵
 丁寧に雪を胡粉で描かれ、光り立体感が
・南都覧古 1942.11.6 紙本墨画・巻子装 個人蔵

Ⅲ【聖なる塔・富士】
山水図絵(伊豆の追憶)など終生のテーマの富士図
懐かしさと共に、厳かな神性を漂わせます。
・山水図絵(伊豆の追憶)
遠くに日本海までもが・・・
山水図絵(伊豆の追憶)
・薬師寺東塔の図 1970年 個人蔵
曙の光で、薬師寺東塔が手前の大池の水色と、霧の白が
混ざり合って若草山にまでのび、幻想的な風景に。
薬師寺東塔の図

Ⅳ【孤高の海】
伊豆大島時代の思い出より水墨画法で表現された海の絵で、
神秘的な波間の情景に映し出された不染の心情が・・・
・廃船 1969年 京都国立近代美術館蔵
廃船
・南海之図 1955年 愛知県美術館蔵


Ⅴ【回想の風景】
晩年の作品で、老境に入り、一人悠々自適に暮らす不染
奈良女子大学生等との絵葉書や焼き物、木彫作品などが・・・
・いちょう 昭和40年代 紙本着色・額装 個人蔵
 幼少期の思い出で、極楽浄土を表しています。
いちょう
・落葉浄土 1974年紙本‣着色金彩‣額装 奈良県立美術館蔵
落葉浄土