これほど売れて、これほど批判されている本は珍しいのではないでしょうか。
下重暁子さんの『家族という病』。
私は興味深く読みました。
今生のトラウマは家族関係にあることがほとんどのような気がします。このトラウマでその人の生き方が変わる。また信念にもなる。
もしかしたら一番の人生の教師は親であり、兄弟、姉妹かもしれません。
私の読後感は、下重暁子さんという方は決して冷たい方ではなく、家族というエゴに警鐘を鳴らしているのだと思います。
こんな文章があります。
「家族のことしか話せない人は、他に興味がない人。社会や環境に目を向ければ、自然と話題は出てくる。」
「自分達だけよければ他人はどうでもいいという家族エゴ、自分の住んでいる所さえよければという地域エゴ、自分の国さえよければという国家のエゴ、全て争いのものになる。家族エゴはどうして起きるのか、家族が個人である前に役割を演じているからではなかろうか」
家族だけという甘えの中のだらしなさがキライ…だとキッパリ言い切る勇気。
下重さんの両親、兄への思い、そして後悔…
本当の自立とは…
いろいろ考えさせられました。
愛ある家族の中にいても人は精神的自立は必要だ…と私も思います。(荻山貴美子)