その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

稲光

2012年08月20日 | Weblog

 

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稲光

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ここ数日雷が真上で発生して

久しぶりに怖い思いをする毎日・・・

 

月遅れのお盆のころに現れ始める

精霊トンボ、キチキチと音を立てて草原を飛ぶ精霊バッタ

乾いた風にひるがえるポプラやニワウルシの白い葉裏

そしてツクツクボウシが鳴き始める

ふと蝶がひらひら飛んで~

「かみなり蝶」という三好達治の詩を思い出す

 

「雷の後 かみなり蝶が村へくる

村長邸の裏庭の 百合の花粉にまみれてくる

交番のある四辻で 彼女はちょいと道に迷ふ

さうして彼女は風に揚がる

椎の木よりもなほ高く

火の見櫓の 半鐘よりもなほ高く~~」

 

この「かみなり蝶」とは・・・

雷神がつけている虎の皮の模様の類推から

「ナミアゲハ」という説と

江戸時代の「物類称呼」に記されている

クロアゲハ、カラスアゲハのほうが

この詩の飛び方に合っているとも言われています

お盆のころに見かける蝶に思わず見とれてしまいます

すさまじい嵐と天井がこわれたかと思うほどの雷も収まり

心地良い風が部屋に吹き込んできます

 

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土曜トピックス 42

2012年08月18日 | Weblog

 

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土曜トピックス 42

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解語(かいご)の花 

 美人を形容する言葉にはいろいろありますが

これもその一つ

玄宗皇帝が、楊貴妃をこのように称したのが始まりとか

解語の花・・・文字通り

言葉を理解する花ということですね

玄宗皇帝といえば、宮廷の梨園で、自らも歌舞、演劇の

指導もしたほどの人

彼の話を理解するには、よほどの教養が必要とされ

楊貴妃は、音楽に特に秀で、その他の教養も

兼ね備えた女性だったそうです

とすれば、解語の花こそ、真の美人を指す言葉かも

「もの言う花」という表現もありますが

「ものを言う」と「理解する」では大きな差があります

相手を理解するのは、本当に難しいこと

後宮の美女三千人

皇帝の気を引こうとした美女はたくさんいたことでしょう

その心を理解しようと努めた女性は

どれほどいたのでしょう~

「私の気持ちをわかってくれるのはおまえだけ・・・」

そんな思いが、解語の花という言葉に

籠められている気がします

(山下景子「美人のいろは」より抜粋)

写真の芙蓉の花とは文には直接つながりはありません

季節の花がまるで解語の花のように思えます

 

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露草

2012年08月17日 | Weblog

 

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露草

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 道端に露草が青紫の花を咲かせ始めました

この時期になればいつもどこでも見られる花ですが

秋が深くなるにつれて色も濃くなり

花の色が冴えてきます

夜明けに咲き陽が昇るとしおれてしまう一日花

露という言葉がているせいか儚さが身にしみる可愛い花です

万葉集や和歌にもよく出てくる花ですが

儚さや恋心を託された歌が多いですね

古名をツキクサといい

着き草の意味で、花の知るをつけて

布を染めたからだといわれ

呼び名も「月草」「蛍草」「青花」「帽子花」など

 

「露草の瑠璃をとばしぬ鎌試し」 吉岡禅寺洞

「蛍草いづかな声は溜るなり」 藤田湘子

「ことごとくつゆくさ咲きて狐あめ」 飯田蛇笏

 

 

 

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あさがお

2012年08月16日 | Weblog

 

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あさがお

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 平安時代に渡来したこの花も

栽培が盛んになったのは江戸時代からだそうです

鉢植えや日よけなどに植えられて目も楽しませてくれます

何にでも巻きつく左巻きの蔓に筆穂の蕾がつき

それをほどいてラッパ状の花が咲きます

花は午前中にしぼんでしまいます

夏の朝顔は大輪が多いけれど

在来種の花は小さく野性味があります

秋が深まると一日中咲くようになります

 

朝顔は秋の季語になっています

別名「牽牛花」

「朝顔が日ごとに小さし父母訪はな」 鍵和田秞子

「朝顔に釣瓶とられてもらひ水」 千代女 

 

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空蝉

2012年08月15日 | Weblog

 

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空蝉

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蝉の種類だと思っている方がいた

まじめな顔で聞かれてびっくりしましたが

これは蝉の抜け殻のことです

このう空蝉という言葉は

平安時代から使われ始めたそうです

もともとは、「現し身(うつしみ)」からの変化だそうです

長くて十数年とも言われる蝉の地中での生活

孵化した幼虫の抜け殻は

その年々で数の多さも変わりますが

今年も随分と枝の橋や草の茎壁などに残されています

人々にとって、この空蝉は

何かしら哀れさを誘うようで詩歌の題材になります

又歌の枕詞として「わびし」「むなし」などにかかります

源氏物語に出てくる空蝉は~

空蝉という女性に思いを寄せる源氏の思いを拒み

薄衣を一枚残して姿を消します

その薄衣が蝉の抜け殻にたとえられているものですが

俳句でも明治以降たくさん詠まれています

 

「空蝉のいづれも力抜かずゐる」 阿部みどり女

「空蝉を葉毎につけて隠れ蓑」 松野ひろし

「今しがたぬけ出たらしき蝉の殻」 藤田志津子

 

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西瓜

2012年08月14日 | Weblog

 

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西瓜

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子供のころ田舎ではいつも井戸に冷やしてあって

学校から帰るとざっくりと切った「西瓜」がおやつでした

最近でも田舎の知り合いなど尋ねると

お盆に載せて出されると、懐かしく

挨拶もそこそこにむしゃぶりついてしまいます

町で食べるものと違ってどこかおいしい

また夕方縁側で種を飛ばしながら

昔話に花が咲くのはたまらなく楽しい

またキャンプや海水浴などでやった西瓜割りも

あまり冷えてないけど割れた西瓜を

かぶりつくのもいいものですよね

江戸時代より少し前に日本にやってきた西瓜

大らかで気どりのないスイカは夏の素晴らしいおやつですね

秋に旬を迎えるため西瓜は秋の季語です

「冷やされて西瓜いよいよまんまるし」 伊藤通明

「ひとさまの西瓜叩いてみたりして」 如月真菜

 

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花火

2012年08月13日 | Weblog

 

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花火

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 夜空を彩る大輪の花、少し遅れてド~ンという音

一瞬にして消え去る儚さや夏の終わりの寂しさが

見物客の歓声や活気とまじりあいさまざまの情感が漂います

花火大会の始まりは享保18年両国川開きの大花火です

江戸で流行したコレラの慰霊と悪疫退散祈願のためのもの

鍵屋六代目篠原弥兵衛が仕掛けと打ち上げの

約20発の花火を打ち上げたそうです

もともと「盂蘭盆(うらぼん)」の送り火と同じ秋の季語でした

各地で行われる納涼花火大会の時期に合わせて

夏の季語になりました

 

「くさぐさの名にもつれ咲く花火かな」 長谷川零余子

「空に伸ぶ花火の途の曲がりつつ」 高浜虚子

 

 

 

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土曜トピックス 41

2012年08月11日 | Weblog

 

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土用トピックス 41

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雲の語源

 

空に浮かぶ水滴や氷の結晶をなぜ「くも」と呼ぶか

少し長くなりますがお付き合いください

雲の語源には「日本国語大辞典」によると

次の14の説があるそうです

1)「こもる(隠・籠)の意味

2)月や太陽などを「こめる籠)」ところから

「くみ」と呼ばれ転じた

3)「くま(隠)」の転

4)「くぐる・くもり」の約

5)水気で空で「組み」集まった

6)「くむ(酌)」に由来する

水を酌みあげなければ「あむ=雨」ことができない

7)「く」は内へまくり入ること

「も」は向かうこと、雲をそのように見た

8)「黒」「暮れる」に由来

9)「く」は暗い「も」は物又は「基」そして

「四方(よも)」の「も」、またいつもきるから、いつもの「も」

10)「きむれおり(気群居)」の意味

11)すべてをひき籠めてしまうことから

「こむもろ」の反

12)煙が上昇する意味の「熏(kumo)」

13)韓国語で雲をいう(Krumu)と同源

14)アイヌ語にも「黒」「暗」などの意味をあらわす

言葉にKurがある

なお、虫の蜘蛛の語源も

網を「組む」とか巣に「籠る」に由来するといわれ

手を広げたところが雲ににている、巣が雲に似ている

などの説があります

とかく語源というものは「雲をつかむ」ような話ですね

 

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射干(ひおうぎ)

2012年08月10日 | Weblog

 

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射干

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アヤメ科の多年草

最近は観賞用に植木屋さんでも売られていて

紅に近い橙色の花が怪しく風に揺れます

色もサーモンピンクや黄色もありあります

 ヒノキの薄板を重ねた扇に似ていることからついた名前

「射干」は漢名をそのままあてたものだそうです

分技した枝がそれぞれが直立して花をつける

独特の趣のある花です

また花が終わると黒い実ができますが

その実を「ぬばたま」といい

万葉集などでは、黒、夜、闇などの

枕詞に使われています

 

「射干の花や高野をこころざす」 森澄雄

「射干も一期一会の花たらむ」 石田波郷

 

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綿の花

2012年08月09日 | Weblog

 

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綿の花

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アオイ科の一年草

東南アジア原産で、綿を獲るために古くから

世界各地で栽培されたそうです

花が終わると子房ができて桃の実ににた形の

果(さっか)となり、成熟して乾燥すると

3裂して白い綿毛が現れます

これを開絮(かいじょ)といいます

この状態を俳句では綿吹くなどとも言います

 

ワタには木偏と糸偏がありますが

植物は棉と書き、製成品は綿と書きます

花はトロロアオイやオクラととてもよく似ています

 

「泉州や海の青さと棉の花」 青木月斗

「遠山に雲の出て来し棉の花」 八牧美喜子 

 

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