その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

寒紅(かんべに)

2013年01月31日 | Weblog

 

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寒紅

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 夏の季語にある「紅花(べにばな)」はキク科の一年草

夏に黄紅色野アザミに似た花が咲きます

花から採った赤い色素は口紅など紅や染料になります

種からは、リーのール酸の多い油を採ります

紅は、平安時代には白粉(おしろい)と混ぜて用いられ

口紅が一般的になったのは江戸のころ

江戸市中には、紅売りという職業ができ

口から入る虫や病を防ぐといわれ、薬用としても常備されたそうです

寒中の作られた「寒紅」は、色鮮やかで特に美しく

中でも丑の日の寒紅は最上級品として「丑紅」とも呼ばれ

薬効も優れていると珍重されたそうです

寒中に紅をさすことも寒紅と呼ばれ

冬景色の中で際立つ紅が目に浮かびますね

「寒紅にしづかに曇る日なりけり」 原石鼎

「寒紅の炎のごとき色引けり」 黒木千草 

(掲載写真3枚は、ネットから転載)

 

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風花

2013年01月30日 | Weblog

 

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風花

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青く晴れわたった日に、寒風にまじって

突然ちらちらと舞い降る雪や雨のことを「風花」といいます

冬の終わりの淡い日の中で無数の光が輝きます

大変繊細で優美な季語の一つです

雲ひとつない空から雨や雪が降ることを

「天泣(てんりゅう)」といい、ロマンチックな言葉ですよね

遠くの山で降った雪が、強く冷たい風に乗って

はるかな街まで運ばれてくる現象です

積もることもなく、ほとんど濡らすこともなく

舞う天からの贈り物は

見慣れた日常の幻想のベールをふわりとかします

 

「風花の大きく白く一つ来る」 阿波野青畝

「妹は風花姉は雪あかり」 皆川 燈

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マンサク

2013年01月29日 | Weblog

 

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マンサク

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 日当たりのよい山地ではぼつぼつ

黄色のひも状の4弁花が咲き始めています

花が春一番で咲くことから「先ず(まず)咲く」がなまったもの

豊年万作に通じることから「満作」とも言われ諸説あります

葉より花が先に咲き春らしい黄色が鮮やか

花というイメージよりは、丸まったネジがほどけるような感じ

最近は観賞用として家庭の庭でもよく見かけます

楢や柏に比べて落葉するのが遅く

葉をつけたまま咲いているものもあります 

「まんさくや町よりつづく雪の嶺」 相馬遷子

「まんさくや中也詩集の染み一つ」 火村卓造 

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蝋梅 2

2013年01月28日 | Weblog

 

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蝋梅 2

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当ブログで1月18日にすでにアップしましたが

今年は少し花が遅れていて、今やっと咲き揃ってきましたので

香をお伝えしたくて・再度登場

この月は旧暦で十二月別名を蝋月といい

梅の花に似ていることからついた花の名前

甘い香りが本来新春の気持ちを改まるのですが

もう二月に間もなくなろうとしています

気候の遅れはともかく、この花の香りは

心を溶かすようなでもしつこくさもほどよい爽やかさ

シャネルの5番など足元にも及ばない

優しい透き通った香りです

先日も心ない人が植物園の蝋梅の枝を折ってゆきました

桜もそうですが、この木は枝を折られると

その残された枝も花をつけずやがて死んでしまいます

確かにこの花は、部屋に生け花として飾ると

部屋の空気がとてもすがすがしくなります

でも枝を折るなんてとてもかわいそうですし

カメラマンが写真構図の関係で

枝を大きく曲げて写しているのを見かけますが

それだけでも枝は大変ストレスを受けて

よく年は花をつけない微妙な木です

もっと花を知って大切にしてほしい気がしますね

あの優しく素敵な香りを長続きさせるためにも

 

 

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週末コラム 14

2013年01月26日 | Weblog

 

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週末コラム 14

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紅一点とはどんな花かごぞんじですか?

以前にも書いたかもしれないけれど

昨日また話題になったのでここでも話題にしてみます

「紅一点」といえば

男性多数の中に女性が一人混じってる様子です

もちろん女性を花にたとえたものですが

もともとは草原の中に花一輪が咲いていた情景を表した言葉

ではその「紅一点」とは何の花?

「立てばシャクヤク、座ればボタン」というくらいですから

女性にたとえられるんだから、牡丹や芍薬と思いがち?

実はこの花は「ザクロ」の花なんです

なぜそれが分かるかといえば

この言葉は宋代の詩人王安石の「石榴詩」が出典になっているそうです

石榴詩

万緑叢中紅一点 

動人春色不須多(人を動かすに春色多く用いず)

一面の緑の草原に一つだけ赤い花が咲いている

春の景色はこれだけのことで、人を感動させてしまう・・といった意味

石榴は中国をはじめ、世界中で広く栽培され

深紅色の実をつけ、花は赤、白、赤白などいろいろ

中国やヨーロッパではおもに食用として栽培されてます

紅一点に思わぬ意味があって

雑学問題になり、人に教えたくなりませんか(笑)

 

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寒木瓜(ボケ)

2013年01月25日 | Weblog

 

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寒木瓜

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 普通の木瓜は、春に咲きますが

寒い時期に咲く木瓜のことを言います

日当たりのよい庭や、鉢植えなどは冬の寒さにも負けず

花を咲かせる姿が趣があると、俳句に詠まれます

園芸上ではヒボケの別称としてカンボケといいますが

代表的な品種は「緋の御旗」という品種で

鮮紅色一重咲きの花がよく知られています

カンボケは紅色が多いのですが、シロカンボケ、カンサラサも有名

俳句では、11月頃咲くときは返り花として扱い

12月以降に咲く花をカンボケ、フユボケといいます

「寒木瓜のほとりにつもる月日かな」 加藤楸邨

「寒木瓜や人よりも濃き土の息」 福永耕二 

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日脚伸ぶ

2013年01月24日 | Weblog

 

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日脚伸ぶ

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冬至を過ぎると、昼夜の時間差が少なくなり

一日一日と日が伸びてゆきます

これを「日脚伸ぶ」といい、「伸ぶ」は「伸びる」の文語です

この伸び方は、ほんのわずかずつなので

先人たちはそっを「畳の目の一つずつ」といい

それほど遅々たるものだったと表現します

それでもある日ふと、日が伸びたと実感するのは

冬も終わりに近づいてきた頃

まだまだ寒さが残りますが、少しずつ気温も上がり

小鳥のさえずりも多く聞かれるようになり

ゆっくりと春が近づいてくる気配がして

心ワクワクする情景です

「日脚伸ぶ母を躓かせぬやうに」 広瀬直人

「出ついでに見舞ふ人あり日脚伸ぶ」 室町ひろ子

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寒雀

2013年01月23日 | Weblog

 

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寒雀

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 カラスが朝暗いうちから鳴き声を上げて

朝日が窓辺に挿す頃

ようやくチッチチと朝の挨拶に来る

実際は餌を求めてやってくるのではあるけれど

なんとなく毎日同じ時刻に顔を合わせるから

気心があってきたように錯覚してしまう

餌をやるときの勝手な会話?(一人しゃべり)が楽しい

寒さに羽を目いっぱい膨らませて・・

着膨れしたどこかのお嬢様のような仕草で一列に並んで待っている

餌が少し遅れるともう餌箱の側でホバリングして

早く早くと急き立てる

都会に雀が減少していると新聞に出てから

少し餌付けしてでも数を増やすようにしているせいか

年々数が増えてやってくる

 

「とび下りて弾みやまずよ寒雀」 川端茅舎

「寒雀短き主婦の午後終わる」 梅田実三郎 

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侘助

2013年01月22日 | Weblog

 

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侘助

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 椿の園芸品種の一つで、観賞用に庭木として植えられています

特に茶花で好まれ、花は一重で小さく

半開し、雄しべや雌しべが退化したり、変形しているなど

特徴的な形を持っています

赤、白、赤地に白の絞りなど様々で、種子ができません

名前の由来は、秀吉が朝鮮出兵の際に

持ち帰った人物にちなんで、また離宮と同時代の茶人で

特にこの花を好んだことによるそうです

「侘助や障子の内の話し声」 高浜虚子

「侘助の咲きかはりたる別の花」 富安風生

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寒牡丹

2013年01月21日 | Weblog

 

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寒牡丹

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原産地は中国西北部

牡丹は初夏のものですが、手あてによって

冬に咲かせています

風雅を求めるために咲かせています

初秋の頃に、葉をとることなどで花芽が急速に伸び

冬のうちに蕾を持つようになります

霜囲いのしたで咲く2~3輪の花は趣があります

観光用に栽培してるところもありますが

丹精込めて咲かせた寒牡丹は花が小さめです 

「一つ散りて後に花なし冬牡丹」 正岡子規

「すれちがふ人声ひそと寒牡丹」 松崎民枝子

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