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心理テストでわかること

2007-07-18 | 認知心理学

Q1-* 心理テストが大はやりのようですが、あれで心が本当にわかるのですか---テスト理論

 答えは「はい」でもあり「いいえ」でもあります。「あれで」というときの「あれ」としてどんなテストを想定しているかによるからです。さらに、「本当に」の意味にもよるからです。
 テスト理論と呼ぶ心理学の研究領域があります。その理論にしたがって作成された心理テストなら、ある程度まで心を「本当に」測ることができます。
 テスト理論では、心理テストがその名に値するためには、次の2つの条件を満たしていることを要求します。
○測りたいものと測るものとの間に、心理学的に妥当な関係を想定できること----妥当性
 内田・クレペリン作業検査というのがあります。隣り合う一桁の数字の加算を、休憩をはさんで連続25分間させるテストです。




 ここには、単純作業という場面での行為には、性格の意志的な側面が反映されているとする心理学的な常識が仮定されています。この常識がどこまで正当であるかどうかを問うのが、検査の妥当性です。別の言い方をするなら、妥当性とは、その検査が測ろうとしたものを本当に測っているかです。
 心は目に見えません。性格にしても学力にしても、「これが性格です。学力です」といって見せられるものはありません。「もしこんな性格なら、こんな場面ではこんなふうにふるまうはず」という仮定をおいて、「こんな場面でのふるまい」を計測するしかありません。したがって、検査の妥当性が問われることになります。
 「本当に」という疑問の多くは、この妥当性にかかわっています。
○信頼性
○計測した値を位置づけるためのものさしがあること---標準化
 内田・クレペリン検査を受けてある作業曲線が得られても、それが、どのような意味を持つのかを判定するためには、ものさし・基準が必要です。多くは、たくさんの被験者の平均的な傾向との比較をします。妥当性を査定した上で、さらにこうしたものさし作りをすることを標準化と呼びます。

 テレビや雑誌で遊び心で行なわれる心理テストの多くは、まず、妥当性に問題があり、さらに、標準化がなされていないものがほとんどですので、心理テストというより「心理クイズ」の範ちゅうに入るものと考えておいたほうが無難です。それが人々の興味・関心を引くのは、自分ではなかなかわからない心の世界への洞察を深めるきっかけになるからではないかと思います。そのように考えれば、それなりに意味のある趣向と言えます。
 なお、標準化された心理テストは、学力診断、性格診断、適性診断などの領域について、図書文化社、実務教育出版社、田中教育研究所、金子書房、三京、房、日本文化科学社など、いくつかの会社から市販されていますが、1部だけを個人で購入してやってみるというわけにはいかないようになっています。心理テストも、実施から判定までを専門家の管理のもとで実施するのが望ましいからです。


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