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●●目標」頭を元気にするキーワード

2014-03-04 | 名言の心理学

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ポジティブ認知2-27


目標3-4

目標「目標があれば元気で頑張れる」

● 人生に何度ある、目標達成
 自分のこれまでの68年の人生を振り返ると、はっきりと目標を立てて頑張り、そして目標を達成した、というのは、すぐに思い出せるものは、実はそれほどは多くはありません。
・高校、大学、大学院の入試合格
・学位論文を書く
・締め切りのある原稿を書く
くらいではないでしょうか。
 いずれも、いつまでにどうするかがはっきりしていて、きっちりと目標が達成できました。
 丹念に回想すれば、大小とりまぜていくらでもあるはずですが、すぐには思い出せません。たぶん、皆さんもそうではないでしょうか。とりわけ、目標はたてたものの、うまくいかなかった、というケースは、嫌な思い出ですから、なかなかすんなりとは、出てこないと思います。
さて、もう71歳。ほとんどこれといって大それた目標なき毎日を過ごしています。(本当は、どうやって死ぬか、という大目標はあるのですが、こればかりはどうにもなりませんし、あえて目標におくことを避けています。)
気持ち穏やかですが、頭の元気という点ではちょっと心配なところはあります。
あれこれありますが、ここでは、目標と頭の元気つくりについて考えてみます。

● 目標まっしぐら
 自分の場合、今でもふつふつと思い出すのは、大学受験です。
 1年間、目標達成に邁進しました。当時、家庭内はめちゃくちゃでしたが、そんなことには目もくれず、ひたすら勉強でした。そして、合格しました。
頭が元気になるのは、言うまでもなく、このように目標が明確で、その達成までのプロセス(工程表)も明確な場合です。
 余談になりますが、最近、大学入試では、推薦入試やアドミッション・オフィス(AO)入試で、こうしたがり勉プロセスを経験しないで大学に入学してくる学生が増えてきました。大学生の学力低下についていろいろ議論がありますが、やはり王道にかえって、学力試験入試にするべきではないかと思っています。
 もっとも、世の中に出てみると、受験のように、自分なりにはっきりと目標が設定できて、しかも、そこへ到達するプロセスもはっきりしているようなことは実はまれであることに否が応でも気がつきます。
 結婚なんて、その最たるものではないでしょうか。
 結婚したいという目標こそ明確ではあっても、そのプロセスとなると、はちゃめちゃです。自分の場合も、一歩近づいたと思ったら、3歩後退、なんてことの繰り返しでした。でも、その間に、恋のテクニックをたくさん学びましたが。(笑い)
 
●目標駆動型の生き方のすすめ
 受験勉強のように明確な目標とプロセスによって引きずられる生き方ということで、目標駆動型の生き方と呼んでおきます。
 目標への接近度も、時間だけでなく、そのための努力の成果も目にみえれば、毎日がやる気まんまん、極めて高い動機づけ状態になります。
 しかし、先ほど述べたように、こうした目標駆動型の行き方は、個人の人生の中では、それほどはありません。ありませんが、あれば、元気になれます。
 そこで、自分でそんな生き方を、時々、日常の中に組み込んでみることをおすすめしたいのです。
 「時々」でいいのです。いつもいつもこれでは心身が持ちません。日常生活も立ち行きません。
受験のようなここ一番の大事な目標なら人生で一度か2度。
資格取得のような小さい目標なら3~5年に一度。
毎日の生活の中に組み込んで並行してやってみるのです。
「並行して」も大事です。すべてを投げ打っては、リスクが大きすぎるからです。
あるいは、週刊朝日2010年12月3日号に掲載されていたおちまさと氏のエッセイが、もう一つの目標管理の仕方に示唆を与えてくれるかもしれませんので紹介しておきます。
氏は禁煙を目標にして失敗ばかり。そこで、禁煙を体脂肪率減少という大きな目標の「通過点」として設定して成功したというのです。
確かに、目標ばかり意識すると毎日が金縛りにあったような気持ちになり、その苦しさを逃れたいばかりに目標放棄となることもありますから、こういうやり方もあるかもしれません。

●目標探索型の生き方のすすめ
それでも、一日、1週間、1年を振り返ったり、ふと将来のことを考えたりするときがあります。そして、自分は毎日一体何をしているのだろうとなります。そんな時には、目標探索型の生き方、というより一時的な目標なき生き方もありです。
そこで、目標なき人生もまた楽しからずやという話もしてみたくなりました。
ある調査によると、日本の高校生、「将来やりたいことがありますか」と問うと、「はい」と答えたのは、たったの20%。アメリカの高校生だと、これが70%にもなります。
ついつい、日本の若者には、人生の目標を持ちなさいと諭したくなるような数値です。
でも、考えてみると、昔の若者より、ずっと自由に考え生きていけるということでもありますから、この結果をそれほど深刻に受け止める必要はないと思います。
それに、若者のあれこれの迷い、あるいは怠惰で無為な生活は将来のためにはらうべき必要な心のコストという面もあります。
若者に限らず、誰でも、実際には、日々の生活をしていくのに、四六時中、目標を意識していることはあまりありません。習慣になっていること、目標達成にはほど遠いこともたくさんしなければなりません。
それでも、そんな中にあっても、何か目標をも持たねば、という気持ちになることがあります。
そして、「1年の計、元旦にあり」を繰り返すことになります。
これでいいのです。これが自然の生き方なのです。
早くからへたに目標に縛られて人生を狭くしてしまうなんてつまらないことです。
 道草にこそ、人生の醍醐味、ということも間違いなくあります。道草するなかで、思いがけない学びもあります。

● では、どっち?
目標をめぐって両極端の話になってしまいました。
一見すると、両極端のように見えますが、実はそうではありません。
要はバランスの問題です。
じっくりと目標探索型の行き方をしながら、ここ一番、これはという目標が決まったら、もうまっしぐら。
そして、目標を達成したら、一休み。
次の目標探索の旅に出かけるのです。
こんなことのすすめなのです。いかがでしょうか。

●目標の内容が問題
ここまで、あまり目標の内容にはふれないで話をしてきましたが、最後に2つほど、目標の内容にかかわる話をしておきます。
一つは、外在する目標と内在する目標という話です。
外在する目標とは、大学に合格する、オリピックで金メダルを取るといったように、目標の達成度が外的に決められていて、しかも、多くは他者との競争の結果を目標にするものです。
内在する目標とは、英字新聞が辞書なしで読めるようになる、トリプルアクセスができようになるといったように、努力の結果として自分の力の向上を目標にするものです。
言うまでもなく、他者との比較を内に秘めた外在目標は、心の元気という点では、リスクがありますね。負ければ落ち込みますし、勝てば元気になれます。勝負の世界、これがあるから面白いのですが、一方では、内在目標にも目を向けると仮に外在目標が達成できなくとも、落ちこまないですみますし、元気回復のきっかけにできます。
負けたスポーツ選手のコメントに「あそこまでやれて満足です」といったコメントがありますが、まさに、外在目標と内在目標とを微妙に切り替えているのです。
関連した余談。スポーツ選手には、「リミッティング(限界)信念」とも呼ぶにふさわしい「ここまで」意識が強いらしいのです。自分なりにできる限界はここまで、という信念のようなものを持って練習や試合に臨むのだそうです。それがどのあたりに設定されているかが、微妙に成績に影響するらしいのです。
山川雅之氏のブログに面白い話が載っていました。「ウサギとカメ」の話、あれは、油断大敵を戒めるための話ではないのではないかというのです。
「ウサギはカメに勝つことにフォーカスしていたのに対し<<外在目標
カメは、お山の頂上にフォーカスしていた。<<内在目標
ということじゃないでしょうか?
ウサギはもうカメに勝てると思ったから、山の中腹でお昼寝をしてしまった。
カメはウサギとの差を気にしていたら、途中でもう諦めてしまっていたかもしれない。」

目標内容についてもう一つの話は、抽象的目標と具体的目標です。
目標が具体的であれば、それに到達するための行動計画も立てることができます。そして、結果として、それが達成できたかどうかがわかります。
これに対して、目標が抽象的であれば、具体的な行動計画も、その達成度もはっきりと検証できません。
そして、これは、目標の時間的な設定にも関係してきます。
抽象的な目標だと長期に、具体的目標だと短期になります。
このように書くと、「目標は具体的に」となりますが、抽象的目標にもそれなりの良さがあります。
最適な目標管理は、抽象的な目標といくつかの具体的な目標とが、それぞれ達成するまでの過程に沿って整合性をもって並べることです。
朝日新聞の「特派員メモ」(2010年11月10日朝刊)にこんなおもしろい話がのっていました。
「ホテルの24歳の従業員「オバマ大統領は、できる男の典型的な失敗。彼は具体的な約束(目標)が多すぎる。(だから、失敗すると失望する)。僕はそんな約束はしない。彼女に「君を幸せにする」とは約束するが、「一戸建ての家を3年以内に買う」とは約束しない。彼女の期待値をあげなければ、花束一つで彼女を幸せにできる。ただ自分への約束は、できるだけ具体的にしている。」(要約)
解説不要の記事ですね。要は、目標内容の立て方もあれこれある、そして、置かれた状況によって柔軟に変えられることが大事ということです。

ポジティブ心理術「目標を点検してみる」@@@@@@@@@@@@@@@
あなたが今つらつらと考えている目標を短期と長期(区別は任意)、そしてそれが外在目標か、内在目標かを判定してみよう。外在目標ばかりは、危ないです。もっとも、若い頃はそれでも良いと思いますが。

例 あと一冊、書きおろしの本を書く(短期、課題目標)







 



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