心の風景 認知的体験

癌闘病記
認知的体験
わかりやすい表現
ヒューマンエラー、安全
ポジティブマインド
大学教育
老人心理

競争 「心を元気する習慣づくり」

2009-12-08 | ポジティブ心理学
09-12-7
競争――気持ちを元気にする習慣づくり

「競争は人を元気づけるが、人をだめにもする」

●男は競争が好き?
 「男は競争好き、女はおしゃべり好き」
 こんな言説をどこかで聞いたことがあります。しかし、皮相的だと思います。競争は、好き嫌いの問題ではなく、人が限られた資源の中で生き抜くためには避けて通ることのできない営みだからです。男か女かは関係なく人はみな否応なしに競争に巻き込まれます。それが、人類を進化させてきたのです。
 ところで、競争に共通しているのは、相手よりも早くできるか相手よりできがよいかのいずれかです。
 前者が時間競争、後者は力競争です。たとえば、
 時間競争は、スピード競技、発明・発見競争など。
 力競争は、重量挙げ、受験競争などです。
さて、こうしたことを踏まえたうえで、心を元気にする習慣づくりという観点から競争について考えてみます。

●競争で勝つこと
 やや余談になりますが、競争ってどんなものかについて、さらに、一つのエピソードを紹介しておきます。
 競争というと、ただちに頭に浮かぶのは、スポーツですね。
 でも、競争は、社会のいたるところで行われています。
 そうした競争、いずれも、相手に勝つことを目的にしていることは言うまでもありません。ただ、問題は勝ち方です。
 いきなりですが、タイガーウッズが、競り合いの場で、相手が見事なバーディを決め自分より有利になったにもかかわらず、ガッツポーズをしたという話があります。
 なぜでしょうか。
 スポーツマンなら彼の気持ちがわかるかもしれません。
競争では、相手がミスをしたり、力を出せなかったりで自滅してしまい、勝てることがしばしばです。しかし、タイガーウッズ選手はさすがですね。相手が最高のプレーをした。それにもかかわらず自分がそれに勝てるとすれば、それは自分に力があることのこの上ない証明になる、というわけです。
一流の選手は、やはり違いますね。イチローも、こんなことを言っています。
「ライバルとは、自分が打ち負かしたい人間ではない。それは、自分のモチベーションをあげてくれる存在であるべきだ。」
2人に共通しているのは、競争を、相手に勝つためではなく、自分をより高めるための場としているところです。すごいですね。だからこその一流なのですね。
自分は、素人テニスの試合では、本当に相手が(自分も)よくミスをします。ですから、ミス期待でひたすらねばります。それだけで結構、ゲームに勝ててしまいます。うれしくなってしまいます。だからいつまでももう一段上にいけないのですね。反省です。 
このように、競争には、勝ち負け志向だけでなく、達成志向という面もあることは知っておくとよいと思います。たぶん、達成志向の競争が、人類の進歩を牽引してきたのだと思います。

●勝てば気持ち元気
 勝ち方にはいろいろあっても、ともかく勝てば元気になれるのが人間です。
 それが次の競争に駆り立てることになります。かくして、競争中毒まっしぐらとなります。
 日本全体がこうなった時期があります。自分が研究者生活に始めた頃の高度成長期(1960年代)でした。あらゆる資源が拡大する時期でしたから、誰もが努力さえすれば競争の勝者になれました。敗者も復活が比較的容易でした。
 ですから、社会全体、元気が溢れていました。
 2009年の大不況の今、どうでしょうか。限定された資源の中での競争を強いられています。勝者はチャンスも数も減り、敗者ばかりが溢れ、ひとたび敗者になるとどうにも這い上がれない状況になってしまいました。
 これは社会問題ですが、実は、同じことが一人ひとりの心の世界にも起こります。
 受験、就職の厳しい競争に勝ち、心は元気はつらつ、すべて順風満帆。
 そこに突然、敗者に突き落とされるようなことが発生。心の破綻、というような状況です。

● 競争で心を元気にするコツ
① 競争中毒からの解放
 競争に勝つことは心を元気にすることは間違いないのですが、いつもいつも勝つということはできません。必ず、負けることがあります。負ければ、心は落ち込み、最悪、心が壊れます。ですから、大事なことは、負けたときの心の対処の習慣です。
 まずは、普段から競争中毒からの解放を習慣づけておくことです。そうすれば、負けてもダメージがすくなくてすみます。
 人生に競争はつきもの。そこから降りるわけにはいきません。しかし、競争中毒になっては困ります。こんな症状です。
 ・いつも勝ち負けが気になる
 ・勝ち負けの視点からしか世の中、仲間を見ることが出来ない
 ・勝ったときと負けたとときの気持ちの振幅が大きい
 ・四六時中、勝つための努力をしないと気がすまない
 ・勝つための努力をしたものはそれ相応の尊敬と処遇を受けて当然
 こういう症状があれば、危ないです。
 ではどうするか。簡単なことです。一時的に競争から降りる習慣をつけておけばよいのです。
 「一時的」の意味は、通常の休暇をきちんととることが基本ですが、それ以外にも、勝ち負けとは関係のない生活、たとえば、家庭生活、趣味や勉強(研修)などをきちんと組み込んでおくことです。
 そして、気持ちの上ででも結構ですが、勝った功績を人に譲るのです。
勝つことにとらわれないためです。
しかも、そうすれば、あなたの周りも元気になれます。
さらに大事なことは、負けたときの周囲からの支援が得られことです。いわば、競争に保険をつけるようなものですね。
 
②競争とは無縁のサンクチュアリーを用意しておく
 競争中毒からの解放のためには、さらに、徹底して競争する領域を用意しておく、というより、競争をそこに限定するのです。
 アメリカでは、仕事できった張ったで儲けた莫大な財産を慈善事業に寄付することが普通に行われています。
 競争で勝つところと、競争とはおよそ縁のないサンクチュアリー(聖域)とを行ったりきたりしています。
 これは、生き方としてはなかなか賢いと思います。
 我々貧乏人でも、お金はなくとも、その生き方は真似することができます。
 ここでは絶対に勝つと(信じて)がんばる領域と、もう一つ、競争とは無縁のサンクチュアリーも用意しておくのです。そんな2つの領域を往復できるようにしておけば、いざ負けたときにでも、シェルターがあります。
 それは、仕事の場と趣味の場、職場と家庭といった形でもよいし、仕事でも、競争するときところと競争とはときところを分けてもよしです。ともかく競争とは無縁の領域を確保することです。

③競争のルールを守る
 スポーツの競争がそうですが、競争には、必ず、ルールがあります。
 自由競争という言葉は、厳密に考えると形容矛盾です。
ルールの下での競争が、競争に内在する野放図な振る舞いを制御します。
これは、しかし、競争する人にとっては、ありがたいことです。これがあるから、節度をもって、ある意味、安心して競争にのぞめるのです。
ルール破りは即勝ちにつながりますから、その誘惑は時には強烈なものがあります。しかし、それは心の元気にはまったくつながりません。かえって、強いストレス、場合によっては、PTSDにさえなります。
ルールを守っての相手との節度ある闘争心による気持ちよい勝ち方こそ、心のさわやかな元気につながります。




最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
先生の競争は(*^_^*) (green)
2009-12-10 02:51:13
全てよく拝見させて頂き、思いました。笑顔になれた事が一つ(^^)v
先生のテニスでの競争(?)は、とても可愛らしい、純粋な少年のような、*楽しい競争*だと(^-^)/

greenは、誰かと競うのがあまり好きではありません(^^;)

理由、ふと思い浮かんだのが、 "もし子供にじゃんけんを頼まれた時、greenが勝手、その子が負けてしまったら、ないてしまうんじゃないか(・・;)?" っと想像するからです(^^;)
どうでもいいジャンケンポンに勝ってしまって、どう対処するのか(?_?)…
っと考えてみて 思いついた言葉★ →"今のはお姉さんが遅かったー;もう一回しよう(*^-^)ノ"

っといいますキット♪

フィギュアスケート選手の中にも、トップにたった選手をほめたたえる選手がいます☆自分との戦い(敵は自分の中にあり)と。

greenは、自分に自信がなかなか持てないせいか、やはり自分と戦って向上心を目指してしまう所があります; 悪く言えば、完璧主義者(゜Д゜;≡;゜Д゜) ←「善くないぞ(=_=;)」 っと;;

《自分らしくを大切に》している今です(*^_^*)
返信する

コメントを投稿