心の風景 認知的体験

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夕方の運転は難しい

2006-12-13 | 心の体験的日記
夕方5時。真っ暗。
友人を守谷駅まで送っていった
走り慣れた道なので、不安はなかったが、
それは昼間のこと。
まっくらの中の運転は、昼間とはまるで違う光景
迷いに迷ってやっと駅まで。
怖かったナー
かとうさん、御免ね。でも無事でよかった!!

感情と思考

2006-12-13 | Weblog
06・12・13海保

水と油のように扱われてきた2つの心の領域である感情と思考とをタイトルに掲げた辞典を作ってみる。いわば、デカルトとフロイトが共編者になったような本を作ってみる。できるかどうは、まだ確信がもてないのだが。

その意図は、次の4点。
1つは、いずれの領域も、近年、心理学の領域の中でも著しい知見の蓄積がなされている領域であること。
2つは、それぞれ単独の心の領域であるようにみえながら、実は、日常的には両者は密接に関連(融接)していること。
3つは、実践的な場で、感情管理、思考管理が重要になってきていること。
4つは、ヒューマノイドロボットに具現化されているように、感情も思考も工学的にも強い関心が寄せられていること。
こうした企画意図を満たす事典が作られることで、感情と思考の融接領域への関心が高まり、それがひいては、その領域の研究が活発になることを期待するものである。

東京成徳大学キャンパス散歩

2006-12-13 | 教育
昼食後のキャンパス散歩
寒くなってくるとついおっくうになる

今日はうす曇で絶好のひより
たっぷりと日陰を選んでの往復散歩
30分も歩くと、しだいに気分が高揚してくるのがわかる
やめる決断が難しくなる
40分を一応のめどとしている
これを越えると翌日からだに痛いところがでてくるからである。

最近の取材テーマ

2006-12-13 | 心の体験的日記
・エラーを防ぐ 日経
・目撃証言 読売新聞
・子どもの集中力 プレジデント
・子どもの勉強法 日経キッヅ
・エラーしながら生き生き生きる メルマガ

最近の執筆原稿
・言い訳わいがや会議のすすめーーエラーを活かす
・ヒヤリハットを活かす
・説明社会を展望する
・モデル論的アプローチ


認知の科学と情報デザイン上の問題発見

2006-12-13 | 認知心理学
 

認知の科学と情報デザイン上の問題発見
   
 海保博之 筑波大学心理学系

はじめに
 物のデザインに加えて情報のデザインも、デザイナーの重要な仕事となってきた。情報デザインの何が問題でそれをどのようにすれば解決できるのかを考えるためには、ユーザ(使い手)の認知特性(情報処理特性)に配慮することが求められる。認知の科学は、ユーザの認知特性を知るための基本的な視点と知見を提供するだけでなく、情報デザイン上の問題点を発見するための手法(ユーザビリティ・テスト)(7.6参照)をも提供する。

1)ユーザの認知特性をとらえる基本的な枠組
 デザイナーはデザインする対象・内容を理解した上でデザインすることになるが、さらに、そのデザインを、どのようなユーザがどのような状況で使うのかに思いをはせる必要がある。図1を参照されたい。デザイナーからユーザ・状況を経由しての曲線が、それを意味している。これは、教育現場で、教師が子どもに配慮した授業を設計することに似ている。たとえば、コンピュータについての授業をするとき、1年生と6年生とでは、授業の仕方がまったく異なるはずである。それが、相手に配慮した情報デザインということになる。
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        デザイナー
    理解     表現       

機械・道具   デザイン        


        ユーザ    認知の科学
        状況

図1 ユーザに配慮したデザインとは
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 ユーザに配慮するとは、もう少し具体的に言うなら、ここでは、コンピュータにかかわる情報デザインに話を限定すると、ユーザの認知特性に配慮するということになる。
 コンピュータという情報処理マシーンの出現は、ユーザと機械・道具とのかかわり(インタフェース)の質を変えた。従来は、ユーザの身体的・生理的な特性と機械の物理的な特性との適合性が、インタフェース設計の主要な問題であったが、コンピュータの出現は、図2に示すように、コンピュータの情報処理と、ユーザの情報処理との適合性という新たな問題を発生させた。ここに、人とコンピュータの情報処理特性を研究している認知の科学への期待がある。



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ユーザ ユーザの情報処理 機械の情報処理  機械  課題

図2 ユーザとコンピュータとの交流の構図(Rasmussen,1986,樋渡、1985を改変)
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2)情報デザイン上の問題発見に際して配慮すべき  ユーザの認知特性と問題発見上の指針
 デザイナーがデザイン上の問題を見つける上で配慮すべきユーザの認知特性の最も基盤的なものは、認知的節約の原理である。ユーザにいかに頭を使わせないで(認知的コストをかけさせないで)コンピュータと交流できるかを考えることである。以下、この基盤から派生する認知特性7つとそれを踏まえたデザイン上の問題点の発見のための指針をあげてみる。

a)ユーザはパターン認識が得意---知覚特性
 人は、一瞬のうちに、全体、全体と部分、および部分間の関係をつかむパターン認識能力が際立って優れている。
 この能力が発揮できる情報環境をデザインするためには、情報のパターン化がポイントになる。ともすると断片化されがちな情報環境を、全体が何であるか、今見えている情報は全体や別の情報とどのような関係にあるかを表示することが求められることになる。
指針1 全体の構造(関係)が常にわかるようにしているか
指針2 ナビゲーションの履歴を見せているか

b)ユーザはまとめるのが得意---知覚特性
 人は、視覚的、意味的にまとめることのできる情報は一つにまとめて処理するチャンキング(chunking)能力に秀でている。
 この能力を支援する情報環境をデザインするには、見た目のまとまりと意味的まとまりとが一致するようにすることである。
指針3 意味的なまとまりが見てわかるようにレイアウトしているか
指針4 多彩な情報を一度に表示するときは、区別化と階層化をして    いるか、

c)ユーザは注意資源の効率的な配分が得意---注意特性
 人は、必要なら注意を自分でコントロールできるが、多くの場合は、情報環境にある目立つ物に注意が引きつけられることで、注意配分のコストの節約をはかっている。
 注意のこの特性は、大事なものは目立たせることで、ユーザの注意を自然に(強制的に)引きつけることに活用できる。その上で、必要に応じてユーザみずからが能動的に注意資源を配分することで、より精緻な情報処理をさせることになる。
指針5 注意を引きつけたいところは、ブリンキング、色、大きさ、    対比などによって目立たせているか
指針6 注意を誘導したあとは、正確かつ十分な情報を提供して深い    処理を支援しているか


d)ユーザは再認が得意---記憶特性
 人は、思い出すべきものを見せられればそれが思い出すべきものであることに容易に気がつく。これを再認という。これに対して、思い出すべきものを思い出すことを再生という。一般に再生より再認のほうが認知的コストは低くて済む。
 再認能力の発揮を支援するためには、ユーザが持っている既有知識を思い出せる手がかりを情報環境の中に呈示することになる。
指針7 コマンドよりもメニューにしてあるか
指針8 アイコンも思い出す手がかりを豊富に提供しているか

e)ユーザはヒューリスティック思考が得意---思考特性
 人は、日常生活や機械・道具の使用に際して、論理的・計算的に思考をすることはまれである。むしろ、論理の飛躍による発見的思考や連想による創発的思考のほうを展開する。このほうが認知的節約原理にかなっているからである。
 こうしたヒューリスティック思考能力は、解決目標を意識させた上での知識世界の自由探索を保証する情報環境を提供することで、より妥当な(適応的な)ものになる。
指針9 解決したい課題を絶えず見えるようにしてあるか
指針10 思考の履歴を見せているか

f)ユーザはわかったつもりになるのが得意---思考特性
 人は、何が何やらわけがわからない(認知不安の)状態を嫌う。それは感情的な反応であるが、認知的節約という点からも、その状態を引き起こした原因分析に資源を費やし続けなければならないので、好ましくない。そこで、その状態から抜け出るために、状況を自分なりに解釈して納得しようとする。その解釈のために構築されるモデルをメンタルモデルとよぶ。
 メンタルモデル駆動による妥当な(適応的な)解釈を支援するためには、論理や計算に訴える表現よりも、視覚表示やなじみの知識で判断できる情報環境を提供することになる。
指針11 たとえを有効に活用しているか
指針12 what,why,howに関する情報を必要に応じて見    ることができるようにしているか

g)ユーザは感性にしたがった情報処理が得意---感性特性
 人は、情報を処理する際に、感性を同時に働かせる。そして、感性にあう情報はスムーズかつ十分に深く処理される。
 感性に従った情報処理を支援するには、快感情を伴う情報処理の仕掛けを組み込む必要がある。
指針13 美しさを感じさせるか
指針14 自己効力感をもたせるために、過度の自動化の抑止、フィ    ードバック情報の提供をしているか

おわりに
 認知的節約の原理を基盤に、デザイン上の問題を見つけるための指針を提出してみた。この指針に従ったデザインは、ユーザに機械・道具の操作よりも課題解決そのものに認知資源をより多く配分してもらうことにつながるが、一方ではしかし、機械・道具の使用に際しては誤った情報処理(思い込みエラー)に導くというリスクを常に伴っている。フール・プルーフ(fool-proof;馬鹿なことをしても大丈夫)やフェール・セーフ(fail-safe;故障しても大丈夫)や多重防護といった安全工学上の方策にも留意する必要がある。

引用・参考文献
樋渡涓二 1985 人間と機械の情報交換 田村博編「ヒューマン・インタフェース」コロナ社
海保博之・原田悦子・黒須正明 1991 認知的インタフェース  新曜社
Rasmussen,J.1986 Information processing and Human-machine
interaction--An Approchi to Cogintive engineering. Elsevier Science Company(海保博之・加藤隆・赤井真喜・田辺文也訳)「インタフェースの認知工学」啓学出版