「わあ、機長さんが手を振ってくれた」。神戸空港ビル3階に子どもたちの声が弾む。そこからジャンボの操縦室が真正面に見える。中の機長が白手袋で子どもたちに応えているのだ。いつのころからか、それは半ば習慣化しているという。
ビルから操縦室まではわずか約25㍍。とくに背の高いボーイング777は視線さえ合いそうな近さである。日本航空のベテランパイロット牧寿さん(43)も「世界的に珍しい」という。ジャンボはその後、車に押されて後ずさりし、滑走路へ向かう。その直前の時間帯はすべての整備が終わり、ほんの10秒間ほどほっと出来る瞬間なのだそうだ。
地上から「いってらっしゃい」と合図を送る整備士たち。機長はビルの見送り客に手を振るとき、「任せて下さい」と気を引きしめる。
【西村浩一】
『毎日新聞』1月11日付 、地域ニュースの小さな囲み記事の欄「かんさい風味」です。タイトルは「機長の10秒間」。
へえーと思い、なるほどと思い、なんとなくほっとする思いがしました。
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