三流読書人

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ドングリ小屋住人 

種田山頭火 おとはしぐれか

2006年01月10日 12時52分22秒 | 教育 
  おとはしぐれか

 これは俳句である。作者は山頭火。
 山頭火の時雨を題材にした秀句は多い。
  しぐるるや死なないでいる
  しぐるるやしぐるる山へ歩み入る
  うしろすがたのしぐれてゆくか
 などあるが、この句は、
  おとはしぐれか 
 七字である。
 大山澄太氏は、「わずか七字という短律であるが、これには他の一字も加えることは出来ない。この句は昭和七年十月二十一日、山口県小郡の其中庵での作である。日記(山頭火の)を見ると、
《曇、それから晴、いよいよ秋が深い。朝、厠にしゃがんでいると、ぽとぽと、ぽとぽとという音、しぐれだ、草屋根をしたたるしぐれの音だ。
  おとはしぐれか 
という一句が突発した。》
とある。私もしばしば庵を訪ねてその厠にしゃがんだことがあるが窓のない暗いところ。秋深む天地のささやきが、孤独な山頭火の体を竪に通って地に落ちる、そうしたしぐれではあるまいか。」と紹介している。(『別冊新評』山頭火の世界「俳僧山頭火の句」大山澄太)

 種田山頭火、いくつになっても、気になる俳人、というよりも、人である。


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