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2022年は客観的な予想を心がけます。

スプリンターズS(GI)展望

2007-09-29 00:08:19 | Weblog
【スズカフェニックス】
前走の安田記念5着は、電撃戦で攻めの競馬をした直後だけに折り合いに専念する形。だが、少しでも気を許せばガツンと行きそうな気配の道中。馬群が固まり終始、外めを通らされる。直線も大外へ持ち出さざるを得ず。かなりのロスがあったうえに、エアシェイディと馬体を接触する激しい攻防。それでも怯むことなく突き進む。長く脚を使い、一完歩毎に鋭く迫るも、平均ペースで内有利の馬場では厳しいものがあった。前々走の高松宮記念1着は、下見どころで外めを気分よく周回。デキの良さは明らかだった。道中は好発から馬場のいい外めを追走。馬場が重く、ペースも緩かったため追走に苦労することなく3角では早めにポディションを上げる意欲的な内容。4角でプリサイスマシーンに早々並びかけると、直線も大外を一頭だけ違う脚色で駆け抜け、決め手の鋭さを発揮して圧勝した。鋭い決め脚が武器だが、実はテンに行ける脚もある。それを我慢させて終いの爆発力に生かしている。折り合いに不安のあるタイプで、マイルでは余計な神経を使ってしまう。スプリント戦ならその不安は皆無。急坂に屈しない脚力があり、中山も問題ない。あとは馬インフルエンザの影響で帰厩が遅れた点。最終追いはこの馬らしい迫力満点の動きだった。

【ペールギュント】
前走のCBC賞6着はトップハンデの58㌔を背負い、道中は好位の外めを積極的に追走。だが、重馬場が自然と体力を消耗させる。直線入り口では勝ち負け圏内にいたが、伸び切れなかった。上位馬はこの馬より3㌔以上軽かった。4走前の高松宮記念2着は、初のスプリント戦だったが、大外枠から中団で流れに乗る。最終週で内の馬場状態が悪く、終始良いところを通れた。三分三厘で大外から手綱を押して仕掛ける。直線で一瞬の脚で迫った。以前は中距離で詰めの甘さを露呈していたが、スプリント転向後はタメての一瞬の脚が使えている。馬インフルエンザの影響で帰厩が遅れたが、最終追いの動きを見る限り、何とか動ける態勢か。中山コースは一瞬の脚を生かすには絶好の舞台だろう。

【プリサイスマシーン】
トビが大きく、四肢を目一杯伸ばした走法を見る限り、中距離タイプ。だが、スタートセンスが抜群で、どんな距離でも器用に立ち回る。鞍上曰く、左回りではコーナーワークにぎこちなさが残る。右回りに替わるのは歓迎材料だ。ベストは1400㍍だが、好位でうまく脚をタメられれば、阪急杯のように一瞬の脚で迫れる。

【サンアデュ】
前走の阪急杯1着は、4番枠から好発を決めると、抑え切れない手応えでハナへ。腕っ節に定評のある川田が何とかなだめて我慢、我慢。三分三厘で内のGキャストを前に行かせ、2番手から仕掛けどころを待つ。引っ張り切りの手応えのまま直線を向くと、川田が手綱をシェイクさせてハミをかける。そして、残り1ハロン地点で渾身の右ステッキが注入されると、抜群の脚力で一気に後続を突き放す。最後までその脚色が衰えることはなく、スプリント戦としては圧倒的な差となる5馬身をつけて圧勝。勝ち時計1分7秒1はビリーヴと並ぶレースレコード。前々走の北九州記念7着は、発馬直後は3,4番手に取り付くことができたが、鞍上がうまく誘導できず、3角でゴチャついてポディションを落とす。それでも、最後まで集中して走り続けていた。揉まれなければ相当に強い。今回は人気を背負い、マークされる立場。外からか被された時の不安はある。

【アストンマーチャン】
前走の北九州記念6着は抜群のスピード性能で発馬直後に馬なりのままハナへ。だが、外から2頭が競りかけ、それを避ける形で手綱を引いて控える。その後は何か鞍上と呼吸が合わない感じで、ドンドンと外から来られる。4角で手綱を動かし慌てて仕掛けるも、馬場のいい外めへは持ち出せない。仕方なく直線で馬場の悪い内めを通り、一旦は抜け出すかの勢いだったが、最後は力尽きた。スムーズさを欠いたうえに、馬場の悪いところを通らされた影響も大きかった。仕方なし。休養前の桜花賞7着は下見どころからイレ込みが激しく、返し馬ではモロに掛かっていた。レースでも案の定、外枠から抑えが利かずに暴走し、末をなくした。前走で楽々とハナへ立てたスピード、気性を考えると間違いなくスプリンター。被されることなくスムーズな競馬をしたいので、外枠がほしいところ。普通の馬ならスプリントの外枠は不利なのだが、この馬はスピードの絶対値が違うので逆にプラスとなる。スムーズな競馬ができれば、終いの脚力も驚異。鞍上は中舘。

【アグネスラズベリ】
前走のセントウルS9着は北海道遠征からの中1週で20㌔減。腹、腰回りの筋肉が落ちてしまった。不利な大外枠から道中は、中団の外めを追走。だが、4角での反応がいつも以上に悪く、直線もズルズルと後退してしまった。度外視。前々走のキーンランドC2着はレース13日前に熱発。万全のデキになかった。道中もテンから外々を回され、4角では馬6頭分も外に膨れる。だが、直線で立て直すと、一完歩毎に鋭い脚を使って追い込む。僅かに勝ち馬には及ばなかったものの、コース差を考えれば負けて強しの内容だった。前々走の函館スプリントS1着は2番枠から道中は中団のインを追走。終始、手綱のアクションに余裕がなかったが、これはいつものこと。4角で気合いを付け、直線もインに。少しゴチャついたが、最内に進路を見つけると、狭いところを一瞬の脚で一気に突き抜けた。

【クーヴェルチュール】
前走のキーンランドC1着は道中、逃げ馬を行かせて2番手の外から。終始、スムーズな折り合いで、4角で楽な手応えのまま先頭へ躍り出る。直線でスッと左手前に替え、突き抜ける。最後はAラズベリの強襲に遭うも、何とか振り切った。前々走のアイビスSD3着は2ハロン目から9秒9-10秒7-10秒5と超ハイラップを刻む流れを残り500㍍から先頭で果敢に競馬。だが、いくら直線競馬とはいえテンのオーバーペースが響き、ゴール前で甘くなったところを差されてしまった。とにかく気性が前向きで、スプリント向きの先行力を備える。前走は軽めの調教に終始したが、この中間は2週続けて坂路で48秒台。唸るような気配だ。この動きなら中山の急坂も克服しそうだが…

【キングストイレイル】
前走のダービー卿CT1着は、2番枠から抑え切れない行きっぷりで好位のイン追走。終始、抜群の行きっぷり。他馬の手綱が激しく動いた4角でも抑えるのに苦労するほど。直線で瞬時の脚で抜け出すと、頭の高い走法で押し切った。とにかく強かった。初のスプリント戦となるが、テンに行く脚を備えており、頭が高くて一瞬の脚を生かすタイプ。嵌るかも。絶好のデキ。

【ローエングリン】
前走の宝塚記念18着は18番枠からスッと楽にハナへ。だが、雨馬場にも関わらずガンガン飛ばし、1000㍍通過が57秒5。これでは三分三厘でバテて当然。度外視。前々走のマイラーズC12着は、逃げ馬が縦長のスローに落とす異質な流れを4番手追走。道中はリズム良く折り合っていたが、直線を向いて成す術なく後退。苦手の瞬発力勝負で持ち味を発揮できなかった。前々走の中山記念1着はロケットSからハナを奪う。中盤の向こう正面で流れを緩めることなく、11秒6-11秒3と加速。後続になし崩しに脚を使わせ三分三厘で息を入れる。そして、直線で再び加速させ、差を広げる。さすがに最後は筒一杯になってしまったが、何とか振り切った。どうしても力む癖があり、距離が長いと最後まで息が持たない。この距離なら道中の力みを気にしなくて良いし、初のスプリント戦となった05年のCBC賞では、楽に4番手に取り付いているように追走に戸惑うこともない。中団で脚をタメ、最後の脚力を生かせれば面白い存在だ。馬インフルエンザの影響で帰厩は遅れたが、急ピッチに乗り込まれている。