むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ヒメウコギ:(勤倹米沢藩の象徴?うこぎ飯) 8月8日

2015-08-08 16:12:30 | 植物観察記録
東北の旅昼食を摂ったのが、上杉15万石の城下町米沢の、その名も上杉伯爵邸でした。
郷土料理という中でのご飯は珍しい“うこぎご飯“でした。街角では”ウコギジェラート“なるものも売られています。
公園の生け垣はこの材料となっているヒメウコギでした。別名で単にウコギともいわれるヒメウコギは、本来中国原産で薬用植物として渡来したもので、野生化したものも見られます。
高さ1~2mの落葉低木で、互生する葉は短枝に群がってつき掌状複葉になり、小葉は五個で長さ2~7cm、幅1~2㎝の倒卵形または倒卵状長楕円形で、縁には粗い鋸歯があります。
根の皮を五加皮といい鎮痛・強壮などの薬になり、香りと苦みのある葉はあえ物やウコギ飯にされます。
そのうこぎご飯、珍しいものの、格別印象深い風味のあるものでもありませんでした。


ドクウツギ:毒空木(危機一髪) 

2015-08-06 12:37:09 | 植物観察記録

東北地方のツアー初日、裏磐梯五色沼周遊コースに入ってまもなく、赤と黒の丸い果実をつけた低木に出会いました。
ドクウツギ:毒空木(ドクウツギ科ドクウツギ属)です。ユキノシタ科のウツギに似て毒があるからこの名があります。
本州近畿以東、北海道の川岸や日当たりのよい道端などに生える落葉低木で、別名もイチロベゴロシといわれて、名の通り強力な毒(アルカロイド)を有しています。赤く熟果科実は一見美味しそうに見えますが猛毒で、死亡例も少なくないといいます。
葉は対生し、長さ6~8cmの卵状長楕円形で3行脈が目立ち、見極めが比較的容易ですが、これまた生葉24gが致死量といわれるほどの猛毒です。
以前植物園で見かけたことがあるものの(’9年7月31日記事)、山野で見かけることがなかったこのドクウツギ、いつもなら五感を駆使して観察などと称して見境なく葉や果実を味わう癖がある“むかご”ですが、何故か見た途端ドクウツギだと直感しました。たぶん毒々しい名前とウツギに似た木の様子などが強く潜在意識にあって、それと気が付いたのでしょう。おかげで旅の始めに危うく毒にあたることを免れました。
本科はドクウツギ属1属からなり、日本にはこの1種だけ、世界に約10種がアジアや北アメリカなどに隔離分布することでも知られています。
同様の隔離分布する植物としては、ハエドクソウ、サネカズラ、イワナシ、モクレン科のいくつかなどがあります。これらの隔離分布がどうして生じるかについては、前川文夫博士の「古赤道分布」説が有力ですが謎が残ります。


ウメガサソウ:梅笠草(真上を向く果実)

2015-08-05 16:24:26 | 植物観察記録

2010年6月八ヶ岳中腹八千穂高原自然園で、ベニバナイチヤクソウの見事な群落を見たとき、片隅の木陰に1本だけウメガサソウ:梅笠草(イチヤクソウ科ウメガサソウ属)が白い花をやや下向きにつけているのを見つけ、はいつくばって接写写真を何枚も撮りましたが、帰って見てみると見事にピンボケで残念な思い出だけが残っていました。
そのウメガサソウが、たじま高原植物園でたくさん見つかり、上向きに径5㎜ほどのさく果をつけていました。
やや乾燥した丘陵地や山地の林内に生える高さ10~15㎝の多年草で、2本の枝をだし、葉は2~3枚ずつ集まってつき輪生のように見えます。長さは1.5~3.5㎝の披針形で光沢があり、白い中脈があります。6~7月茎頭に直径1㎝ほどの白い花を1個まれに2個つけます。
和名は花の形からきており、常緑で冬も枯れません。