へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

京(みやこ)、タコ壺にあらわる

2010-04-20 23:19:30 | へちま細太郎
藤川京さんは、一応お姫様である。
若いころ婚約者に捨てられ、生きるの死ぬのと大騒ぎをして、周囲を慌てさせた。が、本家の隠居が尼寺でもあるもと山荘の管理をせよ、と強引に出家をさせてしまった。
京が修業から戻った時には、さらにヤンキーの弟も隠居と住職に騙され、入れ替わるように修業へとかりだされていった。
ところで、二人には姉がいた。姉はミッション系の学校に幼稚園から通学し、まさしく、「ごきげんよう」を地で行く生活を送っていたのだ。
「一応ね、私も、学生のころは、十字をきってたのよ~」
タコ壺保健室に不似合いな墨染めの衣の尼御前が、5年ものの梅酒を飲んで笑っていた。
「何しにきたんだよ」
俺に露骨に嫌な視線を向けられても、
「呼び出されたんだよ」
と、まだ居座る不気味な小百合を指した。
「何で」
「さあ」
何でこんな意味不明な人間をどんな理由で呼び出したんだ。
というわけで、タコ壺の主も俺も、とんでもない客に深いため息をついたのであった。
みんなの藤川でしたあ~。

明日は雪?

2010-04-16 23:18:24 | へちま細太郎
「なに~い?明日雪だと~?」
「正確には雨か雪だよ」
「4月だろ?」
「4月だよ」
「くっそお」
「何で怒ってんだ?」
「風邪が治んねえだろ」
「おとなしくねてないからだろ」
「余計なお世話だ」
と、怒ったおとうさんは、くしゃみを連発して鼻水をたらしたのであった。
4月に雪なんて…。
降ったらすげえよな。
へちま細太郎でした。

やっぱりカレーは

2010-04-15 23:16:22 | へちま細太郎

ヘロー藤川だ

吐き気のないおやじさんとおふくろさんが、
「カレーが食べたい」
といったので、“ふつう”のカレーを作った。
「これよ、これ」
体調がよくなってきた二人は満足げだ。
「こういうカレーが落ち着くもんだ」
「ほんとだねぇ」
じゃがいも、玉ねぎ、人参、豚肉の単純なカレーだ。カレールーはもちろんハウスバーモントカレーさ。
うん、俺もこれなら大好きさ

ところで、こ~いっちゃん、うらみがましい目でみるの、やめてくんない?


おばあちゃんとおじいちゃん風邪をひく

2010-04-13 23:28:52 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

おばあちゃんが風邪をひいた。喉がガラガラで声がでない。
おじいちゃんも風邪をひいた。くしゃみの連発だ。
家に帰ったら、二人が枕を並べて寝ていた。
「ごめんね、細太郎、ごはん無理だわ」
おばあちゃんがガラガラ声で言うので、
「おばあちゃんたち、ごはんは?何食べたい?」
と、心配になって逆に聞き返した。
「はい、こういう時はおまかせ」
と、ばかりに藤川先生が豆乳のお味噌汁を作ってきた。
「お腹に優しいですよ~」
いそいそとお椀にお味噌汁を注いだ。
「いつも悪いな」
おじいちゃんが情けない声を出す。
「ところでバカ息子はど~した」
「何だかトイレにこもりきり」
という返事に様子を見に行ってみると、
「死ぬ~」
と、おとうさんが転げ出てきた。
「ど、ど~したの?」
「ほ、ほそたろぉ~」
と足にすがってきた。
「何だよっ」
「気持ち悪い」
「え?」
慌てたぼくはおとうさんを助け起こそうとしたら、
「げぇ」
と足に思いっきりゲロをはかれた。
「なんだよっ、どうしたんだよっ」
ぼくの叫び声に藤川先生がかけつけてきて、ぼくの足もとでゲロまみれになっているおとうさんをみて、
「うわあっ」
っと叫んだ。
おとうさんも気候の変化についていけずが高熱を出し、寝込んでしまった。
そんなわけで、またも阿部さんのお世話になるはめになった。
あ~もうっ

花散らしの雨

2010-04-12 22:49:46 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

桜の花が咲いて、昨日僕たちは学校で花見をした。阿部さんの花見弁当は、みんなから感謝をされた豪華三段重ねだった。
うん、やっぱり普段のごはんより数段すごい。どうしてこういう時はおいしく食べられるんだろう。不思議だなあ。
で、ポカポカ陽気の昨日と打って変わって、何だよ今日の雨と寒さは。 せっかくの桜が台なしだ。
ぶつぶつ文句を言いながら教室に入ると、なぜか桜の枝がビール瓶にさしてあった。
「何だこりゃ」
「さあ」
「朝からあったよ」
野茂が桜の花びらをつまんだ。
「ど~せ浜中でしょ~、ビール瓶だもん」
なるほど、そういわれてみれば納得だ。
昨日あたり酔っ払ってどっかで枝ごとおってきたに違いない。
全く…。
でも、ま、気分が晴れやかになっていいや。