へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

殿様登場

2010-05-03 23:02:30 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

昨日のつづき。
ぼくたちが連れていかれたのは、藤川家の横浜にある別宅だった。横浜の山の手にある瀟洒な洋館で、横浜に港ができた時に海外との貿易をするために建てたんだそうだ。
何の貿易をしたんだか想像がつくだけに、この一族の食いしん坊ぶりに呆れる思いだ。
りょうこちゃんは、初めて見る洋館に興奮気味だ。
「すご~い、素敵」
女の子だなあ。それを聞いた藤川先生は、ちょっと気分よさげにドアを開けた。と、「おやじっ
藤川先生が硬直して立ちすくんだ。
「おとうさん?」
ぼくらは藤川先生の後ろから部屋を覗き込むと、ソファーにゆったりと座ったダンディな藤川先生のおとうさん…藤川家の殿様の姿を発見した。
ぼくをみつけた殿様は、にっこりと微笑むと、
「孝禎の考えることは、お見通し」
と優雅な手つきで、タバコに火をつけた。う~ん、御隠居さまとは似ても似つかない容姿は、やんごとないご身分だった大おばあさまに似ているからだろうな。
「孝禎、逃げても無駄だぞ」
藤川先生がその場に座り込んで頭を抱えたのは、言うまでもないないよな


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