へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

釣り人知らず4

2021-09-17 14:58:25 | へちま細太郎

山崎です。
どうも、初めまして。細太郎と同じ研究室です。
留年してるんで、細太郎と年は同じです。はい。
ここからは、俺が…。

つくばった大学の人工池は、もうできてから50年近くたっている。構内のこれまた人工小川を繋ぐ形でいくつかある人工池がつながっている。もちろん、うちら理学部や農学部には貴重な研究池であり、遠く離れた文学部には憩いとなっているようだが、そこは知らん。この池にブラックバスが目立つようになったのはここ10年くらいで、最初は金魚だのなんだのがいたんだがこいつらに食い尽くされてしまった。
金魚は文学部が流したらしい。ロクなことしねえな、あいつら。
生命工学や生命科学だの、地球上の生命にかかわる俺たちの研究には邪魔ことこの上ない。あいつらの言い草では、文学的表現に欠かせないんだそうだ。
金魚が花になって妙な鳴き声を上げるったあ、地獄の沙汰である。
(どうも、鬼灯の冷徹のことを言っているらしい。細太郎談)
で、そこへもってきてブラックバスの異常な増え方にさすがの教授たちも切れて、
「駆除して食べてあげましょう」
と静かに言い放ったので、代々こうして理学部・農学部の優志でバス釣りをかましてるわけだ。
「で、チョイノリがおまえのものだった、という理由はなんだ」
理由もへったくれもあるけえ、
「働いたら負けだからだよ」
釣りオヤジには理屈がわかるまい。釣りは趣味ではなく、生きる糧なんだ。
「ああ?釣りは釣りだあ、車から歩いてこられないからチョイノリ乗ってどこが悪い」
「それが、どーした、働いたら負けだといっているだろ、チョイノリも貴重な資金源だ。近場の人間に売ったのは運送費を節約しただけだ」
「遊ぶ金欲しさだろうが」
「ボケが、それは細菌とウィルス体系という本に化けた。ウィルスだぞお、大腸菌だぞお。ちなみに、口の中の細菌の数は、あんたのケツの穴より多い。ほ~れほれ、何を舐めたか知らねえそこらのねーちゃんとキスしてっと、死ぬぞ」
ちょっと大げさにかましてやると、釣りオヤジたちの表情が青くなったり赤くなったりと、信号よろしく変わりまくる。
ハッタリも時には武器になる。
「よおくいったあ、吾輩の講義のたまものだあ」
中島教授がいつも以上に声を張り上げた。
「ちょうどいい、今日で2週間風呂も自粛しておった、ほどよく細菌も醸されているぞ」
「げっ」
釣り人オヤジは、慌てて中島教授の隣から飛びすさった。
うん、「騙り」足りないが続いてしまおう。。。


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