へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

とんでもない話があったもんだ9

2018-12-25 11:41:05 | へちま細太郎

細太郎です。

仮面ライダーの格好をした副住職さんが、明後日の方角に吹っ飛び、バイクはかろうじて倒れる寸前に俺たちが駆け寄って抱きとめた。
「てっめえ、俺の大事なバイクをへこましやがって」
転がっているライダーを容赦なく蹴飛ばし、
「おめえが一生かかっても返せねえだけの修理代を要求すっからな!いや、てめえの家は取り潰しだ!」
と、次の殿様である藤川先生が、菩提寺の副住職でありまたいとこを蹴り飛ばすは、胸倉つかんで引き寄せてタコ殴り。元ゾクの頭である副住職さんは最初に蹴飛ばされた段階で必死の反撃を試みようにも、ライダーのコスプレの重みで戦意喪失状態。
「お手打ちだこの野郎」
げっ。
日本刀を取り出した時にはさすがに止めないと、というわけで後ろから悠樹が羽交い絞めして、
「殿、殿中でござる、おとどまり召され、殿中でござる」
と、わけわかんないことを叫びだした。
あまりの騒ぎに、阿久里は卒倒、片岡源吾は震えだし、大石はかろうじて気絶するのをとどまっている。
「かーつ!!」
ご隠居のシャッターも震えるような一喝で、ようやくバカ殿も日本刀を下げる。
「鎮まれ、鎮まれ~」
「この紋所が目に入りませぬか」
北別府さんのもの柔らかいいいように、ようやく落ち着きを取り戻す。
でもさあ、どう考えたって、やりすぎというか、作りものすぎるというか、芝居がかってるというか。
いくらなんでも、なあ。
というわけで、本気でけんかだったりらしいことを、あとから聞いて、やっぱり尋常じゃない人たちなんだと、しみじみと思ったのであった。

つづきは、最後になる予定。あくまでも…

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とんでもない話があったもんだ8

2018-12-25 09:16:00 | へちま細太郎

シャッターがなぜ閉まる~!
 
という絶叫ととともに、シャッターをぶち破ってバイクが突っ込んできた。
「きゃあ」
「うわあああああ」
悲鳴と怒号が炸裂する中、バイクにのった仮面ライダーが変身ポーズを決めていた。
「バカか」
副住職さんがここまでバカでアホウだとは思わなかった。
「心頭滅却すれば、シャッターもまたカーテンに同じ」
腰を抜かして口をあぐあぐさせている大星由良之助以下19名は、あまりのことに口がきけないでいる。
「因業じじいめ、仏罰を当ててやる~!」
「ばあかめ、おまえは仏罰をあてるほど、修行を積んではおらぬ」
「黙れ黙れ、この間の遺恨覚えたるか~」
「遺恨など、ないわ~」
「秘策があるぞ、じじいが丹精こめた麦畑、これからこのサイクロンで踏み荒らしてくれるわ~」
立場逆転してるってか、あ~、仮面ライダーはそういえばショッカーの改造人間だった。
悪に帰っただけかって、ちが~う、副住職はもとから悪人だった。
ぶおおん、という単気筒の小気味よいエンジン音がこだました。
「すげえ、あそこまで改造して乗っているなんて、副住職ただもんじゃねえ」
荒波が感心してつぶやくと、
「ありゃ、兄貴のバイクだ」
と実孝さんがボソッとつぶやき、腰を浮かして逃げ出そうとした。
「どうしたんすか?」
「兄貴が怒ると、副住職のバカなんて、あっという間に病院送りだ」
と、逃げ出してしまった。
「あ?」
俺たちが顔を見合わせると、
「てめえ、俺様のバイクに何さらしてくれとんじゃ」
とさらに絶叫がこだまし、バイクにまたがってた仮面ライダーがふっとんでいってしまった。
「この脳みそくそたれ野郎があ!」
うわ、やばいぞ、こりゃ。。。

細太郎でした。。。

 

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