へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

花粉の舞う季節

2018-03-01 15:18:07 | へちま細太郎

細太郎です。
お父さんと違って、花粉症ではありません。

さて、長野に吹っ飛ばされていたキチローが返品されてきた。
愚にもつかないウンチクをかましたあげく、野沢菜と納豆を混ぜて食べるという行為を繰り返し、しかもその野沢菜がご隠居さまとそのご母堂であるおおおばあさま、しかもおおおばあさまの遠縁にもあたるやんごとない人々への贈り物ときては、野沢菜工場の人々も激怒するだろう。
まあ、俺的にはとてもうまそうな食い方だな、と思うし、捨てちまったり腐らせてしまったわけじゃないから、そこまですることでもなかろう、と珍しくキチローの肩を持った。
ところが、藤川家の人々にとっては、おおあばあさまの存在は格別のものなんだそうだ。
ご隠居の怒りは半端なく、キチローに杉花粉の舞う林にしばらくそこで暮らせ、と蹴り飛ばした。
ご隠居は、自分が花粉症ではないが、周囲に花粉症を患っている人がたくさんいて、ゴーグルをかけているキチローもその一人だと勘違いしたようだ。
「う~ん、こればっかりはコブタもかわいそうだ」
「あいつ、ああみえて、スキー得意なんだよねえ」
例のごとく春休みのバイト生活に突入している美都地区豪農コンビが、頓珍漢な会話をしている。
「スキー三昧だった長野での生活を忘れられないのか、コブタ」
といいつつ、スギ花粉も何のそのの豪農コンビとキチローは、スギ林の質の高いものを捜し歩き、
「レバノン杉に負けねえ香油を作ろうぜエ」
と怪気炎を上げておりましたとさ。

という話をくしゃみで涙目のゴメスと荒波からきいて、思わず、
「たくましい人たち」
とつぶやいたのだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする