へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川家執事、北別府さんのひとりごと

2015-10-07 14:50:03 | へちま細太郎

最近、若殿の様子がおかしい、と噂にきく、私が、藤川家の執事の北別府でございます。
もともと、私の家は、国家老でございます。
食べることと、女性にしか興味のない藤川家を代々支えてきたのは、ひとえに私ども家臣があればでございます。
なのに、何でございますか?跡取りたる若殿のあのありさまは。
10代で素行が悪くなり、まあ成績はもともとようございましたから、学校の方は何とか無事卒業いたしまして、先生と呼ばれる職につくこととなりましたが、しかしながら、何度となく私ども家臣が、若殿を遊び場などから連れ戻しに参りましたことでしょう。
思い出すだけで腹が立ちます。
少しでも、弟君の実孝さまのツメの垢でも煎じて飲んでいただきたい、と真剣に実孝さまにツメを切ったおりなど、とっておいてくださいと申し上げたことでございましょう。
ですが、ここではいえませんが、この実孝さまも御本性は、とんでもないお方なのでございますよ。普段はすましておられますが。
ああ、若殿のことでございましたね。
そうでございます、若殿は女好きということもありまして、結婚も早々と決まるだろう、よしんば結婚しても何ですか、愛人を持つようなことがございましても、こちらで万事処理していけば、解決できなくもございませんので、うまくやっていけるであろう、お世継ぎも間もなく生まれてまいればあとはどうでも好きなことしていただこうと。
はい、そのように思っておりましたが、いっこうに結婚する気もなく、おともだちのお子さまである翔さまを養子に迎えたいと主張されるかと思えば、こちらの保健室の方をお付き合いをされていて、やれうれしや、と今度こそ、と御隠居さまと涙を流さんばかりに喜んでおりましたが、すでに別れてしまわれたとか。
聞けば、何があったかは存じませんが、深いため息ばかりをつかれておりまして、ついに気がふれてしまわれたかと、心配になりまして、御相談に伺った次第でございます。

いや、あんたの方こそ、心配だろう、と口が裂けても言えない、ぼかあ、紳士の片山です。
医者を紹介するから、よく眠れる薬を処方してもらった方がいいから。
ん?タコ壺よ、何、ムカついた顔をしているんだ?
何?付き合ってない?
いや、ヤッチャッタり遊びにいったりしたら、立派につきあっていると思うぞ、百戦錬磨のぼくとしては。。。